2024年のインターハイで、学校対抗2位に入賞した桜丘高等学校女子卓球部。
選手の“個性”を活かした独創的なプレースタイルが特徴で、全国の舞台で表彰台に何度も上がっている。
チームをまとめるのは、自身も桜丘高等学校のOBでもある野木森孝充監督だ。
練習にお邪魔し、野木森監督にチームの指導方針や今後の目標について伺った。
このページの目次
インターハイ2024では学校対抗2位、シングルス3位と好成績
写真:インターハイでの桜丘高校/撮影:ラリーズ編集部
大阪府代表の選手に学校対抗や個人戦で勝てた試合もあったので、やってきたこと自体は間違ってなかったと思います。
でも、優勝には届かず、わずかな差に見えてもまだまだ遠かったなと感じる部分もあったので、この経験を活かして、次こそ優勝を狙いたいと思います。
学校対抗準決勝の山陽学園戦では、1番で相手エースの面手凛選手に負けてしまいましたが、他の選手たちが2番、3番、4番と勝ち切ってくれてチームは勝利できました。その日の夜、田がその悔しい思いを私に打ち明けてくれました。
翌日の朝に「今日は私が勝って優勝する!」と言ってくれました。その言葉通り気迫が顔にもプレーにも出ていて、決勝の1番でもしっかり勝利してチームを引っ張ってくれたのが印象的でした。
写真:田旻一(桜丘高校)/撮影:ラリーズ編集部
崖っぷちまで追い込まれた試合が何度かありましたけど、その中でしっかり勝ち抜いたのは、彼女の強さだったなと思います。
写真:栗山優菜(桜丘)/撮影:ラリーズ編集部
特に前回チャンピオンの四天王寺・青木咲智選手に勝った試合は、殻を破った瞬間でしたね。メダルを取ってくれたのは本当に嬉しかったです。
写真:山室早矢(桜丘・愛知)/撮影:ラリーズ編集部
一番大事なのは練習の質を追求すること
写真:多球練習で球出しをする野木森監督/撮影:ラリーズ編集部
試合中、不安だからといって相手コートに入れにいくようなスイングをすると、回転の影響を受けやすく、ミスに繋がりやすいからです。
その結果、スマッシュ気味のドライブや、女子特有のミート気味の打ち方が出てきているのだと思います。
上位の選手に勝つには、多彩な点の取り方を身につける必要があると感じており、横回転を入れたり緩い球を使ったりするプレーは練習中から意識させています。
私自身、家族から「卓球マニアだ」と言われるくらい、家でも卓球の試合動画や技術動画を見ています。その結果、選手を一つの型にはめるのではなく、各々の特徴に合わせてアプローチを変えられるだけの豊富な引き出しを持てるようになりました。
でも結局一番大事なのは、練習の質を追求することだと思います。
そのため、選手が飽きないようなメニューを考えたり、良い雰囲気を作ったりすることを意識しています。私自身もボール拾いや球出しを積極的に行い、選手と一緒に取り組む姿勢を大切にしています。
写真:練習中、野木森監督は球拾いも行いながら指示を出す/撮影:ラリーズ編集部
一方で、規定練習の時間を長くしすぎず、自主練習の時間を確保することも意識しています。これは、選手自身が自主的に考えて取り組み、「やり切った」という実感を得られるような環境を作ることが大切だと考えているからです。
世界で戦える選手を育てて日本一へ
でも、全国大会で選手たちがメダルを取ったり、取材してもらったりしている姿を見るとやっぱり嬉しいです。それを見ていると「次はもっと上を目指して優勝しよう」という気持ちになれます。
それが今の生き甲斐ですね。しんどい部分は多いですが、それ以上にやりがいを感じています。
写真:練習の合間に笑顔を見せる選手/撮影:ラリーズ編集部
先輩たちの活躍を見たり、練習に行かせてもらったりして、いろいろな経験を積めて、刺激になっていると思います。
これからも卒業生たちがより高いレベルで活躍してさらにいろいろな世界を見せてくれると嬉しいですね。
写真:OGとして活躍する木田美佑里/小林りんご(青山学院大学)/撮影:ラリーズ編集部
ただ、これまでも日本一を目指してやってきて、2位や3位で終わってしまっています。そのため、日本一より上を目指す必要があるかなと思っています。
「世界を目指す」という意識を持つような選手が育てば、自然と日本一になれるのではないかと考えています。世界で戦う選手を育てること。今の目標はそこですね。








