アクセスランキング 男女トップ10に中国の新たな若手選手がランクイン(10月ITTF卓球世界ランキング)
2017.10.08
文:座間辰弘(ラリーズ編集部)
文:座間辰弘(ラリーズ編集部)
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10月期の卓球世界ランキング
ITTF(国際卓球連盟)から2017年10月期の卓球世界ランキングが発表された。男女ランキングTOP10は以下の通り。
先月のランキングはコチラ:遂に伊藤美誠がトップ10入り!男子は張本が躍進(9月ITTF卓球世界ランキング)
男子世界ランキングトップ10
最新順位 | 前回順位 | 変動 | 選⼿名 | 国籍 |
---|---|---|---|---|
1 | 1 | → | ⾺⿓ | 中国 |
2 | 2 | → | 樊振東 | 中国 |
3 | 3 | → | 許昕 | 中国 |
4 | 4 | → | ドミトリ・オフチャロフ | ドイツ |
5 | 6 | ↑ | ティモ・ボル | ドイツ |
6 | 5 | ↓ | 張継科 | 中国 |
7 | 8 | ↑ | ⽔⾕隼 | ⽇本 |
8 | 9 | ↑ | 丹⽻孝希 | ⽇本 |
9 | 29 | ↑ | 林高遠 | 中国 |
10 | 7 | ↓ | ⻩鎮廷 | ⾹港 |
女子世界ランキングトップ10
最新順位 | 前回順位 | 変動 | 選⼿名 | 国籍 |
---|---|---|---|---|
1 | 1 | → | 丁寧 | 中国 |
2 | 3 | ↑ | 朱⾬玲 | 中国 |
3 | 2 | ↓ | 陳夢 | 中国 |
4 | 4 | → | 劉詩⽂ | 中国 |
5 | 5 | → | ⽯川佳純 | ⽇本 |
6 | 6 | → | 平野美宇 | ⽇本 |
7 | 7 | → | 伊藤美誠 | ⽇本 |
8 | 8 | → | フォン・ティエンウェイ | シンガポール |
9 | 11 | ↑ | 孫穎莎 | 中国 |
10 | 10 | ↓ | チェン・イーチン | 台湾 |
今月は男女とも中国の若手選手がランクイン。世代交代が課題となっている中国にとって明るいニュースとなった。代わりに男子は、ブラディミル・サムソノフ(ベラルーシ)が、女子は、ハン・イン(ドイツ)という欧州のベテラン勢がTOP10から外れた。
日本人選手の卓球世界ランキング
日本選手の世界ランキングは以下の通り。
日本男子の卓球世界ランキング(11位〜50位)
最新順位 | 前回順位 | 変動 | 選⼿名 |
---|---|---|---|
11 | 12 | ↑ | 松平健太 |
18 | 13 | ↓ | 張本智和 |
22 | 19 | ↓ | 吉⽥雅⼰ |
24 | 18 | ↓ | ⼤島祐哉 |
30 | 25 | ↓ | 吉村真晴 |
38 | 28 | ↓ | 上⽥仁 |
42 | 32 | ↓ | 村松雄⽃ |
張本智和はT2 APACに出場したこともあり、今回はポイントの変動はなし。その他の選手がランクアップした分、ランキングがダウンした。
ラリーズ編集部注目の森薗政崇は58位から53位にランクアップしており、50位以内への返り咲きが目前だ。
日本女子の卓球世界ランキング(11位〜50位)
最新順位 | 前回順位 | 変動 | 選⼿名 |
---|---|---|---|
13 | 12 | ↓ | 佐藤瞳 |
14 | 13 | ↓ | 橋本帆乃⾹ |
15 | 17 | ↑ | 早⽥ひな |
21 | 20 | ↓ | 加藤美優 |
24 | 21 | ↓ | 森さくら |
29 | 27 | ↓ | 浜本由惟 |
38 | 34 | ↓ | 芝⽥沙季 |
41 | 33 | ↓ | 塩⾒真希 |
日本選手はTO10以外は全体的にややランキングを下げた。気を吐いたのが早田ひな(世界ランク17→15位)。オーストリアオープンでは、ほとんどの日本人選手が敗退するなかで、一人準々決勝まで勝ち残ったことでランキングが上がった。
今月のランキング対象大会について
今回のレーティングに主に影響している大会は、以下の通り(ジュニア・カデットはのぞく)
・第30回アジアカップ卓球大会(日時:9/15~17 格付け:R3)
・ITTFワールドツアープラチナ・オーストリアオープン(日時:9/19~24 格付け:R2)
レーティングポイントの算出方法について分かりやすくまとまっている日本卓球協会のページ(http://www.jtta.or.jp/Portals/0/images/player/ranking/wr_system2016.pdf)をもとに世界ランキングのポイント計算について改めて見てみよう。
大会の格付けによって、優勝した際の加点ポイントが異なる。
R3の格付けの場合、レーティングポイントの差が750以上あった場合、勝者に+40点が加点される。これがR2であれば+60点だ。今回は、100点以上のポイント変動もあり、いくつか大きなランキングの変化が見られた。
林高遠がトップ10入り
林高遠(中国・29位→9位)は、アジアカップ、オーストリアオープンとも優勝を果たし、合計270点のポイントを獲得した。
9月の試合で続けて優勝したことで、林高遠はトップ10の仲間入りを果たし、中国卓球の一翼を担う存在となり始めている。
林高遠は、フィジカルがそれほど強い選手ではないが、相手の球の力を借りたカウンタープレーで得点を重ねている。1つ1つのボールの威力はそれほどでも無いのだが、打点早く回転をかけるバックハンドと、コースを突いたフォアドライブが上手く、相手と球が合うと止められなくなる。
中国卓球の言葉のなかで「借力」という言葉がある。文字通り「力を借りる」という意味なのだが、ドライブをカウンターする際、力加減をうまく調整することで、相手の「力を借りて」、鋭いボールを返球することが出来るのだ。
「借力」の得意な林高遠が、今後世界のトップとして中国代表選手として活躍する為には、どんなタイプの選手に対しても「借力」を発揮出来るかにかかっている。
オーストリアオープンで勝てなかった日本女子
中国の壁厚し。日本勢の男女単2連覇は果たせず(ITTFオーストリアオープン) https://rallys.online/topic/autop/
今回、アジアカップ、オーストリアオープンでは、日本女子は一人も中国女子に勝てなかった。世界ランキングで下位にいた中国選手は、特に今回のオーストリアオープンで得点を稼ぎ、順位を大きく伸ばした。早田ひなもT2 APACをキャンセルしてオーストリアオープンに参加したが、中国選手に勝つことは出来なかった。
早田ひな、浜本由惟、平野美宇に連勝した中国の顧玉婷は早いラリーで先手をとるタイプであり、ボールのタイミングがあってしまうと勢いを止められない選手である。このように中国の若手の選手が世界のトップを目指してしのぎを削っている。改めて中国選手の層の厚さを感じた。
その他の選手の結果
日本選手は今回あまり順位を上げることがなかったが、日本のジュニア世代がオーストリアオープンを含む海外ツアーい参加しており、経験を積んでいる。今後の活躍に期待したい。
他国の選手を見てみると、
男子は、ゴジ(フランス・16位→13位)、カルデラノ(ブラジル・26位→20位)、アサール(エジプト・31位→21位)、陳建安(台湾・45位→33位)がランクアップ。
アサールは、オーストリアオープンで黄鎮廷(香港・7位→10位)を破り、中国選手にも善戦した。陳建安は、アジアカップで樊振東、丹羽孝希に勝った。
女子は、杜凱栞(中国香港・32位→19位)、陳思羽(台湾・43位→32位)、ポルカノヴァ(オーストリア・44位→37位)がランクアップ。
特に杜凱栞はアジアカップで平野美宇に勝利したのが大きかった。
今月の試合は、日本、中国だけでなくその他の国々の選手も健闘した。
最近では、世界のトップ選手が国籍を問わず参加するT2 APACというリーグが開催されている。
国をまたいでトップ選手が競い合う取り組みが更に盛り上がれば、各国の実力差が縮まり、国際大会も実力が拮抗した面白い試合が増えるだろう。