「大学でも青春できる」優勝校と同率3位・駒澤大学卓球部 "個性"を活かす指導方針 | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:駒澤大学/撮影:ラリーズ編集部

卓球×インタビュー 「大学でも青春できる」優勝校と同率3位・駒澤大学卓球部 “個性”を活かす指導方針

2025.01.09

この記事を書いた人
Rallys編集長。学生卓球を愛し、主にYouTubeでの企画を担当。京都大学卓球部OB。戦型:右シェーク裏裏

2024年の秋季関東学生リーグ戦で、学校史上最高勝率の1部3位に輝き、まさに歴史を塗り替えた駒澤大学卓球部。

首位の早稲田大学、2位の明治大学とともに5勝2敗で並ぶ三つ巴の末、惜しくも3位に落ち着いたものの、優勝まであと一歩に迫る活躍を見せた。

今回は、駒澤大学卓球部を率いる長﨑隆志監督に、リーグ戦の振り返りやチームの魅力についてお話を伺った。

20代で監督就任、過去には選手と衝突も


写真:長﨑隆志監督/撮影:ラリーズ編集部

――監督に就任したのはいつ頃でしょうか?
長﨑隆志監督:大学卒業後は、本学の職員として働きながら卓球部のコーチを務めていましたが、29歳の時に前任者から引き継ぐ形で監督に就任。当時は大学卓球界でも、若手の方でしたね。

他大学には大御所の監督が多く、若手として可愛がってもらえたおかげで、指導者として成長できました。

――就任当初と比べて、指導の仕方が変わったと感じる部分はありますか?
長﨑隆志監督:自分自身の感覚として、若い頃は学生への接し方に課題があったと感じています。

高校での厳しい管理を経て、大学では「自由にやれる」と思って入ってくる学生が多いのですが、当時の私は、そういった自由な発想や行動を受け入れる余裕があまりなく、その結果、学生たちと衝突することも度々ありました。自分の未熟さが原因で、学生の個性を十分に生かせなかったと今では反省しています。


写真:リーグ戦でアドバイスを送る長﨑隆志監督/撮影:ラリーズ編集部

長﨑隆志監督:ただ、さまざまな経験を積む中で少しずつ許容できる範囲が広がり、学生1人ひとりの個性や考えを尊重しながら接することができるようになりました。


写真:練習を見つめる長﨑隆志監督/撮影:ラリーズ編集部

――今では学生主体で講習会を開くなど、かなり学生に任せている印象があります。
長﨑隆志監督:そうですね。やはり私が先に指示を出してしまうと、選手自身が創意工夫する余地もなくなりますし、結果として成長が頭打ちになりかねません。それに実際に裁量を与えると、与えた分だけ自分らしさを発揮してくれますし、思いがけない角度から新しいアイデアを出してくれることもあって、こちらもとても刺激を受けています。

まずは学生に任せて、軌道修正が必要であればアドバイスをする。このスタイルを今後も継続し、引き続き学生の意思を尊重していきたいと思っています。

歴史を塗り替えた関東学生リーグ3位入賞


写真:木村飛翔(駒澤大学)/撮影:ラリーズ編集部

――今回、過去最高となった関東学生リーグ3位という成績についてはどう感じていますか?
長﨑隆志監督:まさか3位になれるとは、というのが率直な感想です。

最終日まで優勝の可能性が残るなんて初めての経験で、本当に学生たちに夢を見させてもらって、非常に感慨深かったです。

学生はこんなにも頑張れるんだなと無限の可能性を感じましたね。


写真:白山遼(駒澤大学)/撮影:ラリーズ編集部

――激戦の続くリーグ戦でしたが、印象的な試合はありましたか?
長﨑隆志監督:管琉乃介の試合は、どれも白熱した展開が多く、印象に残っています。初戦の日本大学戦で0-2からの大逆転、法政大学戦のラスト、早稲田大学戦の6番もすべて感動的な試合でした。

もちろん木村飛翔と白山遼の4年生カットマン2人は言わずもがなインパクトがありましたね。


写真:管琉乃介(駒澤大学)/撮影:ラリーズ編集部

――木村選手と白山選手がチームを引っ張って、駒大卓球部の歴史を変えてくれましたね。
長﨑隆志監督:木村、白山も含めて4年生が引っ張ってくれました。

去年卒業した尾中翔英や清野晃大らの代が良いリーダーシップで明るく元気なチームを作ってくれていたので、その代が抜けて今年はどうなるかと正直少し心配していた部分はあったんです。

ただ、木村、白山がいて、卓球に関しては去年よりも気持ちが強い学年でした。加えて「明るくやるのが我々駒澤大学卓球部だよね」と後輩たちにも声をかけてくれて、そのおかげで明るい部分を引き継げたのが今年良かったところかなと思います。


写真:清野晃大/撮影:ラリーズ編集部

4年間のどこかで必ず青春ができる

――駒澤大学の卓球部ならではの良さはありますか?
長﨑隆志監督:駒澤大学に来れば、4年間のどこかで必ず青春ができると思います。

入学したとき、学年が上がったとき、最高学年になったとき、引退が迫ったとき、人それぞれのタイミングですけど自分の気持ちで卓球に取り組めるタイミングが必ず訪れます。

高校卓球は誰がどう見ても“大青春”です。大学ではもうあの青春を味わえないと思っている選手もいるかもしれませんが、実は大学でも十分に味わえます。その実感を持ち続けてもらえるようなチーム作りを心掛けていきたいです。

――今後の展望をお聞かせください。
長﨑隆志監督:改めて言うことではないかもしれませんが、やはり主役は学生だと思っています。だからこそ、学生自身が自分の意志でスイッチを入れ、真剣に卓球に取り組んでほしいですね。

もちろん、プロの選手を輩出することができるようになれば理想的ですが、現状ではそのための土壌がまだ十分ではありません。

それでも、大学卓球を通じて青春を感じられる。そして、卒業後に「良い思い出だった」と心から言えるようなチームであり続けたいです。


写真:駒澤大学/撮影:ラリーズ編集部

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