いよいよ卓球のラバーに赤・黒以外の4色解禁 カラーラバーはランドセルのように | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:10月1日から世界でカラーラバーが解禁となる/提供:VICTAS,村瀬鞄行

卓球用具紹介 いよいよ卓球のラバーに赤・黒以外の4色解禁 カラーラバーはランドセルのように

2021.09.30

この記事を書いた人
1979年生まれ。2020年からRallys/2024年7月から執行役員メディア事業本部長
2023年-金沢ポート取締役兼任/軽い小咄から深堀りインタビューまで、劇場体験のようなコンテンツを。
戦型:右シェーク裏裏

10月1日から、世界中で卓球のラバーの色が自由化される。
これまで、当たり前のように赤と黒しか存在しなかった卓球ラバーの世界に、まずはピンク、バイオレット、グリーン、ブルーの4色が解禁されるのだ。

マジすか学園(古)。


写真:ブルーが発売されるVICTASのV>15 Extra/提供:VICTAS

この“新時代”感覚を卓球ファン以外にどう伝えようかと考えて、ふと思った。

これ、ランドセルの色と同じ話じゃないか。

いまやランドセルの色は

かつて二十年ほど前まで、ランドセルには男子が黒、女子が赤以外の選択肢は存在しなかった。
思った子どもはいただろう、「なんでみんな同じ色?」。
そして大人に優しく諭されたに違いない。「そういうものなのよ、ランドセルは」。

今ではどうだ。
ランドセルの色は、子どもの大事な個性の発露だ。
たくさんのカラーバリエーションの中で、ときに保護者は戸惑いつつ、子どもたちは自分の好きな色と共に、6年間のカラフルな思い出を作っていく。

いまや、ランドセルはそういうものになった。


写真:多様な色が当たり前になったランドセル/提供:村瀬鞄行

多彩な色を取り入れてきた卓球界

これまで卓球界も、ブルーの台、赤マット、オレンジボールの導入など、卓球のイメージを明るくするため、多彩な“色”を取り入れてきた。今回、その本丸とも言えるラバーの色の自由化だ。


写真:ショーアップされたブルーの卓球台/撮影:ラリーズ編集部

このカラーランドセルが世の中に受け入れられていったプロセスの中に、カラーラバーが根づくヒントが隠されているのではないか。

しかも、ランドセルと違って卓球のラバーは6年も使わない。一般的には1〜3ヶ月で貼り替えることが多く、気軽に試しやすいのだ。もし6年間ラバーを貼り替えずに大事に使っている人がいるなら、こう言いたい。

貼り替えてください。

今回、ランドセルの老舗実力派メーカーとして知られる村瀬鞄行の常務取締役・野口勝司さんに、ランドセルのカラーバリエーションが歩んだ道を伺いながら、卓球のカラーラバーが歩むべき道を探った。


写真:丹羽孝希/提供:VICTAS

ランドセルの色が多様化したきっかけ

ランドセルの色が多様化した契機は明確だ。2001年、イオンが24色のランドセルを発売したのだ。それ以前も赤と黒以外の色のランドセルも存在したが、これを機にメーカー各社が多彩な色の製造・販売に舵を切った。

「当時はとんでもないことしてくれたなと思いましたが(笑)、今となってはむしろ良かったなと。それをきっかけに、親御さんとお子さんが一緒に売場に行って選ぶようになりましたから。素材や形、デザインなどにもバリエーションが生まれ、今の“ラン活”(ランドセル購入活動)に繋がっていきました」。

野口さんはこの20年をそう振り返る。


写真:色とりどりのランドセル/提供:村瀬鞄行

卓球のラバーの場合、1980年代半ばに、国際卓球連盟によって色の方向性が定められた。
というのも、ラバーの色に規制がない時代、フォア側とバック側に同色で性能の異なるラバー(回転のかかる裏ソフトラバーと、ほとんど回転のかからないアンチラバー)を貼り、両面を回して使うことで相手を混乱させるスタイルが席巻し、試合でラリーが続かなくなっていた。
観客の目に「面白くない」スポーツになってしまう懸念から、国際卓球連盟は1983年に「ラケットの両面は、はっきり違う色でなければならない」、1985年には「ラバーの色を明るい赤と黒に限定する」と定めた。

卓球の健全な発展のために、約35年前に赤と黒に定められたわけだが、今回のカラー化をきっかけに、卓球のラバーも「実際に色を観てから決めたい」「その色いいね、どこの?」など、ラバーを選ぶコミュニケーションの活性化に繋がってほしい。


写真:卓球のラバーに色をめぐる話題が加わる/提供:ラリーズ編集部

女の子と男の子で違う傾向

興味深かったのは、女の子と男の子でランドセルの色の選び方が明らかに違うという話だ。
現在では、女の子においてはラベンダーが一番人気で、紫色、水色、ブラウンと続き、赤は全体の10%程度に過ぎないというから驚きだ。「テレビなどの影響も大きいですね。アナと雪の女王が流行した年は水色が人気になったり」。


写真:赤はもう主流ではなかった/提供:村瀬鞄行

“大部分の人は黒か赤のランドセルを選んでいるのでは”と思っていたのだが、全くそんなことはなかった。

逆に男の子の場合は、ランドセルを決める園児の段階では、色にそこまで興味がないことが多いという。
「7割くらいが黒で、ネイビー、マリンブルーが次に人気という感じです」

卓球ラバーで考えても、女子選手がカラーラバーで活躍することで、ジュニア世代の女子から広がっていく可能性はあるのかもしれない。


写真:いよいよ10月1日から解禁となるカラーラバー/提供:VICTAS

番外編「黒の性能が良い」説

色を出すための色素の問題で、ラバーの性能は黒が良いという噂は、まことしやかに卓球業界で語られている。
それは、果たして本当なのか、カラーラバーを発売する卓球メーカーVICTAS取締役 研究開発部長の仲村錦治郎さんに聞いた。

「数値テストやブラインドテストを行っても、色による性能の違いはないという結果がはっきりと出ています」


写真:ピンクが発売されるVENTUS Extra/提供:VICTAS

性能面ではなく、卓球ラバーの歴史による印象が大きいんです、と仲村さんは教えてくれた。
「片面しかラバーを貼らないペンホルダーグリップ全盛期に、日本チャンピオンは全員赤を貼っていました。反対に、中国選手は中国製ラバーの黒を使っていました。当時日本はスピード重視、中国は回転重視のスタイルだったので、赤はスピード、黒は回転というイメージが広がり、フォア面で黒を使う選手が増えたことで“黒のほうが性能がいい”という印象が生まれたんだと思います。ただ、ヨーロッパ選手はそういうイメージはなく、現にワルドナーはフォア面が赤でしたね」


写真:“100年に一人の天才”と呼ばれたワルドナー(スウェーデン)/提供:ittfworld

ラバーの製造技術の進歩は本当に大きい」と実感を込める仲村さん。
ユーザーにとって、色による性能面の心配はまったくの杞憂だった。

終わりに

今回のルール改正では、フォア、バック両面にラバーを貼る場合、どちらかは黒でないといけないため、例えば赤とブルー、のような選び方はできない。

また、ランドセルは注文を受けてから使われるまでにタイムラグがある製品であり、卓球のラバーは予めメーカーや店舗側がリスクを負ってカラーバリエーションを用意しておかないといけないなどの違いはもちろんある。

それでも、野口さんの言葉が印象に残っている。

「ランドセルは、カラー化から親子でしっかり選びたいという流れが生まれ、機能面、デザインなどへのお客さんのニーズも多様化しました。そして我々作り手側も、毎年創意工夫を凝らして改良を重ねるというサイクルが生まれました。プロダクトを通じてお客さんと繋がってきた感覚です」。

ラバーのカラー化の先に、卓球界のカラフルな未来が見えた。気がした。

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