1924年創部、昨年創立100周年を迎えた早稲田大学卓球部は、昨年の秋季関東学生卓球リーグ戦で12年ぶりとなる優勝を果たした。
栄光の裏に、学生時代の2部降格の責任を感じ続けたOBがいました。卓球部監督の本橋道直監督にお話を伺いました。
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かつての2部降格の責任痛感「いま役に立てるなら」と監督就任を決断
写真:本橋道直監督/撮影:ラリーズ編集部


大学卒業後は一般企業に就職し、会社を定年退職した2022年から早稲田大学卓球部の監督を務めています。


ただ、私が4年生のときには春のリーグ戦で2部に降格してしまい、秋の入れ替え戦でも敗れて1部に戻れないまま卒業することになったんです。
1924年創部以来、早稲田大学卓球部の長い歴史において、2部降格は二度目のことでした。このときは非常に悔しい思いをしました。
しかも、私たちが卒業した後5〜6年間チームは2部に留まり、1部に復帰できなかったんです。早稲田最大の危機を全国無名選手たちが踏ん張って1部昇格を果たした時は早稲田魂を感じました。本当に感謝しています。

本橋監督は卒業後、一般企業に就職されたんですよね。

それ以降、自分なりに卓球を楽しむという趣味の姿勢で続けてきて、こうして長く卓球を続けられているのも、そのときの選択があったからかもしれません。
写真:リーグ戦での早稲田大学男子卓球部/撮影:ラリーズ編集部


学生当時は責任を果たせなかった自分が、いま少しでもチームの役に立てるのであればと思い、お引き受けすることにしました。
“早稲田らしさ”とは文武両道。学生は自ら考え、行動できるように
写真:徳田幹太(早稲田大学)/撮影:ラリーズ編集部


昔の自分たちの時代を振り返ると、練習中にもどこかいい加減な部分があったり、集中しきれていないことも多かったように思います。

部活の雰囲気は昔と変わらないですか。

写真:エースとして引っ張る濵田一輝(早稲田大学)/撮影:ラリーズ編集部


大学生は大人になりつつある時期であり、社会に出る準備期間でもあります。
私自身、あれこれ指示を出すというよりも、彼らが自ら考え行動できるような環境を整えることを意識していますね。
写真:パリパラ五輪2024代表にもなった2年生の舟山真弘(早稲田大学)/撮影:ラリーズ編集部


自分の責任で行動する力を養うためにも、計画を立てて、早め早めに動く習慣を身につけてほしいと思っています。何かやるべきことがあれば、まず手をつけてみるという行動を心がけるべきです。
仕事を後回しにすると、後々大変な思いをするというのは社会人生活でさんざん私が味わってきましたから(笑)。
写真:磯村拓夢(早稲田大学)/撮影:ラリーズ編集部


同期の部員も勉強に励む姿が印象的で、それが卓球部の風土として自然と浸透していたと思います。この環境は、その後の自分の成長に繋がったと感じています。
写真:濵田尚人(早稲田大学)/撮影:ラリーズ編集部

「スポーツではライバルに負けたくない」「勉強や仕事では周囲に負けたくない」という気持ちが自然と育まれます。
この環境は、今の学生たちにも受け継がれていると感じますし、早稲田ならではの大きな魅力だと思います。
写真:櫻井大地(早稲田大学)/撮影:ラリーズ編集部
12年ぶりの関東学生秋季リーグ優勝は「オール早稲田」で勝ち取った
写真:秋季関東学生卓球リーグ2024で優勝した際の集合写真/撮影:ラリーズ編集部


今回のチームは3年生の濵田一輝、2年生の徳田幹太を中心に構成されていて、さらに1年生の濵田尚人や4年生の荒井和也が1点を取れるかどうかが鍵でした。
特に濵田(一輝)と徳田の2人は、自分たちが負ければチームの敗北に直結するというプレッシャーの中で戦ってきました。その彼らが最後に自分たちの思いを果たせたことが、本当に嬉しかったです。
写真:濵田一輝/徳田幹太(早稲田大学)/撮影:ラリーズ編集部


リーグ戦では2位が最高、インカレでもベスト8止まり。それぞれ愛工大名電や野田学園という超強豪校を背負ってきた選手ですが、早稲田大学としての団体戦での勝利にはなかなか恵まれなかったんですね。
だからこそ、今回の優勝には特別な意味がありました。
写真:秋季リーグでは個人賞、ペア賞を獲得した徳田幹太と濵田一輝/撮影:ラリーズ編集部


写真:最終試合となった中央大学戦では、ラスト7番で勝利し優勝を決めた荒井和也/撮影:ラリーズ編集部

この2人が中心となり、4年生と3年生が協力し合ってチームをまとめてくれたことで、試合が進むにつれて一体感が強まっていったのを感じました。
他のサポートの選手たちも含めた「オール早稲田」の力で、今回優勝に届いたと感じています。監督として、非常に感慨深いものでした。
写真:1年生ながら6勝をあげた濵田尚人/撮影:ラリーズ編集部
まぐれと言われないために。チームの結束力で連覇を誓う
写真:早稲田大学卓球部/撮影:ラリーズ編集部


さらにインカレに向けて、目標を明確にしてチーム全体で取り組んでいきたいと思っています。


でも、現在いる選手たちがそれぞれ努力し、レベルアップしてくれることが重要だと考えています。
チームの結束力が高まってきているので、それをさらに強化しつつ成長していけるよう、サポートしていきたいと思っています。