【編集長コラム】T.T彩たまと金沢ポート、松平健太が繋いだ両チーム合同イオンモールイベントの裏側 | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:松平健太(金沢ポート)と高木和卓(T.T彩たま)/撮影:ラリーズ編集部

卓球ニュース 【編集長コラム】T.T彩たまと金沢ポート、松平健太が繋いだ両チーム合同イオンモールイベントの裏側

2023.06.27

この記事を書いた人
1979年生まれ。2020年からRallys/2024年7月から執行役員メディア事業本部長
2023年-金沢ポート取締役兼任/軽い小咄から深堀りインタビューまで、劇場体験のようなコンテンツを。
戦型:右シェーク裏裏

本来なら、イベントが盛況のうちに終わって終了で構わないのだが、今季のTリーグはショッピングモールでの公式戦開催がさらに増える。

今回、埼玉県のヴィクトリアスポーツモール越谷イオンレイクタウン店で開催した、ヴィクトリアスポーツ、T.T彩たま、金沢ポートの共同イベントをレポートしておくことは、卓球界や卓球ファンにとっても有意義なものになるかもしれない。

簡単に振り返っておく。

しかし、企画・募集・調整・実施・(MCも半分くらいやった)、そしてレポート記事まで行うという、なんというワンコンテンツマルチユース(古い)だろう。どれかは、近いうち生成系AIに変わる気がする。


写真:会場の様子/提供:ヴィクトリアスポーツ

きっかけ

ヴィクトリアスポーツの中でも日本有数の売り場面積を持つ越谷イオンレイクタウン店から「なにか卓球で集客イベントを考えませんか」と、Rallysに相談があった。金沢ポートの経営は既に始まっていて、すぐに埼玉県で確かなファン層を持つT.T彩たまとのイベントを思った。

そして、契約発表直後の松平健太選手に相談した。もちろん、昨年まで在籍した古巣だからだ。

考えようによっては、選手心理としては微妙な話である。しかし、即決だった。

「いいですよ」

多くは発しないが、意志は最初から明確に示し、そしてブレない選手だ。


写真:松平健太(金沢ポート)/撮影:ラリーズ編集部

2つの目的を追う

今回のイベントは“マストバイ”と言われる、ヴィクトリア店舗での商品購入者が参加できるイベントである。
3,000円以上ヴィクトリアスポーツでお買い上げしたお客さんにとって、価値のあるイベント内容でなければならない。


写真:ヴィクトリアスポーツモール 越谷イオンレイクタウンの卓球売り場/撮影:ラリーズ編集部

同時に、ショッピングモールの広いオープンスペースで開催する以上、私たちプロチームにとっては、偶然通りかかったお客さんに卓球の魅力を伝えるパフォーマンスでありたい。

「卓越した技術を不特定多数に見せる」かつ「お客さんとのふれあいをしっかり作る」ことを目的に、選手プレーのデモと、レシーブチャレンジの組み合わせとした。

急遽代打の高木和卓選手

当初予定していた選手の体調不調により、2日前に急遽出場が決まった高木和卓(T.T彩たま)選手は控室で、「僕、ビックサーバーじゃないですけど、大丈夫ですかね」と、少し遠慮していた。

始まってみると、ラリー戦に強い高木和選手らしい引き合いで会場を大いに盛り上げた。松平健太選手とは青森山田中・高の先輩・後輩の関係もあって、息もぴったりの掛け合いを見せていた。


写真:高木和卓(T.T彩たま)/撮影:ラリーズ編集部

イベント内容

4部制

30分刻みの4部制とした。なるべく多くのお客さんに触れ合ってもらうためのプログラムだ。
難点は、デモを短時間に4回繰り返す選手側の負担かと思ったが、多くのお客さんが足を止めて見入ってくれる環境に、選手たちはむしろ回を追うたびに動きにキレを増していた。

レシーブチャレンジ

参加者のレベルがまちまちでも、最も自然にプロ選手の技術を体感できるのはレシーブだろうという狙いだった。

4部では突然、松平健太選手が「すべてしゃがみ込みサービスを出します」と宣言し、会場はさらに盛り上がった。


写真:高木和卓(T.T彩たま)のサービスを受ける参加者/撮影:ラリーズ編集部

松平健太選手からの提言

一方で、「9-9からの1試合とかを入れてもいいのでは」と、1部が終わった後、松平選手から私に提言があった。
時間制限もあるため、レシーブチャレンジの様子を見ながら「サービスを2球ともレシーブできた人」などを、私が指名してミニゲームを行うことにした。

卓球の醍醐味は、やはりラリーにある。
ところがゲームをメインにすると時間が読みづらく、参加者に公平に時間配分できない可能性が出てくる。
見ているお客さんにも、飛び入り参加の呼びかけも想定していたが、今回は実施できなかった。

参加してくれた方への、選手との写真撮影等の時間もしっかり確保したかったからだ。

このあたりは、イベント毎に狙いを明確にして実施していけば良いと思った。


写真:盛り上がる会場/提供:ヴィクトリアスポーツ

成功の理由

ヴィクトリア企画担当者の熱意

SNS投稿や撮影機材などに感じられたが、総合スポーツショップならではの“視野の広いスポーツ愛”を感じられた。それでいて競技の専門性を尊重してくれるので、設営や控室など、イベント運営のやりやすい環境を整えてもらった。

「卓球選手のサービス精神、レベルの高さを実感しました。イベントのお客様も、他競技に比べてマナーや反応がとても良い印象です」

担当者にイベント後に言葉をかけてもらったが、私たちのほうこそ、ホスピタリティにあふれたパートナーとして感謝するところが多かった。


写真:松平健太(金沢ポート)と高木和卓(T.T彩たま)/撮影:ラリーズ編集部

T.T彩たまファンたちの存在

ひときわ温かい拍手や声援を送り、レシーブチャレンジにも参加してもらったのが、T.T彩たまのファンのみなさんだ。

金沢ポート入団後に、松平健太選手の声を直接聞ける場所を用意することは、個人的に、このイベントの副次的な狙いでもあった。

「ありがとう、T.T彩たま戦以外は金沢を応援してるから(笑)」と、口々に声をかけてもらった。

おわりに

実は、金沢ポートのようにホームマッチをすべて地元開催する地域型チームにとっては、今回のようにエリアの離れた埼玉県でのイベント開催は、直接的にはホームマッチのPRや動員に繋がらないのも事実だ。

それでも、やるべきだったし、やってよかった。

小さな輪が少しずつ大きくなっていくことで、人が足を止めてくれる。それを地域で地道に行っていくことの大切さを目の当たりにした。

来月は金沢ポート単独で、石川県白山市のイオンモールでイベントを行う予定だ。

新チームには、やるべきことが無限にある。

金沢ポートのホームマッチ開幕は、8月12日金沢市総合体育館である。


写真:漫画『ピンポン』コラボのポスターも/撮影:ラリーズ編集部

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