【吠えろ、神巧也 後編】「10年遅いよって話ですけどね」29歳の新たな挑戦 | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:神巧也/撮影:ラリーズ編集部

卓球インタビュー 【吠えろ、神巧也 後編】「10年遅いよって話ですけどね」29歳の新たな挑戦

2022.04.04

この記事を書いた人
1979年生まれ。テレビ/映画業界を離れ2020年からRallys編集長。
軽い小咄から深堀りインタビューまで、劇場体験のようなコンテンツを。
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3月31日、T.T彩たまから、神巧也の退団が発表された。

気になるのは、これからの神についてだ。

>>【吠えろ、神巧也 前編】“主将退団”の裏側に隠された苦悩「弱いなあ、自分」

ドイツ・ブンデスリーガに挑戦

「8、9月からのドイツ・ブンデスリーガに参戦します。ザールブリュッケンという、ヨルジッチやフランチスカのいるチームです」


写真:ダルコ・ヨルジッチ(スロヴェニア)/提供:WTT

昨季のブンデスリーガ1部でシーズン2位の強豪チームだ。
出場機会を求めてのT.T彩たま退団、ブンデスリーガ挑戦だが、決してレギュラーが約束されるチームではない。それでも、練習環境が整っているチームに狙いを定め、自ら直接コンタクトを取り、交渉した。

「練習拠点で海外選手と練習しながら、ブンデスの他にも、出られそうなワールドツアーがあれば出て、とにかく試合に出ようと」

10年越しのブンデスリーガ

実は、神にとって、ブンデスリーガは10年越しの憧れの地でもある。

「僕が高校の頃、岸川(聖也/T.T彩たま新監督)さんがずっとブンデスで活躍していて、(松平)健太さんや上田(仁)さんも遠征していた。僕は高校2年の全日本ジュニアで表彰台までいったら、そういうプロ活動を目指していこうと決めていたんですけど、結局ベスト8に終わったので、自分で線引きしたんです」

10年後の29歳、再び巡ってきたブンデスリーガ挑戦なのだ。
「10年遅いよって話ですけど(笑)、日本からは若手が挑戦することが多いですから。でも、行かなきゃわからないことがあるって、僕はTリーグで学んだので


写真:神巧也/提供:©T.LEAGUE

4年前、Tリーグに挑戦したことに後悔はないか

球団への思いを聞いた。思えば神は、T.T彩たま所属としては一人目の選手だった。

「本当にありがとうございます、という思いしかないです。プロ卓球選手としての自分を育ててもらった。技術的にもそうですし、ラケットを持っていないときのプロ選手としてのあり方も学ばせてもらいました」

具体的には何か。

「例えば、卓球のビジネスの可能性、地域との取り組み。自分のマインドとチームの向かっていく方向が合致していたT.T彩たまだったからこそ、新たな視点を得ることができたんです」


写真:会場入口でお客さんにサンクスカードを渡す神巧也/提供:T.T彩たま爆援ファミリー

T.T彩たまファンへの思い

“爆援團”を始めとする、T.T彩たまのファンへはどんな思いを抱いているのだろう。

少し間を置き、噛みしめるように言った。
「僕らが勝つことに対して、僕ら以上に喜んでくれるファンです。最高です。これは当たり前のことじゃないし、感謝しなければいけない。これからもT.T彩たまを変わらず愛してほしいなと本当に思っています」


写真:4thシーズンのホーム最終戦を終えたT.T彩たまとファンたち/撮影:ラリーズ編集部

今後のTリーグへの要望は何かあるだろうか。
ある時期、間違いなくTリーグを象徴していた神が去るなら、聞きたいことが次々と出てくる。

「ファイナルの、篠塚と及川の試合、すごかったじゃないですか。声が出せないのに、背筋がゾゾゾってくるほどの応援だった。理想はあれです。だからこそ、お客さんをどれだけ大切にできるかっていうのが、何よりも大切なのかなと」


写真:Tリーグ4thシーズンファイナルでの及川瑞基木下マイスター東京)と篠塚大登(T.T彩たま)戦/撮影:ラリーズ編集部

またいつかTリーグに戻ってきたい思いはあるか。
「これからドイツに行きますが、今は正直、フランスとかいろんな国のリーグで戦ってみたいと思っていて。いずれは日本に戻ってきたいと思うんですけど、そのとき自分の実力がないとTリーグでは戦えないですから」

ただ、もしいつか帰ってきたとしても、と笑ってつけ加えた。
「キャプテンはもういいかな」

神がこの一年抱えていたものが垣間見えた気がして、言葉に詰まった。


写真:神巧也/撮影:ラリーズ編集部

吠えろ、神巧也。

蛇足だが、この話で終える。
3月、久しぶりに神が国際大会に出場した、WTTコンテンダードーハでのことだ。
予選4回戦で敗れた神だったが、他選手棄権によって繰り上げで本戦出場し、1回戦で世界ランキング16位のパトリック・フランチスカ(ドイツ)に勝利した。


写真:パトリック・フランチスカ(ドイツ)/撮影:WTT

今夏から、ブンデスリーガでチームメイトになるフランチスカに向かって、神は1本取るたび、咆哮した。
ほぼ無観客の会場に響く神の雄叫びを、聞き慣れない解説者が、英語で軽く笑った。

試合の少し前に、オンラインで神に話を聞いた。
「こんなところで潰れるわけにはいかないです。毎日不安ですけどね」

吠えろ、神巧也。

どこにいてもその声は、観る者の胸を震わせてくれる。


写真:神巧也 2019-2020シーズン/提供:©T.LEAGUE

(終わり)

特集「吠えろ、神巧也」

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