文:寺西ジャジューカ/取材:ラリーズ編集部
2019年が明けて早々、Rallysはシチズン時計卓球部の練習を視察。リポートの第1弾では伊藤誠監督のインタビューならびに“日本最高峰”と評判の同部施設をお伝えしたが、第2弾にあたる本稿ではシチズン所属選手それぞれに行ったインタビューを公開したいと思う。まずは、キャプテンの御内選手、上村選手、町選手の3選手だ。
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御内健太郎(シチズン時計卓球部・主将)
写真:御内健太郎(シチズン時計)/撮影:寺西ジャシューカ
――今年の目標は?
御内:日本リーグの前期後期と実業団、総合団体、ファイナル4があり、昨年は2大会優勝できたんですが、今年は優勝の回数を1つでも多く増やすのがチームとしての目標。個人としては、今年30歳で年長の部類なので「若手に負けないぞ」って気持ちで1つでも多く上に行けたらと思っています。
――特に、カットマンは年をとるほど体力的にキツくなると思うのですが。
御内:試合する分には感じたことはないです。逆に、昔は「勝ちたい」という欲が強すぎて力を出せず空回りして終わる試合が多かったところが、年齢を重ねることで欲をうまくコントロールできるようになりました。昔は失点を忘れられなかったり、ネットイン、エッジでイラッとしてしまうこともあったんですけど、今は全くないです。
――全日本では環境が東京から大阪に変わりますが、影響はありますか?
御内:僕は大阪出身で、あの体育館(大阪市中央体育館)は小学生の頃からずっとやっていた場所です。まあ、体育館が変わっても選手自身は変わらないですね。
――ちなみに実業団選手として、普段どんなお仕事をされているか教えてください。
御内:以前は人事部人事課にいて従業員の出張精算やマイナンバー管理などをしていたのですが、先月に国内時計営業本部へ異動しました。そこでは、検品など時計を実際に手に取る機会も多く、今の部署は毎日何百もの時計を触るので「時計会社にいるな」と実感します(笑)。以前は人事だったので他人事のようでしたが、今は「こんな時計が売れるんじゃないか?」という感想が芽生えてきています。
――じゃあ、いずれは商品企画も?
御内:そっちのほうは、やっぱりプロがいますんで(笑)。
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上村慶哉(シチズン時計)
写真:上村慶哉(シチズン時計)/撮影:寺西ジャシューカ
――去年社会人デビューだと思うんですけど、1年目はどうでしたか?
上村:学生のときに1度もチーム戦では優勝できてなかったんで、常に優勝を争うチームでプレーできたのはすごく楽しかったです。
――練習の環境から試合する場所まで、早稲田大学からシチズンへ入社して全て変わったと思います。一番変わった点はどんなところですか?
上村:学生のときは完全自由。縛られず自分のやりたいようにやるという感覚だったんですけど、社会人になってからは「この時間は会社にいる」というルールがある中で、いかに工夫や効率化をしてやるかという考えになりました。
――シチズンの練習環境はどうですか?
上村:本当に環境が良過ぎて、逆にプレッシャーになります(笑)。
――全日本に向けて、今はどういう準備をしていますか?
上村:シングルスでは吉村真晴さんとの対戦予定なのでビデオを観て、イメージしながら練習を進めています。全日本は今までの最高がベスト16なので、目標はベスト8入り。そうすれば、張本(智和)選手と対戦できる予定なので。
――現在、お仕事はどんなことをされていますか?
上村:今は国内時計営業本部で、営業企画部という営業を支援する部署にいます。例えば、店舗から何の商品が売れたかのデータが送られてくるので、その情報をまとめています。高校大学ではパソコンをやっていなかったので、だいぶExcelを覚えました(笑)。社会人になって一番伸びたのはサーブやバックハンドじゃなくてExcelです(笑)。
――最後に、シチズンだけに“時間の使い方”を効率化するための工夫があれば教えてください。仕事をしながら卓球もして、すごく忙しいと思うのですが。
上村:何かやるときに「何分以内に終わらせる」というのは中高生くらいから意識しています。「これを何分までにやって、何分までには家を出て」っていうのを20分刻みくらいで決めるようにはしていて。で、絶対に時間が余るよう余裕を持って動きます。だから、時間に遅れるというのはあまりないです。
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町飛鳥(シチズン時計)
写真:町飛鳥(シチズン時計)/撮影:寺西ジャシューカ
――今年の目標は?
町:全日本選手権で高校(青森山田)の先輩の松平健太さんと当たるんですけど、何とか勝って勢いに乗り、優勝目指して1戦1戦頑張っていこうと思います。
――技術的には今、どういうところを強化していますか?
町:自分はフォアハンドが得意なのでバックハンドの強化とバックとフォアの連携をしっかり磨いていこうと思います。
――過去最高は決勝に進出しての準優勝だと思うんですが、そのときはどうして決勝まで上がれたと思いますか?
町:スーパーシードが塩野(真人)さんで、塩野さんに勝ってから力が抜けたというか。その後にランクに入れて初ランクだったんですけど、そこで気が楽になり、無欲のまま勢いで行けました。
――練習メニューは自分で立てられていると思いますが、どんな風に作るのでしょうか?
町:まずはフォアハンドの安定性を高める練習とフットワークの練習。あと、今は若い選手など卓球が速くなってきているんで、速さで負けないための切り返しの練習をここ1~2年は重点的にやっています。
――試合の動画等を観て参考にしている選手はいますか?
町:やっぱり、中国選手。樊振東選手とか馬龍選手、あとは(張本)智和は右シェーク裏裏で強い選手なので参考にしています。
次回、レポート第3弾ではシチズン随一の人気者、神巧也選手と、今年の全日本選手権での引退を表明している森田侑樹選手のインタビューをお届けする。