15歳以下の世界大会、ワールドカデットチャレンジでシングルス、ダブルス2冠を達成、卓球Tリーグではチーム最年少の15歳ながら単複合わせて4勝をあげた次世代のホープがいる。日本生命レッドエルフに所属する赤江夏星(あかえかほ)だ。
今年の全日本選手権でも一般女子シングルスで実業団選手を下してベスト64まで駒を進め、すでにシニアの部でも戦う力を持ち合わせている。
赤江は取材中、「高校生活に向け、高校生の恋愛ドラマにハマってます(笑)」と中学生らしいあどけなさを見せる一方で、卓球に関しては自分の考えをすらすらと言葉にする。その姿はトップ選手に駆け上がろうとする15歳の芯の強さを感じた。
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Tリーグで単複4勝の好成績
――まずはTリーグセカンドシーズン参戦して、試合も出場されていかがでしたか?
赤江夏星(以下、赤江):デビュー戦は前田(美優)さんとのダブルスでしたが、少し緊張していてあまり自分のプレーができなかったです。でも、勝つことができたのでホッとした気持ちが大きかったです。
写真:練習中、真剣な表情を見せる赤江夏星/撮影:ハヤシマコ
――8歳年上の先輩である前田選手と4試合ダブルスを組んで3勝1敗と好成績でしたね。
赤江:技術面や戦術面や経験は前田さんの方がすごくて、引っ張ってくれたのでありがたかったしやりやすかったです。
――シングルスでも2試合に出場して1勝1敗でした。
赤江:最初はダブルスしか出ないと思ってました。というのも、シングルスは自分より強い人ばかりだったので、出場できるとは思っていなかった。
1試合目は出澤(杏佳)選手に負けてしまったんですけど、2戦目は森薗(美咲)選手に勝つことができて、良い経験をさせてもらってるなって思いますし、出場させてもらったことに感謝してます。
写真:笑顔でTリーグを振り返った/撮影:ハヤシマコ
――昨年は、国内のTリーグだけでなく、ワールドツアーやジュニアサーキットなど海外の大会にも多く参加されてましたがいかがでしたか?
赤江:ジュニアサーキットでは優勝や準優勝など表彰台にたくさん上がることができました。しかし、ワールドツアーに出させてもらったときはレベルが違いすぎてビックリしました。
写真:赤江夏星/撮影:ハヤシマコ
――具体的には何にビックリしましたか?
赤江:トップ選手の練習内容や試合前の練習、試合の運び方はジュニア選手と全然違って勉強にはなりました。
自分はいつも試合前は調子を上げることしか考えていない。でもトップ選手は、コーチと色々話し合って、相手の対策だったり相手の弱い所の練習だったりをたくさんしている。その中で調子を上げていけるのが本当にすごいと感じました。
同じクラブチームで卓球を始めた同級生・木原美悠の存在
――赤江選手が卓球を始めたきっかけは?
赤江:2人いる兄が先に卓球をやっていて、最初は中学校の体育館で遊びで一緒にやったのがきっかけです。小学1年生ぐらいでクラブチームに入りました。最初はALL STARという木原美悠(JOCエリートアカデミー/星槎)選手と同じチームに入ってました。
写真:卓球を始めた当時を振り返った/撮影:ハヤシマコ
――木原選手とは同級生ですね。始めたばかりの頃はどうでしたか?
赤江:レベルが違いすぎました。雲の上のような存在で。小さい頃は木原選手を追い抜かそうとは全然思えなかったです。
でも、日本生命(ジュニアアシスト卓球アカデミー)に来て強くなり始めてからは、木原選手や同い年の大藤(沙月・四天王寺高)選手を追い越すためにどうしていくかを考えながら練習しています。
――日本生命に来てどこが強くなったと感じますか?
赤江:今までは、誰に勝っても誰に負けてもおかしくないような不安定さがありました。でも、最近は強い選手とは互角に、格下の選手とはしっかり自分で考えながら勝てるようになってきた。技術面や戦術面を自分で考えて試合できるようになった部分が大きく変わったと思います。
写真:赤江夏星/撮影:ハヤシマコ
すべては勝つために ストイックに練習の日々
――強くなるためとは言え、寮生活で卓球漬けの生活だと思いますが、生活面はいかがですか?
赤江:入る前は寮生活が本当に嫌でしたが、来てみたら意外と楽しいし、先輩方も優しいので生活面では、自分が思ってたよりは困らなかった。
卓球面でもこんな環境の良い中でプレーさせてもらっていて、オフもしっかりもらえるので、自分の中では来て良かったなと思っています。
写真:自らの考えを整理して言葉にする/撮影:ハヤシマコ
――オフのときはどういうことをされてるんですか?
赤江:試合前だとチームメイトに声をかけて、相手をしてもらって練習することもあります。練習をしないときは、自分はあまり外に出たくないタイプなので、部屋にいて寝てたりYouTubeを見てたりすることが多かったです。
でも最近は、ランニングだったりトレーニングだったりをオフでもちょっとはするようになりました。
――ストイックですね…!どうしてオフでも体を動かそうとなったのでしょうか?
赤江:強い選手と自分の違いを考えてみたら、トップ選手はオフでも体を動かしてるのかなと感じました。
もちろんトップ選手でも休息や遊びに行く選手はいると思いますが、その間に自分も一緒に休んでいたら強くなれないと思ったので、ちょっとでも違うことをしようと意識しています。
写真:勝つために努力を続ける赤江夏星/撮影:ハヤシマコ
――そこまでストイックに練習できる一番の要因は?
赤江:高校のインターハイでは、大阪府予選から四天王寺高や強いチームメイトとも当たります。
1年生ですし難しいかもしれませんが、そこで勝てる実力をつけていかないとこれからも結果を残せないと思います。逆にここで結果を残したらこれからも上がっていける、と思って今は練習に取り組んでいます。
――高校生活での活躍も期待してます!
写真:赤江夏星/撮影:ハヤシマコ
あどけない語り口と、確かなビジョンを持つ15歳、赤江夏星。多くの星がきらめく日本女子卓球界で、ひときわ輝く新星になってほしい。
赤江夏星に10Quiz
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(取材・2020年3月初旬)