経営者と監督、二つの顔を持つ岩村健司 早稲田女子を9年ぶりVに導いた「社会で生きる力」を育む指導論 | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:早稲田大学卓球部女子/撮影:ラリーズ編集部

卓球×インタビュー 経営者と監督、二つの顔を持つ岩村健司 早稲田女子を9年ぶりVに導いた「社会で生きる力」を育む指導論

2026.02.06

この記事を書いた人
Rallys編集長。学生卓球を愛し、主にYouTubeでの企画を担当。京都大学卓球部OB。戦型:右シェーク裏裏

9年ぶりのリーグ優勝を果たした早稲田大学女子卓球部。

チームを率いるのは、社会人としてキャリアを築きながら、監督・経営者の二つの顔を持つ岩村健司監督だ。

学生たちに任せる“自立のチームづくり”、そして仲間と共に進む“協働の哲学”。

卓球を通して社会で生きる力を育む、岩村監督の視点と指導論に迫った。

監督就任の経緯


写真:多球練習の相手をする岩村監督/提供:早稲田大学卓球部

――まずは簡単に自己紹介をお願いします。
岩村健司監督:早稲田大学女子卓球部監督の岩村健司です。私は徳島県出身で、中学校までは徳島県の公立中学校に通っていました。

高校は大阪の上宮高校にお世話になり、自己推薦入試を経て早稲田大学に入学しました。

――徳島から上宮に行かれた経緯もお聞かせください。
岩村健司監督:知り合いのツテで上宮高校に練習に行かせていただいたときに、当時3年生だった谷口(祐二)さんから「大学は早稲田に行く」という話を聞いたんです。そのときに、「上宮で卓球と勉強を頑張れば早稲田に行けるかもしれない」と思って、上宮に行きました。


写真:ベンチの岩村監督(左から2番目)/撮影:ラリーズ編集部

――大学卒業後のキャリアもお伺いできますか?
岩村健司監督:新卒で大手の電力会社に入社しました。その後、8年ほど勤めた後に、大手のLPガス会社に転職して、電力事業の立ち上げだったり、物流改革プロジェクトの責任者をやらせていただいていました。

その後、2023年に独立して、今は静岡県でLPガスのボンベを配送する配送会社を経営しています。

――早稲田の監督に就任されたのはいつごろでしょうか?
岩村健司監督:監督のオファーをもらったのは、2022年の12月か2023年1月辺りだったと思います。当時のOB会長の河原さんや、現OB会長の葛西さんからオファーをいただきました。最初はお断りしていたのですが、「1回練習を見に来てくれ」ということで行かせていただきました。

当時は起業する前で、サラリーマンをやりながらの監督業は大変だと思っていたのですが、お話をいただけることは名誉なことですし、そのときから起業は考えていたので、「独立すれば自分で時間をコントロールできるかもしれない」と思い、監督をやらせていただくことになりました。

キャリアの経験と独立への想い

――大学卒業後のキャリアについて、これまでの経験から話されることはありますか?
岩村健司監督:私の経験上、話せることとしては、今自分で会社をやってみて、最終的に独立すべきじゃないかなって思っています。やはり自分でお金を稼ぐということは大変ですが、楽しいです。

だけど、それはサラリーマンを色々経験しての今なので、まずは就職。大きな企業から小さい企業まで、それぞれ良さがあるので、一社にずっと留まるよりは先を見据えて就職活動をしたほうがいいんじゃないかなって思っています。

――現在、学生の就職活動をどのようにサポートされていますか?
岩村健司監督:OB・OGがさまざまな会社にいますので、どんな仕事なのかをヒアリングしながら、紹介できそうな会社は紹介するという機会は設けています。

ただ一方で、多くの学生はあまりOB・OGに頼らないでも、内定を決めて来ますので。そこら辺はやはり1年、2年、3年の過ごし方かなと。誰かに言われたことをやるのではなくて、自立した生き方ができるかどうかだと思っています。

9年ぶりのリーグ優勝

――9シーズンぶりの優勝について、今の実感を教えてください。
岩村健司監督:ようやく実感が湧いてきました。早稲田は卓球だけでは入学できず、受験を乗り越えてもらわなければいけない状況のなかで、今の子たちは勉強も卓球も本当にコツコツ頑張ってくれていました。

その結果、団体戦で4年生の2人が活躍してくれて、本当に早稲田らしい勝ち方ができたんじゃないかなと思って、すごく嬉しいです。


写真:宮脇心和子(早稲田大学)/撮影:ラリーズ編集部

――就任当初から現在までのチームの変化を教えてください。
岩村健司監督:就任後1年ぐらいは、卓球の指導や選手の勧誘、OB会とのつながり、大学との調整など、正直ちょっと行き詰まっていました。仕事もしながらなので、「このままでは難しいだろうな」と思い、OB・OGの方の協力を仰ぐようになりました。

私が監督になる前から亀崎がコーチとしてチームを支えてくれていたところに、プロコーチの伊藤誠さんが入っていただけるようになり、最近は時吉(佑一)も練習を見てくれるようになりました。

OB・OGのサポート体制

――OB・OGの方が集まってくれるようになったことは、最初から構想していたものですか?
岩村健司監督:最初から構想はしていなくて、「なんとかしたい」と思って必死で動いた結果が、今になってるという感じです。特に下山(隆敬)が最近来てくれるようになったのは、今マネージャーをしている鈴木晶のおかげなんです。
――詳しく聞かせてください。


写真:鈴木晶(早稲田大学)/撮影:ラリーズ編集部

岩村健司監督:鈴木は高校3年生の受験で早稲田に落ちて、再受験で来てくれたんです。でも、入部当初は受験勉強をずっとしていたこともあって、卓球は強くなかったんです。それでも、本人は一生懸命練習をしているので、「なんとかしてあげたいな」という気持ちになりました。

とはいえ、自分だけではなかなか難しいというのも感じていた時期だったので、下山に電話して「練習見てくれない?」と言ったら来てくれたんです。そこからは毎週のように来てくれるようになりました。

――下山さんは、なぜ毎週来てくれるようになったのでしょうか?
岩村健司監督:鈴木も他の学生も一生懸命やっているので、だんだん下山も気持ちが入ってきたのかなと思います。下山のほうから「この日、行きましょうか?」って言ってくれるようになりました。


写真:選手にアドバイスを送る岩村監督/撮影:ラリーズ編集部

新チームの構想


写真:司千莉(早稲田大学)/撮影:ラリーズ編集部

――新チームの体制についてもお聞かせください。
岩村健司監督:秋リーグの最終日に、次期主将と副将を誰にすべきか全員に聞きました。「学年も問わない」という話をしたら、2年生の司が立候補してきました。

司は1年生の頃は精神的にも不安定な部分があったんですが、少しずつ周りの学生やコーチに支えられて、かなりしっかりしてきました。本人も「杉田(陽南)さんや深谷(和花)さんを見て、自分も背中でチームを引っ張っていきたい」という想いがあったみたいで、「司にリーダーシップを発揮してチームを引っ張ってもらおう」と思い、新チームの主将は司にしました。

副将には吉住(聖香)と鈴木(晶)を据えて、新スタートを切りました。「最高学年であることは変わらないし、どんな役割になってもその役割を全うするし、主将を支える」という話をしてもらいました。

――最後に、今後の目標についてお聞かせください。
岩村健司監督:自立したチームになって、選手1人1人が役割を全うしてほしいと思っています。

その結果として、高校生から憧れられたり、「早稲田に行きたい」と思ってもらいたいです。受験は大変ですが、それを乗り越えてでも入りたいと思ってもらえるようなチームにしたいです。

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