JTTA河田会長が初の海外協会訪問 日本がアジアの卓球をリードする存在に | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:JTTA河田正也会長(右)と国際卓球連盟(ITTF)事務局長代理のMounir BESSAH氏/提供:ITTF

卓球ニュース JTTA河田会長が初の海外協会訪問 日本がアジアの卓球をリードする存在に

2023.02.27

写真・文:ラリーズ編集部

2月中旬の某日、日本卓球協会の河田正也会長がマレーシア、シンガポールの卓球関係者を表敬訪問した。

河田氏が昨年6月に会長に就任して以来初となった海外訪問では、マレーシア卓球協会会長のTEE Lip Sin氏、シンガポール卓球協会会長のPOH Li San氏、国際卓球連盟(ITTF)事務局長代理のMounir BESSAH氏らをそれぞれ訪ねて面談し、各国の卓球強化・普及方針に関するヒアリングと、グローバルでの卓球競技の更なる発展に向けた意見交換を行った。

マレーシアは「目指せバドミントン」


写真:JTTA河田正也会長(左)とマレーシア卓球協会会長のTip See LIN氏/提供:マレーシア卓球協会

マレーシア卓球協会はパーム油大手のPROSPER社を一族で経営するTEE氏が会長を務める。人口約3,300万人と東南アジア6位の人口を誇るマレーシアでは、猛暑のために屋外スポーツを日中に実施するのが難しいことから、室内競技が人気だ。特にバドミントンが国民的スポーツとなっており、五輪や世界選手権でのメダリストを輩出している。TEE氏は「卓球も中長期でその地位を目指したい。これを機に日本との交流を深めたい」とコメントした。

マレーシアは13つの州に60を超える卓球センターがあり、中華系マレー人のコーチを中心に育成強化を図ってきた。日本の卓球メーカーが代表チームをスポンサーしてきた経緯があり、近年は女子団体で世界選手権で予選リーグを突破するなど力をつけている。

シンガポールは世代交代中 少数精鋭での強化進める


写真:馮天薇(フォンティエンウェイ・シンガポール)/提供:ittfworld

シンガポールは、フォン・ティエンウェイ、ユー・モンユら中国からの帰化選手が代表を牽引した時代が終わりを迎え、若い地元出身選手への世代交代を推進しているという。

シンガポール卓球協会のPOH会長は「人口が約550万人と少ない国。なので少数精鋭を前提として、国内7~8ヶ所の卓球センターから5歳以上の選手を選抜してナショナルチームで育てるシステムで強化を図っている」とその育成方針を河田氏に説明した。


写真:シンガポールのナショナルチーム練習場では国内ジュニアの精鋭が集って強化トレーニングを行う/撮影:ラリーズ編集部

シンガポール代表は日本のプロ、実業団、大学チームとの交流も積極的に行っており、日本を重要なパートナーと位置づけているという。

ITTFはWTTシリーズの年間計画を推進 「シンガポールで卓球をF1に続くメジャーイベントに」


写真:WTTシリーズの会場風景/提供:ittfworld

シンガポールにマーケティング拠点を設けるITTFは、2021年より国際大会新シリーズWTTを創設し、その運営に注力している。

WTTは従来のITTFワールドツアーと比べ興行の要素が強くなり、またコロナ禍もあって計画的な開催ができなかったことなどから世界中の関係者から賛否両論があったが、ITTFのBESSAH氏は「2023年は年間計画の8割が実現できそう。特に最上位大会のスマッシュシリーズを3月にシンガポールで開催するのでその準備に注力している。シンガポールと言えばF1で盛り上がっているが卓球もその地位を狙っていく」とコメントした。

日本はアジア卓球界のリーダーとなれるか

ITTF発表の世界チームランキング(2月現在)で日本は女子2位、男子3位となっており、1位の中国に次ぐ卓球大国と言える地位を2000年代に入ってから築きつつある。卓球競技のグローバルでの発展のためには、自国の強化だけでなく世界中が卓球に力を入れる土壌を作る必要があり、日本がここ20年で培った強化と普及のノウハウには世界各国の卓球協会が関心を寄せている。

JTTA河田会長も「シンガポールもマレーシアも、自国の現状を踏まえたうえで、計画的に卓球の発展のために努力をされていることが分かり、収穫が多かった」と東南アジアの卓球関係者との交流を振り返った。

パンデミックが終焉に近づいているこのタイミングでの河田新会長の外遊が、日本が世界の卓球シーンでそのリーダーシップを発揮するきっかけとなるかもしれない。