日本卓球史に残る3つの"大逆転劇"とは | 卓球専門WEBメディア「Rallys(ラリーズ)」
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2019.10.05

日本卓球史に残る3つの“大逆転劇”とは

写真:2009年世界卓球での石川佳純/提供:アフロスポーツ

昨今、スポーツ界では逆転劇に注目が集まっている。

プロ野球では、残り9試合で4.5ゲーム差と厳しい状況に置かれていた4位阪神タイガースがそこから8勝1敗の快進撃を見せ、3位に滑り込んだ。「奇跡の逆転CS出場」と各メディアがこぞって取り上げ話題となった。

現在話題沸騰中のラグビーワールドカップでも、日本代表が優勝候補アイルランドを相手に、後半試合をひっくり返して歴史的勝利を収めた。

今回は、卓球の怖さと面白さが凝縮された卓球史に残る逆転劇を紹介しよう。

①2009年世界卓球横浜大会 石川佳純 vs 帖雅娜

石川佳純
写真:2009年世界卓球での石川佳純/提供:アフロスポーツ

2009年世界卓球横浜大会、16歳の石川佳純は当時世界ランク99位。女子シングルス2回戦で世界ランク10位の帖雅娜(ティエヤナ・中国香港)と対戦した。格上の帖雅娜にゲームカウント0-3の3-9と、あと2点で敗戦という窮地に追い込まれてしまう。

しかし、ここから開き直った石川は、3-9から一気に追いつきデュースの末にこのゲームを奪うと、3ゲームを連取してジャイアントキリングを起こした。石川は勢いそのままに世界選手権シングルス初出場ながらベスト8入りを果たし、一気に世界へその名を知らしめた。

石川と同級生の森薗美咲Tリーグ・TOP名古屋)は石川の大金星をラリーズのインタビューでこう振り返った。

「(自分の)人生が変わった瞬間ですね。悔しいという感情はなく、純粋にすごいと思ったし、自分も頑張ったらなれるのかな?と思わせてくれた。一方でこのままじゃダメだと思い、頑張れた。あの試合は今でも私のモチベーションの源です」。

石川本人のみならず森薗美咲の人生をも変えた試合は、卓球ファンの記憶にも強く焼き付いている。

詳細スコア

石川佳純 4-3 帖雅娜
8-11/8-11/5-11/12-10/11-9/11-5/11-8

>>森薗美咲インタビュー「人生変えた」盟友・石川佳純が見せた奇跡の逆転劇

②2016年世界卓球クアラルンプール大会 水谷隼 vs ピッチフォード

水谷
写真:ピッチフォードに勝利した水谷隼/提供:ittfworld

2016年世界卓球クアラルンプール大会、日本男子は団体39年ぶりの決勝進出をかけ準決勝でイングランドに挑んだ。団体2-1リードで迎えた4番で相まみえたのは両国のエース、水谷隼とリアム・ピッチフォードだ。

水谷はいきなり2ゲームを連取される。1ゲームを取り返し迎えた4ゲーム目も6-10とピッチフォードにマッチポイントを握られてしまう。日本ベンチや卓球ファンが固唾をのんで見守る中、エース水谷は4ポイントを連取し同点に追いつく。水谷は「どうだ!」と言わんばかりに胸を叩き、自身とベンチを鼓舞する。

続く10-10からピッチフォードの猛攻をしのぎきり11-10と1点リードを奪う。次の1ラリーが勝負の分かれ目となった。

水谷は、ピッチフォードの強烈な3球目攻撃を受け、いきなり台から下げられてしまうが、ここから水谷が真骨頂を見せる。ピッチフォードの広角への連続攻撃をとにかく拾い続け、水谷が15秒間にも及ぶラリーを制したのだ。

6-10から6連続ポイントで4ゲーム目の劣勢を跳ね返した水谷は、5ゲーム目も奪い、チームを39年ぶりの決勝へと導いた。日本のエース水谷が日本卓球界の歴史を変えた一戦となった。

水谷隼
写真:水谷はピッチフォードの猛攻をしのぎきった/提供:ittfworld

詳細スコア

水谷隼 3-2 ピッチフォード(イングランド)
8-11/10-12/11-7/12-10/11-6

>>水谷隼「実は1年間、球がほとんど見えない」深刻な目の症状を告白

③2018年チームワールドカップ 上田仁 vs 丁祥恩

上田仁
写真:チームを救った上田仁/提供:アフロ

ロンドンで開催された2018年のチームワールドカップ、日本は水谷隼を欠くも銀メダルを獲得した。銀メダルの立役者の1人が、2009年世界卓球選手権横浜大会以来となる9年ぶりの代表招集、チーム最年長の上田仁だ。

準決勝の韓国戦、5番ラストでの上田の試合は、日本卓球史に残る大逆転劇と言っても過言ではないだろう

1,2番を連取するも、3番丹羽孝希、4番張本智和が敗れ、ラストの上田仁と丁祥恩(チョンサンウン)に団体戦の勝負の行方は託された。

お互い2ゲームずつを奪い、迎えた5ゲーム目、上田は6−10と丁祥恩にマッチポイントを握られ、絶体絶命のピンチを迎える。しかし、勝負師・上田はここから驚異の4連続ポイントで10−10に追いつく。

5ゲーム目のデュースは、上田と丁祥恩の意地と意地がぶつかり合う。一進一退の攻防が続き、迎えた15−14の上田マッチポイントの場面を現地の実況はこう評した。

“Businessman one point away for finishing the job today(仕事人があと1点で今日の仕事を終えようとしている)”。

仕事人がチームの窮地を救い、見事日本男子をチームワールドカップ初の決勝進出へと導いた。

上田仁
写真:“仕事人”上田仁/提供:ittfworld

詳細スコア

上田仁 3-2 丁祥恩(韓国)
12-10/5-11/6-11/11-6/16-14

>>チームワールドカップ韓国戦、大逆転劇の裏側で上田仁が迎えた“2つの山場”

文:山下大志(ラリーズ編集部)

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