文:ラリーズ編集部
<世界選手権日本代表選考合宿 日時:8月30日~9月2日 場所:新潟県・新発田市カルチャーセンター>
2日、世界選手権の日本代表選考合宿は最終日を迎え、男子決勝リーグの全試合が終了した。宇田幸矢(明治大)、森薗政崇(BOBSON)、戸上隼輔(明治大)の3名が代表権を獲得した。
男子総括
写真:森薗政崇(BOBSON)/撮影:ラリーズ編集部
男子では宇田が6勝1敗で1位となり代表権獲得、次いで森薗も5勝2敗で2位となり代表権を獲得した。
写真:戸上隼輔(明治大)/撮影:ラリーズ編集部
残る1枠をかけ、戸上、木造勇人(愛知工業大)、及川瑞基(木下グループ)が4勝3敗で並んでいたが、戸上がゲーム数のわずかな差で抜け出し、代表権を獲得した。男子の最終結果は以下の通り。
宇田幸矢 コメント
リザーブとして五輪で感じたもの
(宇田)もちろん選手たちの懸ける思い、五輪はすごい大きなものなんだなって間近で感じましたし、僕の中で得たものは戦術的なものです。
間近でトップ選手のプレーを見ることができたので、ただ応援するだけでなく戦術的な面を見て、そこで今回試合勘が冴えていたのかなと考えていますね。
どの選手が一番参考になったか
(宇田)水谷さんは、毎回毎回試合を見ていたので、すごくうまいなって思いましたし、逆に中国選手とかシングルスで見ていた林昀儒選手とか、同じ左なので見てて上手さは感じた。そこを見て何か無理をしないとか自分に取り入れられるところを見ていた。
自分はどんどん攻撃していくのが1つの武器だと思っているので、逆にそれが仇となってミスに繋がってしまう。そのメリハリというのが世界のトップ選手は上手いと見てて思いました、
リザーブとして張本や水谷の練習相手や球拾いの他、裏方の雑務とかもあったのか?
(宇田)もちろん練習相手もやりましたし、団体戦の時はみんな一緒なんですけどシングルスとかは時間がバラバラで、トレセンに行って練習相手がいなければ練習の相手もしますし、練習相手が足りてたらボール拾いしたりとかはあります。
それも1つ1ついい経験になったかなと思います。
五輪終わって、パリまで3年。スイッチは入っている感じはあるか?
(宇田)リオ五輪はテレビで見る、応援することはあったんですけど、(東京五輪は)間近で見て雰囲気もすごく味わいましたし、自分もそこの舞台に立ちたいって強く感じました。
パリ五輪まで時間はないですけど、しっかりやることはやって、まずは代表権を獲得できるように頑張っていきたいです。
腰痛めたのはいつ?
(宇田)全日本選手権優勝したのが(2020年)1月で、4月に大学に入るとともに違和感を感じて、蓄積の疲労骨折といった感じで腰を痛めてしまった。緊急事態宣言が当時あったので、5月に病院の方行って、検査を受けたら疲労骨折で、3か月一切練習もトレーニングもしない長い期間があった。
一週間も休んだことがなかったので、安静にしながら我慢する時期があった。そこから1からスタートみたいな感じで、練習での疲労も(原因で)あったので、同じような打ち方をしてしまうとまた痛めることになってしまう。少しフォームを改善しながらやっていくのが、2,3か月前ぐらいまでですかね。
アジア選考会終わった時ぐらいには迷走していて、特にフォアハンドが自分の中で変わってしまったなって感じていた。
そこから立て直していくのもそうですし、8月から練習少しずつスタートしてやれば痛くなるし、トレーニングも負荷をかければ次の日に支障が出たりとか、なかなかやれることができなかった。
やっとここ2か月ぐらいで何をしても落ち着いてきた、しっかりと練習に打ち込めるようになってきたっていうのは、すごく大きく感じていますね。
腰を痛めていた中から復活して7ゲームマッチを11試合。何か収穫は?
(宇田)今回、もちろん台上技術の安定感もありましたけど、フォアハンドの連続性というもの、決定打が得点につながったという風に感じてます。
そこは大きく評価したいと思っていますし、全日本以来の7ゲームでハードなスケジュールだったんですけど、その中でトータル10連勝できたことは、大きな自信になりましたし、試合を重ねていくうちに自信になっていきました。
水谷から学んだこととは、具体的には?
(宇田)自分が攻めなくても点が取れるとか、見た目が派手でなくても返すタイミングであったりコースであったり、相手をうまくずらして点数を取ったり、前半の駆け引き・後半の駆け引きで最後に点につながるような持って行き方は参考になりました。
(水谷と)結構話したのか?
(宇田)たくさん話させていただきました。こう挑んでいるというのは聞かないですけど、見て感じ取ることが多かったです。試合のことはそこまで話してないですけど、一緒にいていろいろなことは学びました。
大会期間中から、それとも事前合宿の期間から?
(宇田)事前合宿からもそうですし、五輪前からアジア選手権選考会の前だとか、ずっと近くで見ていたので、いろいろなことを感じました。
(水谷から)「パリ頑張れよ」とは言われなかったのか?
(宇田)(水谷が)ミックスの金メダル獲得したときに、みんなで写真撮ったりだとか、メダルをかけてあげるとかやってて、最初冗談で「パリ五輪で取るんだから、かけなくていいでしょ」っていう風に言われました。
最終的にはメダルかけて写真撮ってくれたんですけど(笑)
水谷引退。感じるものは?
(宇田)水谷さんがいたからこその男子卓球界だったりとか、偉大さは五輪を通じて感じて、引退表明もありましたけどすごく大きな存在だったなという風に改めて感じました。
男子 決勝リーグ最終結果
1位 宇田幸矢(明治大学) 6勝1敗(代表権獲得)
写真:宇田幸矢(明治大)/撮影:ラリーズ編集部
2位 森薗政崇(BOBSON) 5勝2敗(代表権獲得)
写真:森薗政崇(BOBSON)/撮影:ラリーズ編集部
3位 戸上隼輔(明治大学) 4勝3敗(代表権獲得)
写真:戸上隼輔(明治大)/撮影:ラリーズ編集部
4位 木造勇人(愛知工業大学) 4勝3敗
写真:木造勇人(愛知工業大)/撮影:ラリーズ編集部
5位 及川瑞基(木下グループ) 4勝3敗
写真:及川瑞基(木下グループ)/撮影:ラリーズ編集部
6位 篠塚大登(愛工大名電高校) 2勝5敗
写真:篠塚大登(愛工大名電高)/撮影:ラリーズ編集部
7位 田中佑汰(愛知工業大学) 2勝5敗
写真:田中佑汰(愛知工業大)/撮影:ラリーズ編集部
8位 平野友樹(協和キリン) 1勝6敗
写真:平野友樹(協和キリン)/撮影:ラリーズ編集部
世界選手権日本代表選考合宿とは
2021年11月23日からアメリカのヒューストンで行われる世界選手権個人戦の出場権をかけて、日本国内でトップクラスの実力を持つ選手が一堂に会する。男女シングルスではそれぞれ5名まで出場権を獲得することができ、男子3名、女子2名をこの選考合宿で決める。
この選考合宿には、アジア選手権選考会で10位に入った選手や、全日本ジュニアやインターハイ等で優勝した選手など男女各24名が出場する。予選で6名ごとのリーグ戦を行い、各リーグ上位2名が決勝リーグへと進む。決勝リーグに進んだ選手には、来年に開催が予定されている第1回Road to Paris選考会(パリ五輪の国内選考会)への出場権を得ることができる。
また、この選考合宿は有観客で行われる。開催地である新潟県の方を対象に各日350人を動員する。コロナ対策も徹底し、来場者には事前にチェックシートの記入が求められている。
戸上隼輔インタビュー
写真:戸上隼輔/撮影:伊藤圭
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