文:ラリーズ編集部
3年目を迎えたRallysでは、多くの卓球選手に協力していただき、数々のインタビューを実施してきた。
輝かしい成績を残している選手も、我々には想像もできないような数々の挫折や困難を乗り越え、卓球台に向かっている。
様々な経験をしてきた選手から紡ぎだされる言葉は、その選手の卓球人生を表しているかのようだ。
今回はインタビューの中から選手たちの名言を抜粋していくつかお届けする。
>>あなたに勇気を与える卓球選手の言葉 大島祐哉、森薗美月、早田ひな、森薗政崇
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「どんなに内容が悪くてもいいからまず“勝ち”」(松平健太)
写真:松平健太(T.T彩たま)/撮影:保田敬介
TリーグセカンドシーズンにT.T彩たまへ移籍した松平健太。世界ランキング9位に食い込んだことのある実力者だが、Tリーグファーストシーズンでのシングルスの実績は負け越しに終わった。
思い切って移籍を決めた松平。欲しいのは「勝ちの味」だ。長いトンネルに入っていたアスリートが些細な勝ちを知ることであっさりと本来の姿を取り戻すことは、しばしばある。松平もそれは十分にわかっている。
「どんなに内容が悪くてもいいからまず“勝ち”。内容が良くても負けていたら意味がないんですよ」
開幕前のインタビューでは「内心、忸怩たる思いはあります」と語っていた松平も、セカンドシーズンでは木下マイスター東京戦で丹羽孝希に勝利をあげるなど単複合わせて6勝の活躍を見せている。
勝ちに飢えた貴公子・松平健太の覚醒から目が離せない。
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「うつ(depression)を乗り越えて、今僕はコートに立っている」(ピッチフォード)
写真:ピッチフォード(イングランド、T.T彩たま)/撮影:伊藤圭
T.T彩たまに加入したリアム・ピッチフォード。イングランド代表としてチームワールドカップでは張本智和、丹羽孝希を下すなど日本キラーとしても活躍を見せている。
Tリーグでも木下マイスター東京戦で水谷隼を、琉球アスティーダ戦で吉村真晴を下すなど、T.T彩たまの勝ち頭としてすでにシングルスで7つの勝ち星をあげている。
そんなピッチフォードに「これまでのキャリアの中での苦労」について聞くと、衝撃の答えが返ってきた。
「うつ(depression)を乗り越えて、今僕はコートに立っている」
あまりにも繊細でデリケートな話題について「今、うつ病は世界中で苦しむ人がいて、日本でも多いと聞いた。少しでも苦しむ人たちの力になれるのなら」と静かに若き日の苦悩を語ってくれた。
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「自分の人生を生きる、そのために何を選ぶかということだけです」(神巧也)
写真:神巧也(T.T彩たま)/撮影:ラリーズ編集部
名門実業団シチズン時計を退職し、T.T彩たまへ加入、Tリーグ参戦を表明した神巧也。プロ転向後は世界ランキングをメキメキを上げ、2019年12月現在は44位につける。選考会決勝で惜しくも敗れたが世界卓球代表の座もあと一歩のところへ迫った。
神巧也のような選手がTリーグに来ることは、「実業団からTリーグへ」という一つのモデルケースになりはしないか?こう問いかけた我々に対し、「実業団スポーツは、日本の素晴らしい仕組み・文化だ」と彼は言い切る。そして、実業団とTリーグを安易に比較することは、本質的でないとも。
「何が良くて何が悪いということはなくて、自分の人生を生きる、そのために何を選ぶかということだけです。実業団で選手として頑張って、その後は会社の中で会社員として頑張る。それだって社会を回すために必要なことであり、素晴らしいことだと思います」。
自分を育んでくれた環境、人々への感謝・配慮の気持ちを忘れない姿に、あらためて神巧也の飾らない人柄をみた。
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今回は3選手の名言を紹介した。長い卓球人生を生きてきた選手たちの重みある言葉の数々だ。
皆さんも数あるインタビューの中から自分の支えになるような名言を探してみてはいかがだろうか?