卓球と仕事の両立を体現 歯医者で働く全日本3位・江藤/松下ペア | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:松下大星・江藤慧(クローバー歯科カスピッズ)/撮影:ラリーズ編集部

卓球×インタビュー 卓球と仕事の両立を体現 歯医者で働く全日本3位・江藤/松下ペア

2020.03.23

この記事を書いた人
Rallys副編集長。学生卓球を愛し、主にYouTubeでの企画を担当。京都大学卓球部OB。戦型:右シェーク裏裏

大阪の卓球実業団・クローバー歯科カスピッズの発足当時からチームを支える江藤慧と2019年に鳴り物入りで入団したスーパールーキー松下大星。2人は2020年の全日本卓球選手権でダブルスを組み、見事3位入賞を果たした。

松下はTリーグの松下浩二チェアマンの双子の弟・雄二氏の次男で、チェアマンの甥にあたる卓球サラブレッドだ。クローバー歯科入社後、最初の日本卓球リーグでは、その実力を遺憾なく発揮し、2部でMVPと新人賞を受賞した。

一方の江藤は、関西の名門・近畿大学で腕を磨き、近畿選手権優勝や関西学生3位など、関西でその名を轟かせていた実力者だ。

クローバー歯科カスピッズのエースダブルスを務める両選手に、全日本での心境や日々の卓球、社会人生活について話を伺った。

>>松下大星(クローバー歯科カスピッズ)の用具紹介|俺の卓球ギア#51

全日本3位の裏側 「やばいなやばいなと思ってやってました」


写真:全日本での江藤慧と松下大星(ともにクローバー歯科カスピッズ)/撮影:ラリーズ編集部

――まずは全日本選手権ダブルス3位おめでとうございます。
江藤慧(以下、江藤):大会前は、組み合わせ的にもベスト4狙えるぞと話はしてました。大会に入ってからは目の前に集中して次の相手は見てなかったですが、ベスト4までは目標でしたね。

松下大星(以下、松下):ありがとうございます。直前に追い込んでという感じでした。同じくベスト4が目標でした。

――初戦は愛工大名電高のペアでした。初のペアでの全日本で初戦の入りは上手く入れましたか?
江藤:僕らは初戦で調子が出にくい。さらに相手も強いので競るというのは分かってました。でもゲームオールになっても、僕はずっとやばいなやばいなと思ってやってました。

松下:ゲームオールになってないですよね?3-1ですよね?

――初戦は横谷晟/小林広夢(愛工大名電)ペアに3-1ですね。
江藤:
…気持ちはゲームオールでした(笑)


写真:松下大星「ゲームオールなってないですよね?」/撮影:ラリーズ編集部

――江藤選手は「やばいやばい」とネガティブに捉えるタイプなんですか?
松下:
そんなことないですよね?

江藤:初戦だからネガティブになってたんだと思います。調子が悪いのも分かっていたので。初戦が終わって日をまたいで次の試合で落ち着けてなんだかんだ勝つだろうとやってました。


写真:江藤慧・松下大星(写真手前)/撮影:ラリーズ編集部

――次の試合は、田添健汰/田添響の兄弟ペアでした。「江藤/松下の強さが完全に出た」と姫野コーチも絶賛でした。
江藤:
お互い体が温まった状態で臨めたし、相手も強いとわかってたので、もう向かっていくだけでした。お互いに良いプレーとか何本もあって、僕らのプレーがずっと上手くハマって、気持ちよく試合できました。

松下:田添兄弟との試合はめっちゃ楽しかったですね。1ゲーム目をギリギリで取れたのもあって、1ゲーム目終わったあとに二人で「めっちゃ試合楽しいすね」と話したくらい。

――逆に敗れた準決勝の及川瑞基/三部航平ペアとの試合はいかがでしたか?
松下:
及川/三部は、嫌なところを突くのがめっちゃ上手いんですよ。めっちゃ嫌でした。

江藤:三部/及川とやる前は少し満足した気持ちもありました。でも試合になったら本気で勝ちに行って、その結果負けてめっちゃ悔しいなと思って、終わったあとは全然満足できなかったですね。クローバー歯科で印象に残った試合の1つにはなりました。

患者さんの「ありがとう」がやりがい


写真:松下大星/撮影:ラリーズ編集部

――お二人がクローバー歯科に入ったきっかけを教えてください。
松下:
僕自身が就活するのが遅すぎて、僕4年の6月くらいに動き始めたんですよ。いずれどっかから声がかかるんじゃないかなって思っていて(笑)。父と保田先生が知り合いで、父にクローバー歯科カスピッズというチームを教えてもらい、江藤さんに連絡して、そこからという感じです。

江藤:僕は、最初は地元大分で就職して卓球を続けてましたが、仕事重視で空いた時間にちょっと練習する感じでした。それも覚悟の上で入りましたが、でもやっぱり選手としてまだやりたいなと思っていたところ、クローバー歯科に入った石黒翼から、日本リーグに出ると聞きました。まだ選手として自分はやりたいし悔いが残らないように、と転職して入りました。


写真:業務中の松下大星/撮影:ラリーズ編集部

――実際に入ってみていかがですか?
松下:僕は初の社会人生活なんですが、もっとキビキビすると思ってました。縦がきっちりして上下関係がきつくてというイメージがあって。良い意味であんまりそういうことはなかったですね。

江藤:仕事はほとんど立ちっぱなしなのできついのはきついですね。でも、患者さんから「ありがとう」と笑顔でお礼を言ってもらえると、やりがいも感じられます。卓球面でも(松下)大星が入ってくるとも当時は本当に想像できなかったです。


写真:松下大星と江藤慧/撮影:ラリーズ編集部

――最後にクローバー歯科に入って印象に残っている試合を教えてください。
松下:一番は3位になった全日本ですかね。あとは全日本社会人でダブルス3位になったことも印象深いです。

江藤:1つは同じく全日本3位。もう1つは日本リーグのホームマッチでシチズンさんと試合した時に、上村(慶哉)選手に勝てたことです。前の職場の監督さんも大分から応援に来てくれて、その目の前で勝てたことが嬉しかった。ちゃんとまだ頑張ってますとアピールできたかなと、印象に残ってますね。

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