ハイレベルな関東学生卓球リーグの2部校の中で、唯一スポーツ推薦なしで戦うのが慶應義塾大学だ。
全日本大学総合卓球選手権大会・団体の部(インカレ)に毎年のように出場している。今年の大会でも、予選リーグの東北福祉大戦で0-2から劇的な逆転勝ちを収め、予選を突破した。
レギュラー陣では、主将の林亮宏、副将の窪田直希は、慶應義塾高校からの内部進学組で、インターハイでは学校対抗ベスト16に入っている。3年の岡本優一は桐蔭学園高校から理工学部にAO入試で、2年の田坂宗次郎は広島県・武田高校から一般入試でそれぞれ進学しており、ともに全日本ジュニアやインターハイ出場経験も持つ。
写真:インターハイシングルスベスト32の実績も持つ林亮宏(慶應義塾大学)/撮影:ラリーズ編集部
なぜ慶應義塾大学にはスポーツ推薦がなくとも各地から実力者が集い、全国でも勝ち続けられるのか。
卓球部の魅力や強さの秘訣を探るべく小島威裕監督と選手らに話を聞いた。
【慶應義塾大学卓球部】1928年創部、1937年に体育会に加入。現在は関東学生リーグ2部に所属する名門校。男子は全日本大学総合卓球選手権大会・団体の部(インカレ)に毎年のように出場しており、2021年大会では予選リーグを突破しベスト32。卒業生の進路も大学院、大手飲料メーカー、大手広告代理店、コンサルなど多岐に渡る。株式会社ラリーズの代表取締役・川嶋弘文も慶應義塾大学卓球部OB。
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「卓球が好きでやりたい」気持ちが大事
まずは、主将兼エースとしてチームを支える林に慶應義塾大学卓球部の特徴を尋ねた。
写真:林亮宏(慶應義塾大学)/撮影:ラリーズ編集部
一般受験して入ってくる人がほとんどですが、体育会卓球部を選んだということは心から卓球が好きだということ。やっぱりそういう人が最終的に強くなりますし、チームの雰囲気を良くしてくれます。
写真:林亮宏(慶應義塾大学)/撮影:ラリーズ編集部
「いつか努力は報われる」卓球で培ったこと
副将の窪田直希はどうか。主将の林とは慶應義塾高校からの同期で、インターハイ学校対抗ベスト16の実績を持ち、大学でもチームの勝利に貢献してきた男だ。
写真:インカレの東北福祉大戦、5番シングルスでチームを救う勝利をあげた副将の窪田直希(慶應義塾大学)/撮影:ラリーズ編集部
我々の部では良い意味で先輩後輩関係なく刺激しあっています。そのため、卓球で強くなることに飢えている選手が入ってくれたら、より良い部になると思います。
自分が団体戦の戦犯にいくらなろうが、全国大会に出れなかろうが、めげずに努力を続けていれば、今回のインカレのように最後に結果はついて来てくれます。
社会人になってから自身の夢に向かう道中で挫折しそうになっても、諦めずに努力し続け、いつか自分の夢を叶えたいと思います。
インカレでチームを救った理工学部3年の岡本優一
続いては理工学部に所属する3年生岡本優一だ。インカレの東北福祉大戦では、4番シングルスで勝利し、チームを予選リーグ突破に導いている。
桐蔭学園高校時代には、現主将の林、副将の窪田を擁する慶應義塾高校のライバルとして神奈川県下でプレーした。
写真:岡本優一(慶應義塾大学)/撮影:ラリーズ編集部
インカレでの岡本優一(慶應義塾大学) 東北福祉大戦で4番シングルスで勝利
受験勉強は「卓球に比べたら楽」
2年生の田坂宗次郎は、AO入試で慶應義塾大学にチャレンジするも不合格、そこから一般入試に切り替え、見事合格を掴み取った。
写真:田坂宗次郎(慶應義塾大学)/撮影:ラリーズ編集部
そこまでして慶應に入りたかったのはなぜですか?
実際に入ってみて、勉強と卓球のどちらにも偏らずに両立している人が多くて、自分も刺激を受けています。
写真:田坂宗次郎(慶應義塾大学)/撮影:ラリーズ編集部
勧誘面での工夫は「慶應のファンを作る」
チーム作りを担う小島威裕監督には、部員勧誘について尋ねた。スポーツ推薦のない中で、どのように実績のある選手を引っ張ってくるのだろうか。
写真:慶應義塾大学卓球部の小島監督/撮影:ラリーズ編集部
スポーツ推薦が無い大学の中でのトップを目指してるわけではない、という前提を理解していただく必要があると思います。
写真:練習を見守る慶應義塾大学・小島威裕監督(写真中央)/撮影:ラリーズ編集部
全国大会出場レベルの選手やトップ層の選手にも声をかけつつ、一言で言うと「慶應のファンを増やす」ことを意識しています。
写真:慶應義塾大学の練習風景/撮影:ラリーズ編集部
ただ、それは結構地道な努力なんです。例えば、関東大会に行って頑張ってほしい子には直接声をかけて、少しでも興味持ってもらったら、よりファンになってもらうための話をする。他にも学生がSNSやブログで発信もしてくれています。
インカレでレギュラーとして出場した岡本(優一)や田坂(宗次郎)は、高校のときに慶應のファンになってくれていました。そういう高校生を増やしていきたいと思ってます。
写真:慶應義塾大学卓球部の練習風景/撮影:ラリーズ編集部
慶應の体育会では、勉学も卓球もどちらも死に物狂いで一流を目指す“文武双全”を掲げています。
文武双全に共感でき、チャレンジしようという気持ちがある人に入ってきてほしいと思っています。
写真:慶應義塾大学卓球部/撮影:ラリーズ編集部
卓球にも勉学にも努力し、文武双全に挑む学生が慶應義塾大学卓球部には集っている。