村松雄斗「陰キャっすよ(笑)」日本生粋のカットマンが選んだ"3足のわらじ"のキャリア<琉球アスティーダ特集#2> | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

卓球×インタビュー 村松雄斗「陰キャっすよ(笑)」日本生粋のカットマンが選んだ“3足のわらじ”のキャリア<琉球アスティーダ特集#2>

2018.10.02

取材・文:武田鼎/ラリーズ編集部

――プロとして何を見てほしい?
「えー、なんすかね…」。

そう言ったきり、考え込んでしまう。

――休日は何してるの?
「YouTubeとか?陰キャっすよ、陰キャ(笑)」。

さらりとかわされてしまう。

琉球アスティーダからTリーグに参戦する村松雄斗(むらまつ・ゆうと)、これほどとらえどころのない選手も珍しい。それでも強いのだから何も言うまい。2017年1月には世界ランキング21位へと食い込んだ実績もある。その戦型は独特だ。世界的にも少ないカットマンであり、攻撃力も兼ね備えている。粘り強くカットしたと思いきや、突如攻撃に転じる。村松は自らの戦型とシンクロするように、独自の道をゆく。

22歳の「3足のわらじ」カットマン、琉球入り

村松は22歳になった。JOCエリートアカデミーを卒業後、東京アートの卓球部に所属し、その腕に磨きをかけた。Tリーグに向けて動き始めたのは6月頃のことだ。「松下(浩二)さんから声かかって」と琉球アスティーダ入りを話す。居並ぶメンバーは丹羽孝希に松平賢二、荘智淵に江宏傑とずらりと揃う。村松雄斗の名を売る最大のチャンスだ。「あー、足引っ張んないようにしないとっすね…」。こちらが心配になるほどおっとりとしている。

アスリートは常に熱く、勝利にガツガツしている、それは思い込みなのかもしれない。「あ、カットマンで売っておいてください。僕しかいないんで」。いつも飄々としている。こういうアスリートの形もあるのだ。

チームのメンバーとしてチームに、そして沖縄という新天地でどう馴染んでいくか。卓球選手として「キャラ」を打ち出していくことも大切だ。「海外では毎回サイン会とかあったし、地元のイベントとかにも出てたんですよ。サッカーの長友選手みたいに金髪にして覚えてもらうとかもありますよね。あ、でも丹羽さんがやればいいか。ちょっとどうしようかな…」と考え込んだと思いきや一転して「ていうか自分、沖縄行ったことないんですよね。メシとか美味そうで楽しみです」。またも肩透かしを食らってしまった。

どこまでもマイペースを貫く村松だが、東京アートに所属し日本リーグに出場、ワールドツアーにも出つつ、Tリーグにも出場する。「3足のわらじ」という“欲張りな選択”をしたのは現役卓球選手の中でも珍しい。村松は以前から自分の卓球スタイルについてこんな風に話していた。「僕の戦い方はカットもするし攻撃もする。だから2倍楽しいんです」。

卓球と言えば豪快なスマッシュやハイスピードな攻防ばかりが注目される。ただ村松のプレーは一風変わっている。それを間近で見れるのはTリーグの舞台だけだ。「僕はラリーが続くんで、見てて面白いと思います」。村松なりのリップサービスなのだろうか。初めて自信を覗かせた。

写真:伊藤圭

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