日本生命レッドエルフの下部組織であるジュニアアシスト卓球アカデミー(以後、ジュニアカ)は、少数精鋭だ。試合に出られない選手をなるべく作らないという村上恭和監督の方針に基づいている。中学3年生の代も例に漏れず、所属選手は2人しかいない。
篠原夢空と上澤杏音だ。
前回はTリーグでもプレーする篠原のインタビューをお届けした。今回は、皆川顕一コーチが「すごく真面目でコツコツ型」と称するサウスポー上澤に迫る。「尊敬する選手は伊藤美誠選手と前田美優選手」と語る上澤の素顔とは。
【上澤杏音(うえさわあんね)】栃木県出身。左シェーク異質攻撃型。2007年2月26日生まれの15歳。ジュニアカに所属する貝塚第二中学3年生。2019年全日本選手権カデットダブルス準優勝。尊敬する選手は伊藤美誠と前田美優。趣味は韓国ドラマ視聴。
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ライバルは大好きな双子の姉たち
写真:上澤杏音(貝塚第二中)/撮影:槌谷昭人
上澤には、ライバルでもあり、卓球を始めたきっかけとなった存在が身近にいる。2つ上の双子の姉、上澤依央・茉央だ。姉たちは現在、強豪・明徳義塾高校のレギュラーとして活躍している。
写真:上澤茉央(明徳義塾高)/撮影:ラリーズ編集部
写真:上澤依央(明徳義塾高)/撮影:ラリーズ編集部
「普段はめっちゃ仲良しで、めっちゃ優しくて自分の憧れのお姉ちゃん。めっちゃ好きです」と、めっちゃを3回重ねるほどの姉思いの妹らしい一面を覗かせる一方で「卓球面ではライバルです」ときっぱり。
偶然にも2018年の全日本カデットダブルス準々決勝で、上澤杏音/佐久間芽生vs上澤依央/上澤茉央の対戦が実現した。結果は、双子の姉ダブルスに軍配が上がった。
「姉に負けたくないという気持ちで戦ったんですけど強かった。まだまだだなあと思いました」と尊敬とともに悔しさを覗かせた。
「お姉ちゃんたちは強かったです…」
小学校までを地元の栃木で過ごした上澤は、大好きな姉と同じ進路には進まず、「見学に来て、両親もここが良いと言っていたし、自分も貝塚でやるんだと決意しました」とジュニアカを選んだ。
「親元を離れて最初は寂しかったんですけど、少しずつ慣れていきました。今は全然大丈夫です!」
最高学年として全中選抜では全勝
直近行われた全国中学校選抜卓球大会で、上澤らジュニアカメンバーが通う貝塚第二中は、大会2連覇を達成した。
写真:上澤杏音(貝塚第二中)/撮影:槌谷昭人
「自分が最上級生。篠原さんも言っていましたが、自分が勝たないといけないというプレッシャーが結構ありました。全試合で前半に出たので、チームに少しでも安心感を与えられるような勝ち方ができるように頑張りました」。
上澤は最上級生として申し分ない活躍を見せた。全試合で前半に出場し、全勝でチームの連覇に大きく貢献した。
写真:上澤杏音(貝塚第二中)/撮影:ラリーズ編集部
「特に決勝の1番で勝てたときはホッとしました。(コロナの影響で)応援では声をあまり出すことができなくて、見守ることしかできなかったですが、決勝のラストを1年生(吉本はな)が勝ってくれてよかったです」と思い返した。
地元栃木開催の全中優勝を目指して
写真:上澤杏音(貝塚第二中)/撮影:槌谷昭人
中学3年となった上澤の次なる目標は8月末に控える全国中学校卓球大会だ。地元栃木開催ということもあり、皆川コーチの計らいで上澤は4月からキャプテンに就任した。
「ラストの全中を地元で戦える選手はなかなかいないと思うので、絶対に団体と個人で優勝したい。チームは全中で優勝したことがないので、絶対にできるようにこれから頑張っていきたいです」と力強く意気込む。
将来の目標として「まず日本一になったことがないので日本一になって、世界でも有名になれるように頑張りたいです」と宣言した。姉に追いつき追い越せと真面目にコツコツ努力してきた上澤。その笑顔の裏には、確かな自信を感じた。
「趣味は韓国ドラマを見ることです!今はカンナム美人、恋のゴールドメダルがめっちゃ面白くて好きです」とのこと
特集・日本生命レッドエルフ第1弾 森さくら、前田美優らのインタビュー
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