【特集】 毎年2000人の現役・OBが集う“卓球界の頭脳”「全国公」とは


*写真は高知工科大学・女子チーム(「全国公」女子団体8連覇)

高偏差値の卓球愛好家集団「全国公」とは?

国内500万人とも言われる卓球愛好家の中で、最も”頭のいい”卓球プレーヤーが集まるコミュニティがある。全国の国公立大学卓球部169校の現役・OBからなる「全国公(ぜんこっこう)」だ。

国公立大学卓球連盟と称する組織には、日本の最高学府である東京大学や、”西の東大”とも言われる京都大学をはじめとする旧帝大(北海道、東北、東京、名古屋、京都、大阪、九州の7校)や東工大、一橋大学などの卓球部員が所属し、学生の本分である学業の合間に厳しい練習をする。まさに文武両道だ。

全国公、男子団体2連覇の高知工科大学
写真提供:国公立大学卓球連盟

そして昭和36年から、年に1度の「全国国公立大学卓球大会(全国公)」で一同に会する伝統が続いている。58回目となった今年8月の大会には国内有数の規模となる約1400人が出場した。大会参加者には開成や灘などの勉強の名門高校出身者に加え、台湾やドイツなどからの留学生も多い。また愛工大名電や明徳義塾、東山高校などの卓球名門校出身者もいるなど、勉強のレベルだけでなく卓球のレベルも高く、参加者の多様性に富んでいた。

過去の大会の出場者を見ると、現女子ナショナルチームの平野美宇選手(Tリーグ・日本生命レッドエルフ)の父・平野光正氏(筑波大学)が男子シングルスで2連覇(1987、88年)を飾っていたり、ロンドン五輪女子団体銀メダリストの平野早矢香さんの両親が宇都宮大学卓球部出身であるなど、名選手のルーツが全国公にあることが確認できた。

国公立大学卓球連盟では大会の主催の他にも、ブンデスリーガ有数の実力チームがあるデュッセルドルフ等への海外遠征や、卓球研修会の実施によって国公立大学生の卓球技術向上を図ると共に、毎年500名規模のOB・OG大会の開催によって、全国に広がる卓球部出身者ネットワークをフルに活用できるような体制を整えている。他にも、現在日本卓球協会のスポーツ・フォー・トゥモロー(スポーツを通じた開発途上国支援事業)の一環として、中古ラバーの寄付に積極的に協力するなど、卓球を通じたグローバルな社会貢献にも寄与している。

全国公の卒業生(OB・OG)のキャリアも多彩だ。有名企業や官公庁や自治体への就職に加え、医師や薬剤師などの専門職などに就く方が多いが、その傍らで趣味で熱心に卓球を継続する方も多いという。また、卓球メーカーをはじめとする卓球関連事業に携わったり、各地域の協会や連盟で活躍するなど、卓球の普及を支える全国公OBOGも増えてきた。昨今の卓球人気が高まりの中、全国公の地道な活動による人材輩出が卓球の普及に一役買っているのだ。

10月にTリーグ開幕を控え、東京五輪でのメダル獲得への期待が高まる中、卓球のさらなる普及(メジャー化)へ向けたキーマンが“卓球界の頭脳”とも言える全国公から輩出されることを期待せずにはいられない。

今年8月に行われた全国国公立大学卓球大会、9月のOBOG大会の結果は以下の通り。

現役の部は高知工科大学がアベック優勝

<2018年8月14日~17日、第58回全国国公立大学卓球大会、於:スカイホール豊田>

8月、全国国公立大学卓球大会が愛知県・豊田スカイホールにて開催された。前週までインターハイが行われていた会場には全国の国公立大学生約1400名が集い、その頂点を争った。

今大会は男女シングルス、団体共に新潟大学と高知工科大学の上位進出争いとなり、男子団体では高知工科大学が昨年に引き続き連覇を達成。女子団体でも高知工科大学が圧倒的な強さで8連覇を飾った。

男子シングルス優勝の佐藤悠樹(新潟大学)
写真提供:全国国公立大学卓球連盟

男子シングルスを制した佐藤悠樹は1年生からシングルス準優勝、翌年も準優勝、そして去年、今年は優勝。有終の美を飾り、4年間を締めくくった。女子シングルスでは新潟大学の1年生のルーキー・永目真唯が初優勝を飾った。永目は高知県の卓球名門校、明徳義塾高校出身だ。

女子シングルス優勝の永目真唯(新潟大学)
写真提供:全国国公立大学卓球連盟

OBOGの部も熱戦を展開

<2018年9月8日、第22回全国国公立大学OB・OG卓球大会、於:サイデン化学アリーナ>

国公立大学卓球連盟の長内理事長(左)と全国国公立OBOG卓球大会男子一般優勝の神戸大(右)
写真:ラリーズ編集部

全国公のすごいところは卒業後でも全国からOBが集い、プレーと交流を継続しているところだ。例年秋頃に首都圏近郊で開催されるOBOG卓球大会がその代表的な活動だ。また試合終了後には懇親会が開かれ、「昨日の敵は今日の友」と言わんばかり、交流を深める伝統がある。

今年は9月8日に団体戦が行われ、Tリーグ・T.T彩たまのホームゲームでも使用されるサイデン化学アリーナに約500名のOBOGが集結。男子は一般、シニア共に、東西を代表する国公立の戦いとなり、一般では西の神戸大が、シニアでは東の筑波大が見事優勝を飾った。

一方女子では熾烈な関西勢同士の対決となり、九大・阪大混成チームに軍配が上がり、京大チームが惜しくも準優勝となった。

全国国公立大学卓球大会 最終結果詳細

男子団体

<優勝>
高知工科大学

<準優勝>
神戸大学

<ベスト4>
新潟大学、愛媛大学

男子シングルス

<優勝>  
佐藤悠樹(新潟大学)

<準優勝>
竹中宏旭(高知工科大学)

<ベスト4>
浅沼悠太(新潟大学)、岡本光市(高知工科大学)

男子ダブルス

<優勝>
後藤・力武(高知工科大学)

<準優勝>
石田・佐藤(新潟大学)

<ベスト4>
仲・篠木(高知工科大学)、岡本・山本(高知工科大学)

女子団体A

<優勝>
高知工科大学

<準優勝>
新潟大学

<ベスト4>
大阪大学、神戸大学

女子団体B

<優勝>
筑波大学

<準優勝>
高知県立大学

<ベスト4>
奈良県立大学、大阪教育大学

女子シングルス

<優勝>
永目真唯(新潟大学)

<準優勝>
田巻美帆(新潟大学)

<ベスト4>
福島彩子(高知工科大学)、河渕雅友(高知工科大学)

女子ダブルス

<優勝>
福島礼子・福島彩子(高知工科大学)

<準優勝>
水野・石川(新潟大学)

<ベスト4>
江口・渡邊(高知工科大学) 真門・児玉(高知工科大学)

全国国公立大学OBOG卓球大会 最終結果詳細

一般団体

<優勝>
神戸大A

<準優勝>
東大A

<ベスト4>
東北大A、名古屋大A

シニア団体

<優勝>
筑波大A

<準優勝>
神戸大A

<ベスト4>
京大A、名古屋大

女子団体

<優勝>
九大阪大混成

<準優勝>
京大A

<3位>
金沢大

取材・文:川嶋弘文(ラリーズ編集長)
写真提供:国公立大学卓球連盟

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