"無敗の女"伊藤美誠に挑む構図 実力者揃いの女子シングルス見どころ<全日本卓球2020> | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:2019年大会の伊藤美誠/撮影:ラリーズ編集部

大会報道 “無敗の女”伊藤美誠に挑む構図 実力者揃いの女子シングルス見どころ<全日本卓球2020>

2020.01.12

文:ラリーズ編集部

全日本卓球選手権大会(以下、全日本)が、1月13日から大阪府の丸善インテックアリーナで開催される。全国各地の予選を勝ち抜いた選手が集う本大会には、プロだけでなく、アマチュア選手も多数参加している。試合方式は、負けたら終わりのトーナメント戦。ゆえに、実力者が必ずしも勝ち進めるわけではない。アマチュア選手がプロを倒したり、小学生が勝ち進んだりすることもある。そんな全日本だからこそ、毎年数多くのドラマが生まれるのだ。

今回は全日本の女子シングルス一般の部とジュニアの部の見どころを紹介する。

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女子シングルス一般の部見どころ


写真:伊藤美誠(スターツ・写真はTOP12)/撮影:ラリーズ編集部

女子の見どころを語るうえで、昨年覇者の伊藤美誠(スターツ)は外せないだろう。昨年の全日本で2年連続3冠(シングルス、ダブルス、混合ダブルス優勝)という偉業を成し遂げた19歳の女王は、その後、オーストリアオープン優勝T2ダイヤモンドシンガポール大会準優勝と、国際舞台でも圧倒的な強さを見せつけてきた。最新の世界ランキングでも、日本選手最高位である3位(2020年1月現在)に位置付けている。

また、伊藤はジャパントップ12後に「1つ1つ目の前の大会をやり切って、自分らしく戦うことがこれからもっと大事になってくると思うので、しっかり実力をあげて負けない選手になりたい。無敗の女を目指して頑張っていきたい」と、東京五輪を控える今年への意気込みを語っていた。2020年の初戦となる本大会を勝ちきって、「無敗の女」への第一歩を歩み始めることはできるか。


写真:石川佳純(全農・写真はTOP12)/撮影:ラリーズ編集部

伊藤と同じく東京五輪代表候補に選出された石川佳純(全農)と平野美宇(日本生命)にも注目したい。

石川はワールドツアーや国際大会、Tリーグにも積極的に参加して、経験を積んできた。昨シーズンは代表選考レースのために、これまでに類を見ないペースでの連戦をこなしてきた。肉体的、精神的な疲労はかなりのものであっただろう。しかし、その中でもノースアメリカンオープン優勝など、しっかりと結果を残してきた。実力を発揮して、ベスト16で終わった昨年を越えられるか。

昨年、ノーシードの木原美悠(JOCエリートアカデミー)に敗れて、ベスト32という悔しい結果に終わっていた平野にとっては、今大会は初戦から気を抜けない戦いとなるだろう。ジャパントップ12後のインタビューで「日本に貢献できる選手になりたい」と語っていた平野。東京五輪代表候補の実力をみせるべく、2017年大会以来となる優勝を狙う。

その他のスーパーシード選手には、2019年グランドファイナルシングルスベスト8の佐藤瞳(ミキハウス)、昨シーズンチャレンジシリーズ5勝の早田ひな(日本生命)、T2ダイヤモンド中国大会4位の加藤美優(日本ペイントホールディングス)など、国際大会で活躍する選手が集まっている。ノーシードにも、森薗美咲(TOP名古屋)や成本綾海(中国電力)など、Tリーグや日本リーグで日々研鑽を積んでいる選手が大勢いる。

馬場美香女子代表監督は「優勝に一番近いと思っているのは第1シードの伊藤美誠。昨年3冠で今年も3冠なるかというところが見どころ。女子シングルスの中では、頭1つ飛び出ているかなと思っている」と、今大会の展望を語った。馬場監督の予想通り、伊藤が圧倒的な力を見せつけるのか。それとも、平野や石川が伊藤の3連覇に待ったをかけるのか。注目だ。

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女子シングルスジュニアの部見どころ


写真:世界選手権1次選考会での出澤杏佳(大成女子高)/撮影:ラリーズ編集部

昨年度優勝の出澤杏佳(大成女子高)が出場するジュニアの部。注目はやはりその出澤杏佳だ。昨年ノーシードから優勝を果たしたシンデレラガールは以降、大阪国際招待ジュニアの部優勝アジアジュニア選手権シングルス準優勝世界ジュニア選手権団体準優勝など、全日本ジュニア優勝がフロックでないことを証明してきた。

現在高校2年生の出澤にとって、ジュニアの部での出場は今大会が最後となる。連覇を達成し、有終の美を飾れるか。

対抗は、昨年度ベスト4の木原美悠。昨年の全日本では、快進撃を続けて準優勝に輝いた一般の部とは対照的に、ジュニアの部では準決勝で大藤沙月(ミキハウスJSC)に苦杯を嘗めさせられた。それだけに今大会へかける木原の思いは相当強いはずだ。

昨シーズンは、世界ジュニア選手権ダブルス優勝グランドファイナル女子ダブルス優勝と、木原にとって飛躍の一年となった。国際舞台で得た経験を生かして、初優勝を狙う。

ノーシードにも、木下アビエル神奈川所属のTリーガーである張本美和(木下グループ)、地元大阪代表で2019世界ジュニア選手権代表選考会にも参加した菅澤柚花里(四天王寺高)、一般の部にも出場する小塩遥菜(JOCエリートアカデミー)、2019年東アジアホープスシングルス3位の小塩悠菜(石田卓球クラブ)など、実力のある選手が控えている。

誰が優勝してもおかしくない、今年の女子ジュニアの部。令和初の戦いを制して、次世代のヒロイン候補となるのは、果たしてどの選手か。

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