あの人も……「実は、卓球が趣味です」。 カミングアウトブーム到来のワケ。 | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:徳田あず美さん(フリュー・右)と尾崎博志社長(ボブソン)/撮影:ラリーズ編集部

卓球インタビュー あの人も……「実は、卓球が趣味です」。 カミングアウトブーム到来のワケ。

2019.04.19

文:大塚沙央里(ラリーズ編集部)

今、日本の卓球がかつてない盛り上がりを見せている。

2016年リオ五輪での男女3つのメダル獲得。その後15歳の張本智和が国際大会で大活躍、福原愛さんからバトンを受け継いだ“女子黄金世代”の台頭にTリーグ開幕と明るいニュースが続き、東京五輪でのメダル獲得の期待が高まる。

この卓球人気と連動するかのように、自らが「卓球経験者だ」とカミングアウトする人が増えている。

OL、芸能人や社長といった華やかなイメージのある人たちがどこか得意げに「元卓球部」や「卓球が趣味」だと公言する。卓球が根暗でダサい競技と言われていた時代には見られなかった現象だ。

最近周囲に卓球が趣味であることをカミングアウトしたのが、プリントシール機トップメーカーのフリュー株式会社で広報を担当する徳田あず美さんだ。

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社会人になって卓球デビューしたワケ。


写真:徳田あずみさん(フリュー株式会社)/撮影:ラリーズ編集部
――徳田さんは、これまで卓球をされたことはなかったんですか?

「はい、授業や温泉卓球だけです。小学校から大学までずっとテニスでした」

――卓球を始めたことに対し、周りからどんな反応をされますか?

「『どうしてやり始めたの?』ってきっかけを聞かれることが多いです。私がテニスをしていたのを知ってる友達からは、『同じラケット競技だね』とも言われます」

――何か卓球を始めるきっかけがあったんですか?

「直接のきっかけは、仕事を通じてコミュニティをご紹介いただいたからなんですけど、もともとスポーツは中高生の時オール5だったくらい自信があって、なかでもラケット競技が好きなんです。ただ社会人になってからは機会も少なくて……。

卓球は道具がかさばらないし、人を沢山集めなくてよいし、予算もテニスより低めってことで。仕事後にサクッと行ける手軽さが、始めやすく続けやすい理由かなと思います。始めた頃はラケットも練習場で借りていたので、仕事用のカバンに着替えだけを入れてました。去年ついにマイラケットを買ったんですけど、素人感覚でもその違いは歴然で、益々楽しくなっちゃって。

始めやすいことに加え、上達する過程での伸びしろが大きいのも初心者がハマりやすい要素だと思います。私の場合は、テニスのクセが染みついているので、違いを意識しながら練習しています」

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代表選手の“強さ”と“ブーム”の関係。

――卓球を始めてどのくらい経つんでしたっけ?

「始めたのは3年前です。ちょうど水谷選手がオリンピックで(シングルスでの)日本人初メダルを獲得した年ですよね?

なぜ印象に残っているかというと、いつも使っている近所の卓球場がすごく混んだ時期だったんです。スター選手が現れると、やっぱり卓球の人気も上がるのかなって、その時を振り返って思います」


写真:水谷隼/撮影:AP/アフロ

――やっぱり卓球ブーム、来てるんですかね?

「そうですね。卓球ブーム、感じますね。この3年間、卓球場に集まる人の波を見ているので。

あとは、私たちは30代後半なので健康とか体力づくりの話題がどこでも多くて、そういう場では、普通に『最近卓球始めたんだけど』みたいなことを話しやすいんですよね」

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卓球カフェや卓球バーが続々と。

――健康に関する話題から卓球、面白いです。今の若い方たちにとってはどうなんでしょうかね?

「私が中高生のときに世間が卓球に抱いていたイメージよりも、今の卓球はおしゃれになってる気がしますよね。卓球カフェやバーができたり、SNSで情報に触れる機会も増えています」

――たしかに、人気になりすぎて、練習場が取り合いだったり、部活で台が足りなくてボールが打てないという話も聞いたことがあります。

「一昔前のテニスブーム状態に近いかもしれないですね。テニスも大坂なおみ選手の活躍があって今また盛り上がっていますし、どのスポーツでも日本勢が強くなることの影響は大きいかもしれないですね。私は学生の頃、愛ちゃんくらいしか知らなかったのが、今は本当にたくさんの有名選手が現れて、卓球人気を盛り上げてくれていますから」

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卓球好き有名人も続々登場!

TVの向こうの芸能人が「実は卓球経験者です」と公言するケースも増えている。

落語家の三遊亭小遊三師匠、フリーアナウンサーの福澤朗さん、元AKB48の梅田彩佳さん、お笑い芸人の猫ひろしさんや横澤夏子さん、元プロボクサーの長谷川穂積氏などが、卓球好きを公言し大会やイベントにも出ている。

他にも、若手人気俳優がバラエティ番組でマイラケットを紹介するなど、昔では考えられなかった卓球好きカミングアウトが相次いでいる。

巷でも、会社で卓球の話が出た時に、急に元卓球部であることをオープンにし話題に入ってくる上司や、飲み会や接待の2次会で卓球バーを利用するケースが増えているという。

最後に、一風変わった“有名税”とも言えそうな卓球カミングアウトストーリーに出会ったのでご紹介する。大手アパレルメーカー、「株式会社ボブソンホールディングス」代表取締役の尾崎博志さんだ。ボブソンは、Tリーグ岡山リベッツのスポンサー企業としても知られる。

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卓球場でのカミングアウトがまさかの展開に。


写真:尾崎博志さん(株式会社ボブソンホールディングス代表取締役)/撮影:ラリーズ編集部

――尾崎さんはTリーグ・岡山リベッツのスポンサー企業の社長としてTVに出る機会も多いですよね。ご自身が卓球愛好家であることは、どんな風にカミングアウトされたんですか?

「私の場合は、もともと卓球場に通っていて、そこの人たちは私のことを卓球好きだと知ってたんですが、むしろ私の『本職』を知らない状況で(笑)」

――と、いいますと?

「Tリーグが始まって、 TVに出てるのを見た人から『尾崎さんボブソンの社長やったん?』って、そっちに驚かれることが多くなったんです」

――あっ……なるほど! 見えてきました。

「それまではただの“卓球おじさん”で通ってたわけですよ、町内や色んな所で。それが、『尾崎さんテレビ出とったな』って言われるようになりまして。人生が少し騒がしくなったなと、そんな感じかもしれません」

――今回ほんとは、「卓球ファン」をカミングアウトしたらどんな反応だった? みたいなテーマだったんですけど(笑)、尾崎さんの場合は、「本職」をカミングアウトすることになってしまって驚かれた、と。実はボブソンの社長だったって。

「そんな感じなんです、周囲の反応(笑)」

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地域の“卓球おじさん”だったのに……。

――逆に、今までお仕事については何て言ってたんですか?

「いや、何も言わないし(笑)。岡山の小学校の体育館3つくらい掛け持ちして、月曜日はここ、水曜日はここ、金曜日はここって卓球しに行ってる訳ですよ。私くらいの年齢から若い人まで色々いる中に行って、少しやるおっちゃんですわ(笑)。

チームで飲みに行ったりもするけど、私はほとんど参加しなくて。休みのときは家におるタイプで、個人で好きなことをしてるから。

だから、尾崎さんは飲み会に呼んでもあんまり来ないなとか、でも卓球は一生懸命やってて色んなとこ行ってるなーくらいの感じだったと思います」

――練習中に「平日は何されてるんですか?」とか聞かれたら?

「『サラリーマンしてますよ』っていつも言ってます。私らの年齢の割に、まだ現役でやってるんですわって」

――そんな風だったら、そりゃあ本職を知ったら驚きますよ。今は、“卓球おじさん”とボブソンの社長、両方の顔で活動されている、と。

「そう。両方の顔で見られるからね、実はちょっとジレンマもあって。あんまり変なことできないし、忙しくなって練習する時間がだんだん無くなって。仕事が半分入ってきたから純粋に楽しめなくなる、とか。もう本当に地域の“卓球おじさん”だったのに、色んな人から話しかけられるようになってしまった(笑)」

――尾崎さんの場合は、地域の“卓球おじさん”だったのがいきなりテレビで岡山リベッツにスポンサーしている“ボブソンの社長”と判明してザワついた、という、言うなれば「逆カミングアウト」ストーリーでしたね。

卓球愛好家の数だけ卓球をカミングアウトする瞬間がある――。

あなたの周りにも「実は、元卓球部です」と言いたがっている人がいるかもしれない。

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