文:ラリーズ編集部
今年1月に行われた令和初の全日本卓球選手権大会女子シングルスは、早田ひな(日本生命)が初優勝を飾った。伊藤美誠(スターツ)、石川佳純(全農)といった東京五輪代表候補選手を退けた快挙であった。
東京五輪代表選考から漏れ、並々ならぬ気持ちで試合に臨んでいたであろう早田、優勝を決めた瞬間の涙に心を打たれた卓球ファンも多いのではないだろうか。
早田は先述の伊藤や東京五輪団体代表に選出されている平野美宇(日本生命)と同期であり、2000年生まれの彼女らの世代はいわゆる「卓球黄金世代」と呼ばれている。
また、1つ上の1999年生まれの世代には、昨年の世界選手権女子シングルスにおいてベスト8まで進んだ加藤美優(日本ペイントホールディングス)もいる。
このように、最近の日本では2000年前後に生まれた選手の活躍が目立つが、実は世界各国においてもこの世代の活躍、台頭は顕著だ。今回はそんな「卓球黄金世代」に注目してみたい。
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女子の卓球黄金世代
中国:孫穎莎、王曼昱
写真:世界卓球2019を制した孫穎莎(写真左)と王曼昱ダブルス/提供:ittfworld
卓球王国である中国においても、この世代の活躍が目立つ。
まずは孫穎莎(スンイーシャ)だ。2000年生まれの孫は2017年のジャパンオープンで優勝を果たすと、徐々に頭角を現し、昨年には複数のワールドツアーやアジア選手権で優勝するなど、中国の中心選手の一人となっている。
日本人選手との対戦では、昨年のチームワールドカップ決勝において、伊藤に対して、ゲームカウント0-2から大逆転勝利を収めたことが記憶に新しい。
写真:2019ドイツOPでは決勝で伊藤の前に立ちはだかった/提供:ittfworld
次に、王曼昱(ワンマンユ)だ。1999年生まれの王は、昨年の世界選手権女子シングルスで3位、T2ダイヤモンド・マレーシア大会女子シングルスでは準優勝に輝くなど、中国でも注目される若手の一人だ。
彼女らはダブルスで世界卓球2019のタイトルを獲得しており、今後も伊藤ら日本の卓球黄金世代のライバルとして立ち塞がることは間違いない。
プエルトリコ:アドリアーナ・ディアス
写真:プエルトリコのアドリアーナ・ディアス/提供:ittfworld
アジア以外の地域でも活躍する選手がいる。その一人がプエルトリコのアドリアーナ・ディアスだ。
2000年生まれのディアスは、当時15歳ながら2016年のリオ五輪に出場すると、先日行われたパンアメリカカップ女子シングルスでは2連覇を達成するなど、成長が著しい。2月に発表された世界ランキングでは、自己最高位の20位につけるなど、今注目の若手の一人だ。
男子の卓球黄金世代
チャイニーズタイペイ:林昀儒
写真:林昀儒(チャイニーズタイペイ)/撮影:ラリーズ編集部
同世代の男子において忘れてはならないのが、台湾の林昀儒(リンユンジュ)だ。
2001年生まれの林と言えば、昨年行われたT2ダイヤモンド・マレーシア大会での活躍が印象深い。この大会で林は、水谷隼(木下グループ)、馬龍(マロン・中国)、樊振東(ファンジェンドン・中国)といった並み居る強豪を破り、優勝を果たした。
元々、張本智和(木下グループ)とともに世界から注目される若手選手の一人であったが、一気にその名を世界に知らしめた。2月の世界ランキングでは自己最高位の6位につけており、今後も注目の選手であることは間違いない。
中国:王楚欽
写真:王楚欽(中国)/撮影:ラリーズ編集部
中国男子においても、今後の成長が期待される選手の一人として2000年生まれの王楚欽(ワンチューチン)がいる。
昨年は、世界選手権男子ダブルス(ペア:馬龍)、スウェーデンオープン男子シングルスにおいて優勝するなど、輝かしい成績を残しており、今後も活躍が期待されている。日本人選手との戦績を見ると、昨年のワールドツアーで張本に対して3連勝しており、これからの対決にも注目が集まる。
アメリカ カナック・ジャー
写真:カナック・ジャー(アメリカ)/提供:ittfworld
男子においても、アジア以外で活躍する同世代の選手がいる。その一人がアメリカのカナック・ジャーだ。
2000年生まれのジャーは、2016年のリオ五輪に当時16歳の若さで出場したことで知られる。2018年に行われたユース五輪においては、準決勝で王楚欽に敗れたものの、3位決定戦では林昀儒との激闘を制し、銅メダルに輝いている。2月の世界ランキングでは25位につけており、若手ながらアメリカの卓球界を牽引する存在となっている。
今後の卓球黄金世代の活躍に期待
写真:左から早田ひな・伊藤美誠・平野美宇(2016 ITTFスターアワード)/撮影:ITTF・アフロ
彼ら「卓球黄金世代」は東京五輪の活躍が期待されるだけでなく、その後のパリ五輪も含め、今後の卓球界を牽引していく存在となっていくことは間違いない。
しかし、更に若い世代の台頭も始まっており、今後の世界代表争いやワールドツアーなどでの戦いからはますます目が離せない。「卓球黄金世代」の活躍に注目してみてはいかがだろうか。