文:ラリーズ編集部
<天皇杯・皇后杯 2020年全日本卓球選手権大会(一般・ジュニアの部) 2020年1月13日~19日>
天皇杯・皇后杯 2020年全日本卓球選手権大会(以下、全日本)の組み合わせが、6日発表された。それに伴い、卓球日本代表・倉嶋洋介男子監督がナショナルトレーニングセンターにて見どころを解説した。
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第1ブロック:「大島、吉村、宇田が中心」
図:第1ブロックのスーパーシード/作成:ラリーズ編集部
前人未到のV10を果たした水谷隼(木下グループ)は、2020年大会はシングルスを欠場。そのため、第1シードには前回大会準優勝の大島祐哉(木下グループ)が入った。他には2019年世界卓球代表の吉村和弘(東京アート)、2019年世界ジュニア混合複優勝の宇田幸矢(JOCエリートアカデミー/大原学園)が控える構図となった。
倉嶋監督は「大島祐哉、吉村和弘、宇田幸矢、この3名が第1ブロックの中心になってくるのでは」と第1ブロックの戦況を分析した。
続けて「高校1年生ながら水谷2世と言われるほどボールタッチの柔らかい選手」とインターハイ準優勝の篠塚大登(愛工大名電高)について評価し、「平野友樹(協和キリン)は安定した選手、吉村和弘(東京アート)は爆発力のある選手。この2人のランク決定戦も見ものではないか」と見どころを語った。
写真:世界ジュニアでの宇田幸矢/提供:ittfworld
「トータルとして見ると、注目は実力があがってきている宇田幸矢。どういった戦いをするか非常に楽しみ」と宇田への期待で第1ブロックの見どころを締めくくった。
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第2ブロック:「頭1つ出てる選手はいない」
図:第2ブロックのスーパーシード/作成:ラリーズ編集部
第2ブロックに関して、倉嶋監督は「頭1つ出ている選手はいないが、神巧也(T.T彩たま)は、今年1年充実して国際大会でも実績をあげ、プロ選手になり非常に力をつけて勢いのある選手」と熱視線を送った。
写真:Tリーグでも活躍する神巧也/撮影:ラリーズ編集部
スーパーシードではないが、若手選手の注目株として田中佑汰(愛知工業大)の名を挙げた。「ブルガリアオープンでサムソノフ(ベラルーシ)を破るなど、非常に爆発力のある選手。どこまで中堅選手たちを相手に叩けるかが非常に楽しみ」。
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第3ブロック:「張本が注意すべきは初戦」
図:第3ブロックのスーパーシード/作成:ラリーズ編集部
第3ブロックには日本人世界ランク最高位の張本智和(木下グループ)が第3シードとして名を連ねた。
倉嶋監督は「張本の対抗として、吉村真晴(名古屋ダイハツ)がいる。ただ、このブロックで張本が一番注意しないといけないのは初戦。緒方遼太郎(早稲田大学)が張本のシード下におり、前回大会でも競っている。張本にとって国際大会も含めて初戦は鬼門。初戦の入り方を注目してきたい」と解説した。
写真:全日学での緒方遼太郎(早稲田大学)/撮影:ラリーズ編集部
張本は前回大会で緒方に対し、ゲームカウント3-3の1-6まで追い詰められた経験もあり、スーパーシードの初戦(4回戦)から気の抜けない戦いとなるだろう。
また、吉村のシード下には、男子シングルス・一般の部で唯一の小学生、松島輝空(木下グループ)がおり、倉嶋監督は「張本は小学6年生で4回戦まで行った。松島が今大会でどこまで戦えるか」と注目点を述べた。
さらに倉嶋監督は、先日シンガポールで行われたT2ダイヤモンドにて「中国選手にも松島輝空すごく良いねと言われた」と明かし、世界からも注目を受ける小学6年生がどこまで全日本で戦えるのかに注目が集まる。
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第4ブロック:「丹羽が好調を維持していれば頭1つ抜けだす」
図:第4ブロックのスーパーシード/作成:ラリーズ編集部
第4ブロックのスーパーシードには、丹羽孝希(スヴェンソン)、及川瑞基(専修大)、森薗政崇(BOBSON)、松平賢二(協和キリン)の青森山田高OB勢に加えて、戸上隼輔(野田学園高)、木造勇人(愛知工業大)とインターハイ優勝経験のある若手選手が名を連ねた。
倉嶋監督は「ここは本当に混戦だと思う。丹羽も初戦が非常に大事な戦いになる」とコメント。丹羽のシード下には松平健太(T.T彩たま)が控えており「(丹羽と松平は)プレー自体も何をやってくるかがわかるくらい慣れていると思う。注目される一戦」と語った。
写真:全日学でも優勝し勢いに乗る及川瑞基(専修大)/撮影:ラリーズ編集部
また、大学生王者の及川については「今年1年間、非常に力をつけている。意外と特徴がないように見られるが、弱点が少なく選手にとってはやりづらい。注目したい」と期待を寄せた。
スーパーシード以外では、「非常にセンスあふれる将来性豊かな選手」と曽根翔(愛工大名電高)、「怪我が治ってきてTリーグなどで活躍していて侮れない」と村松雄斗(東京アート)に着目していることを明かした。
最後に「丹羽が今の好調を維持して戦うのであれば頭1つ出てくるのではないか」と第4ブロックの総括を締めくくった。
男子シングルス総括:倉嶋監督「張本智和が頭1つ抜けている」
写真:前回大会は悔しいベスト4に終わった張本智和(木下グループ)/撮影:ラリーズ編集部
男子シングルス全体に関して、倉嶋監督は「前回優勝者の水谷隼が欠場ということで、少し寂しい気持ちもある。ただ、誰がこの大会を引っ張っていくかという点については、やはり張本智和。頭1つ抜けているのではないかと思っている。対抗は、後半戦少しずつ調子を上げてきた丹羽孝希、そして世界ジュニアで活躍した勢いのある選手が全日本選手権を動かしてくるのではないか」と総括した。