「チームの形できつつある」トップ名古屋・新井監督が語る"多国籍チーム"の手応え | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:新井周監督/撮影:ラリーズ編集部

卓球×インタビュー 「チームの形できつつある」トップ名古屋・新井監督が語る“多国籍チーム”の手応え

2019.03.28

文:古山貴大

トップおとめピンポンズ名古屋(以下、TOP名古屋)の監督・新井周氏。Tリーグファーストシーズンを戦い抜いた今、「結果として4位ではあるが、シーズン終盤の2連勝含めて、チームがひとつになりつつある」と手ごたえを語る。

Tリーグの中でも海外選手が多い“多国籍チーム”を率いる新井監督に、ファーストシーズンを振り返りながら、国際色ゆたかなチームの団結力を培った秘訣を伺う。

――監督になられた経緯について教えてください。

昨年の5月下旬に、チェアマンの松下浩二さんから「名古屋にゆかりのある人に監督になってほしい」と連絡をいただきました。もともと愛知県の桜丘高校出身で、松下さんの後輩なんです。愛知県には小中高で卓球が強い学校は多いですが、代表的な社会人チームはありません。Tリーグが開幕すると聞いて、「チェアマンの地元でもある名古屋にチームを作りたい」と思い、監督になろうと決意しました。

――そんな意外な経緯があったのですね。監督に就任されたとき、TOP名古屋をどのようなチームにしたいと考えましたか。

いきなり発足したチームなので、とにかくバタバタしてあまり考える余裕はありませんでしたね(笑)。ほかの3チームは何年もかけて準備してきているだけに、日本のトップ選手も多く在籍していて…。そういう意味では日本人Sランク選手が居ないチームでしたので、外国人選手がカギを握るだろうとは思っていました。

――たしかにTOP名古屋はその他のチームと比較して多国籍な印象があります。さまざまな国の選手が在籍しているので、言葉の壁もありそうですが、どのようにチームをまとめられたのでしょうか?

言葉の壁は、試合で感じることはあまりないんです。通訳は在籍していますが、普段の調子や気持ちは、選手のジェスチャーや仕草をみてわかることも多いですね。たとえば徐孝元(ソ・ヒョウォン)選手についてなどは、表情だけで「今日はしんどいのかな」「今は眠たいのかな」と理解できるようになりました(笑)。

――選手と一緒に試合をしていく中で、大変だと思うことはありましたか。

私ではなく選手の話になりますが、スケジュール調整はとても大変だったんじゃないかな、と。Tリーグがほかの大会と期間をずらして開催されることは聞いていたので、日程が丸かぶりすることはありませんでしたが、選手によっては他の国で他のチームにも属していて、ヨーロッパでの試合が終わった瞬間に日本に来て試合する、なんてこともあって…。時差ボケで、ほとんど目が開かないような状況で試合することもありましたね(笑)。とくに徐孝元(ソ・ヒョウォン)やサマラ、鄭怡静(チェン・イーチン)にはかなりの影響があったと思います。

――スケジュールが厳しい中でも、終盤では2連勝もされましたよね。試合を重ねていく中で、チームとしてのまとまりは感じていますか。

まとまりは感じています。シーズンの後半はプロツアーがなく全員が試合に出場できる状況だったので、試合を通してお互いの性格だったり技術だったりが、だいぶわかるようになりました。選手一人ひとりに合わせた声かけも、しやすくなったなと思います。

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海外選手の絆つくった『立役者』

――なるほど。まとまりをつくっていく中でカギとなった事柄などはありましたか?

そういった点ではハン・イン選手の加入は非常に大きかったです。経験豊富な選手が加入したことで、ほかの選手はお母さんやお姉さんのように慕っています。もともと日本人選手については森薗美咲がまとまりの中心となっていたようなところがあったんですが、外国人選手に関してはそういった存在が居なかった。彼女たちは遠いところからたった一人で来ているじゃないですか。ルーマニアや香港、台湾などさまざまな国から来てもらっていて、異国の地にいれば寂しくなって孤独感を抱くこともある。そういう時は、これまで監督である自分が精神面のケアをすることも多かったんです。

だけどハン・インが入ってから、外国人選手が自然とまとまり始めました。彼女は中国出身で、中国語はもちろん英語も話せる。多くの選手と意思疎通を図りながら、みんなで相談しあったり何気ないことで談笑したりすることも多くて。徐孝元(ソ・ヒョウォン)とは同じカットマンでもあるので、お互いに認め合って切磋琢磨しているのも大きいですね。彼女がベンチにいると、なんだか不思議な力が働いて団結するんですよね。

リーグ終盤に2連勝できたのも、森薗美咲とハン・インの見えない力のおかげだと思っています。これからチームとしてさらにまとまることで、チームの雰囲気も今以上によくなるんじゃないかな。

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写真:ハンイン(左・名古屋)と前田美優(日本生命)/提供:©T.LEAGUE

――外から見ていても、チームとしての成長をとても感じていました。

結成当初と比較して、チームがだいぶひとつになりつつあります。日本生命レッドエルフさんのように、もともとチームに何人かの外国人選手がいたわけではありません。いち早く「TOP名古屋」というチームにしなければ、とはいつも考えていましたね。

あとは選手だけでなく、スタッフの存在も大きかったと思います。TOP名古屋には女性スタッフが在籍していないので、自分の家内がマネージャーをしているんですよ。森薗美咲やハン・インはいつも慕われる立場なので、彼女らがストレスを溜めてしまうこともあるかもしれない。そのあたりも家内に相談しながら、少しでもストレスを溜めないようにと配慮しています。少しずつではありますが、チームとしての形ができつつあるなと感じています。

――Tリーグファーストシーズンも終了しました。振り返ってみていかがですか。

多くの方に期待してもらっていましたが、結果は第4位となりました。でも選手はとても頑張りましたし、ファンの皆さんに励ましてもらったり会場に足を運んで応援してもらったり、暖かい声援にはすごく感謝をしています。選手の大きな原動力になったと思います。

成長というところでいくと、試合を重ねるにつれて、たとえ負けたとしても『惜しい』試合も増えてきました。終盤の2連勝だったり、逆転したり競った場面で勝ち切ったりする場面も増えました。細かい課題はたくさんありますが、しっかりとセカンドシーズンに繋げて、良い試合をしたいですね。

――来シーズンもTOP名古屋の団結力あるプレーを楽しみにしています。本日はありがとうございました!

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