2021年のインターハイで初のベスト4に入賞し、2024年のインターハイでも3位と近年着実に実力をつけている静岡学園高校卓球部。
アシュラSDというクラブチームとも連携し、卓球部の強化を行っている。
今回は静岡学園高校卓球部の寺島大祐監督にお話を伺い、その強さの秘密や今後の展望に迫った。
このページの目次 [表示]
苦しい期間を乗り越え3年ぶりのインターハイ3位入賞
写真:2021年のインターハイで3位に入賞した時の写真、/撮影:ラリーズ編集部


でも全力を出した反動なのか、一時は燃え尽き症候群のようになってしまいました。


その結果、一時期は県内でも通用しない状況になってしまい、そこでようやく目が覚めて「しっかり頑張らなければ」と思いました。


すると少しずつ心に余裕が生まれ、時間はかかりましたが、もう一度本気で日本一を目指そうという覚悟が決まったんです。


その際、外部コーチの小林修平さん(Tリーグ・京都カグヤライズ監督)と話し合って、「本気で目指さなければ、日本一にはなれない」「中途半端な気持ちで目指すくらいなら本気で目指した方が楽だよ」と言われたことが大きな転機となりました。
写真:アシュラの小林修平監督/提供:アシュラ



ただ、コロナの影響でチームの成長が途絶えてしまったり、子どもも生まれ家庭も慌ただしかったりと、「これぐらいでいいか」という気持ちがどこかにあったのも事実です。
再度「日本一を目指す」と決意してからは、全てを懸けて目標に向かう覚悟が決まりました。目標が明確になったことで、あとは突っ走るだけだと思えて、気持ちが楽になりました。
写真:練習を見守る寺島監督/撮影:ラリーズ編集部
ゲーム性を取り入れた練習で競争意識を植え付ける
写真:練習を見る寺島監督/撮影:ラリーズ編集部


そこで、サービスから3球目まで、レシーブから4球目までなど、技術やラリーの特定の部分のみを取り出して、強化するようにしています。
集中して反復することで技術をインプットし、最終的に試合や試合形式の練習でアウトプットできるようにしています。
写真:エースの福光凌大(静岡学園高校)/撮影:ラリーズ編集部


もちろん全てにゲーム性を取り入れるわけではありません。状況やその日のチームの雰囲気を見て、臨機応変に判断しています。
写真:選手へアドバイスを送る寺島監督/撮影:ラリーズ編集部
豊富なスタッフが揃う静岡学園卓球部
写真:学校の練習場の様子/撮影:ラリーズ編集部


その結果、普段から競争意識を持たせることが効果的だと感じました。そこで、学校ではレギュラー含む上位陣、クラブチームではそれ以外のメンバーといった具合に、選手のレベルに合わせて練習場所を分けています。プロ野球の1軍、2軍で拠点が違うようなイメージです。


また、アシュラSDは一般のお客様も通う卓球場なので、川口育寛コーチ(明治大学OB)、片倉優瞳コーチ(埼玉工業大学OB)をはじめ、経験豊富な指導者が常駐しています。
レッスンの隙間時間に質問したり指導を受けたりできるので、強くなれる環境が整っているんです。


外部の人と関わることで、応援してもらっている実感を得られたり、教えることで逆に技術の理解が深まったりと生徒たちにとっても良いことづくめです。
写真:球出しをする福光凌大(静岡学園3年) 選手が指導にもあたる/撮影:ラリーズ編集部


競争意識の中でチーム力が底上げされている証拠だと思いますし、アシュラSDという拠点の存在は大きいですね。
写真:アシュラSDでの練習の様子/撮影:ラリーズ編集部
卓球界で活躍する人材を育成へ
写真:練習後には欠かさずアドバイスを送る寺島大祐監督/撮影:ラリーズ編集部


しかし、それは一握りの選手にしかできないことだと思います。そこだけを目指すと、そこから外れた選手は何も残せないと感じてしまうなと。
そうではなく、全ての選手にとって最高の環境を作りたいと考えています。


それぞれの選手が持つ特徴を活かして、卓球を軸にしつつ社会で活躍する準備ができる環境にしたいと思っています。
選手という“卓球をする”立場だけでなく、“卓球を支える”立場でも活躍できる人材を育てていきたいです。


外部コーチの小林さんもTリーグの監督のほかに、卓球場や飲食店を経営をしています。卓球を中心に、どのようにビジネスを展開しているのかを実体験を踏まえて話してくれることもあります。
選手たちにとっては貴重な学びの場ですし、大きな財産になっていると感じています。


最終的には、選手一人ひとりの技量に応じたサポートを行い、トップレベルから支える側まで多様な形で卓球界に貢献できる人をたくさん育てていきたいです。