全日本見どころ・張本智和編 3年ぶりの王座奪還目指す<全日本卓球2021> | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:張本智和(木下グループ)/撮影:ラリーズ編集部

大会報道 全日本見どころ・張本智和編 3年ぶりの王座奪還目指す<全日本卓球2021>

2020.12.29

文:ラリーズ編集部

2021年1月11日から17日にかけて、全日本卓球選手権大会が開催される。第2シードとして出場する東京五輪代表・張本智和(木下グループ)は優勝候補の筆頭と言えるだろう。

昨年度は決勝で宇田幸矢(明治大学)と対戦し、激戦の末に僅差で敗れた。あれから1年、COVID-19の流行による大会の中止や延期が相次ぐ中、フォームの改造に取り組んだ張本。およそ8ヶ月ぶりの国際大会となった男子ワールドカップでは世界王者・馬龍(中国)に肉薄し、3位入賞を果たした。

進化を続ける張本は今年、どんな戦いを見せてくれるのだろうか。2018年の初優勝以来、3年ぶりの王座を目指す張本のシングルスの山場を見ていこう。

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初戦となる4回戦に注目

張本はスーパーシードであるため、4回戦からの登場となる。まずはこの初戦が一つの重要なポイントになるだろう。


写真:張本智和(木下グループ)/撮影:ラリーズ編集部

シード選手にとって、トーナメントを勝ち上がり、勢いに乗っている相手を迎え撃つことは簡単ではない。実際に、スーパーシードの選手をノーシードの選手が下す展開は毎年のように起きている。張本はここ数年危なげなく初戦を突破してきているが、今年も油断は禁物だ。

準々決勝でリオ銀・吉村真晴と再戦か


写真:吉村真晴(愛知ダイハツ)/撮影:ラリーズ編集部

準々決勝では、吉村真晴(愛知ダイハツ)や及川瑞基(木下グループ)らのブロックの勝者と対戦することになる。

張本と吉村は2019年、2020年と2年連続で準々決勝で対戦しており、いずれもストレートで張本が勝利している。


写真:吉村真晴(愛知ダイハツ・琉球アスティーダ)/提供:©T.LEAGUE

しかし、吉村もTリーグの試合後の会見で「去年一昨年と張本選手に負けているので、全日本はしっかりと準備をして、必ずそこまでいってリベンジできるように」とコメントしており、雪辱を果たすためにしっかりと対策をしてきているに違いない。Tリーグでは12月時点でシングルス勝利数トップをマークしており、存在感を示している。

ともに優勝を経験している両者の戦いは、間違いなくハイレベルな内容になるだろう。

準決勝もTリーガー対決が実現か


写真:大島祐哉(木下グループ)/撮影:ラリーズ編集部

準決勝では吉田雅己(栃木県スポーツ協会)や大島祐哉(木下グループ)、神巧也(T.T彩たま)らがいるブロックの勝者と対戦することになる。このブロックは他にも田添響(岡山リベッツ)、平野友樹(協和キリン)、有延大夢(リコー)と、Tリーガーがひしめく群雄割拠のブロックだ。


写真:大島祐哉(木下グループ)/撮影:ラリーズ編集部

中でも張本にとって難敵となるのは大島だろう。Tリーグでは同じ木下マイスター東京に所属しており、お互いの手の内はよく知っている。さらに、2019年の全日本で張本は大島に敗れ、連覇を阻まれている。仮に対決が実現すれば、奇しくも当時と同じ準決勝での対戦となる一戦。過去の自分を乗り越え、決勝に進むことができるか。

激戦必至の決勝戦


写真:宇田幸矢(明治大学)/撮影:ラリーズ編集部

最後にして最大の山場はもちろん決勝だ。どの選手が勝ち上がってくるかは正直なところ予想が難しいが、張本にとって難敵となるであろう選手をピックアップしたい。

まずは前回王者・宇田幸矢だ。昨年は決勝でフルゲームの死闘の末に張本を破り、初優勝を決めた。その後世界ランクトップ50入りを果たし、2020年のTリーグでも存在感を示すなど、着実に成果をあげている。電光石火のカウンターをはじめとした攻撃的なプレーが持ち味の宇田に対し、張本は臆さず自分のプレーを貫くことができるかが鍵になるだろう。


写真:宇田幸矢(明治大学)/撮影:ラリーズ編集部

前回ベスト4の戸上隼輔(明治大学)にも注目したい。昨年は準決勝で張本と対戦し、3ゲームを先取して張本を追い詰めた。さらに、2020年のTリーグでは張本に2連勝しており、対張本に自信を持っているはずだ。Tリーグでの試合で苦しめられた戸上のバックハンドをいかに攻略するかが勝負の分かれ目になるだろう。


写真:戸上隼輔(明治大学)/撮影:ラリーズ編集部

張本、宇田、戸上の3人は2024年のパリ五輪を狙うライバルとして、お互いの気持ちがぶつかり合う激しい戦いになること間違いなしだ。

2019年はベスト4、前回は準優勝に終わり、悔しさを味わった張本。全日本での借りは、やはり全日本で返すしかないだろう。一年の幕開けとなる大事な一戦を優勝で飾り、五輪に向けて良いスタートを切ることができるか。張本の戦いぶりに注目だ。

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写真:戸上隼輔(写真左)・宇田幸矢(ともに明治大学)/撮影:伊藤圭

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