伊藤美誠、世界1位に惜敗も価値ある準優勝<卓球・スウェーデンオープン> | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:伊藤美誠(スターツ)は大会連覇ならず/提供:ittfworld

大会報道 伊藤美誠、世界1位に惜敗も価値ある準優勝<卓球・スウェーデンオープン>

2019.10.07

文:ラリーズ編集部

<ITTFワールドツアー・スウェーデンオープン 2019年10月1日~10月6日>

10月6日、スウェーデンオープンは大会最終日を迎え、女子シングルスに伊藤美誠(スターツ)が登場した。次代の中国を担う王曼昱(ワンマンユ)、孫穎莎(スンインシャ)を連破した伊藤美誠は陳夢(チェンムン・10月世界ランキング1位・中国)と対戦した。

陳夢は、準々決勝で劉詩雯(リュウスーウェン・中国)との同士討ちを制し、世界選手権のリベンジを果たした。続く準決勝では石川佳純(全農)を破った劉斐(リュウフェイ・中国)のカットを打ち切って決勝へと勝ち進んでいる。伊藤は2015年のグランドファイナルで1度だけ対戦しており、ゲームカウント1-4で敗れている。

ここまで中国選手を連破している伊藤だったが。今回の対戦ではゲームカウント3-4で惜しくも敗れた。昨年のスウェーデンオープンで中国のトップ3選手を撃破し、中国メディアから「大魔王が現れた」と称された伊藤。今大会、中国主力選手を3連破は叶わず、中国はスウェーデンの地で大魔王を撃ち破ることとなった。

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伊藤が4年越しのリベンジならず


写真:陳夢(中国)/提供:ittfworld

試合はフォアハンドが強力な陳夢にフォアハンドを振らせないように1点目からバック側を執拗に攻めたかと思えば、意表をついたストレート攻撃で、陳夢のフォアを抜く。

それに対して伊藤の表ソフトの返球を嫌った陳夢は、伊藤のフォア側を攻める。しかし伊藤は全く打点を落とさずに対応した。陳夢の2本のサーブミスに加え、伊藤の手元で急激に伸びる巻き込みサーブと絶妙な長さのフォア前への巻き込みサーブが効き、1ゲーム目を奪う。

続く2ゲーム目、伊藤がさらにギアを上げ、バック対バックから突然陳夢のフォアをつき、先手を取る。対する陳夢はバックにロングサーブを出し、伊藤の多彩なレシーブを封じつつ、伊藤のフォア前にサーブを集める。反応が遅れ、戻りが遅くなった伊藤の隙を見逃さずに先手を取ると、威力のある両ハンドドライブで得点を重ねる。ややミスが目立った伊藤は2ゲーム目を落とす。

3ゲーム目、伊藤は男子のドミトリ・オフチャロフ(ドイツ)を彷彿とさせる投げ上げ巻き込みサーブや、逆チキータで得点し、多彩な攻撃を見せる。その後もフォア側のハーフロングのサーブで陳夢のレシーブを甘くさせて得点すると、再び伸びるサーブでサービスエースを取ると一気に差をつけ、3ゲーム目を奪う。

4ゲーム目は陳夢が伊藤の打球に対応し始め両ハンドの強打で得点を重ねるが、伊藤はブロックで前後に揺さぶる。さらにチキータやカットブロックで変化をつけ、陳夢に完璧な強打をさせない。陳夢もサーブを出す位置を変えて伊藤のレシーブを乱すことに成功するが、終盤で伊藤がフォア側から陳夢のバック前にサーブを出し、甘くなった陳夢のレシーブを見逃さずバックで得点。デュースを制して、勝利に王手をかける。

5ゲーム目はフォア側から陳夢のフォアへとハーフロングのサーブを出し、バックブロックで変化を加えながら陳夢を翻弄。たまらず陳夢がタイムアウトを取ると、タイムアウト明けからは一転して速いテンポで陳夢を攻める。

リズムをつかめない陳夢だったが、ここから高い集中力で世界ランキング1位の意地を見せる。伊藤の速いピッチに対しても一歩も引かず、回転量の多いバックドライブで2ゲームを連取し、フルゲームまで持ち込む。

最終ゲーム、伊藤は6ゲーム目からフォアハンドでも積極的に得点を重ねており、このゲームも陳夢の強烈なドライブに対してフォアカウンターで応戦。5-4の伊藤リードで折り返したが、次のラリーで伊藤のカウンターを陳夢がバックハンドでさらにカウンターして得点。この1点で勢いづいた陳夢が鬼気迫るプレーで7連続得点で、ゲームカウント1-3から大逆転勝利を収めた。

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詳細スコア

伊藤美誠 3–4 〇陳夢(中国)
11-8/6-11/11-7/12-10/8-11/9-11/5-11

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