【卓球】中国の牙城崩した伊藤 Vの秘訣は唯一無二の“変化”にあり<シリーズ/徹底分析・女子スウェーデンOP>

伊藤


*写真:伊藤美誠(スターツSC)/TT News Agency(アフロ)

<2018スウェーデンオープン(ストックホルム) 2018年10月29日~11月4日>

伊藤美誠(11月度世界ランキング7位・18歳)=スターツSC=がスウェーデンオープンで世界ランク1,2,6位の中国選手を次々と撃破し優勝。難攻不落だった“中国の牙城”を18歳の伊藤があっさりと崩してしまったのだ。

準々決勝で劉詩文(同6位・27歳)=中国=に逆転勝利、準決勝で現世界女王・丁寧(同2位・28歳、2016年リオ五輪金メダリスト)=中国=にまたも逆転で勝利、そして決勝では世界ランク1位の朱雨玲(23歳)=中国=に圧巻のストレート勝ち。

ラリーズでは、なぜ伊藤が次々と中国選手を破ることに成功したのか、伊藤の特徴である“変化”に着目してその理由を分析した。

伊藤の強さ1:競ったシーンでの積極的なサーブ・レシーブ

丁寧

準決勝での丁寧(中国)は途中から明らかに「どうすれば良いか分からない」状態に陥っていた。


伊藤の卓球を見ていて、「勝負強い」と感じる方も多いのではなかろうか。実際に、今年の世界卓球(団体戦)で劉詩文を破った際にはゲームカウント2-2、8-10でマッチポイントを握られたところから逆転勝利している。

今大会の準決勝、丁寧戦でも、ゲームカウント0-2、6-10で第3ゲームのゲームポイントを握られたところから逆転し、そのまま勝利を飾っている。

このシーンを見てみると、7-10で丁寧がフォア前にきたサーブに対してサーブミス、1点前に出したサーブと同じようなコースに出されたサーブだが、世界女王でも変化が上手く読めなかったようである。

そして、丁寧が得意とする必殺のしゃがみこみサーブ。普通の選手であれば、回転が分からず、返すだけになりがちではあるが、伊藤はバックハンドで思い切ってレシーブ。丁寧の予想を大幅に外し、見事このゲームを取ったのだ。

格上選手に対して、リードされた状態から逆転することは困難を極める、加えて、相手が世界女王なら尚更だ。しかし伊藤は技術そのものの独自性と、自身が決めた確固たる戦術を実行する精神力の強さを持ち合わせている。

伊藤の強さ2:通称「みまパンチ」、ボールの“変化”で得点重ねる


今大会、特に目立っていたのが、伊藤の得意技である通称「みまパンチ」こと強烈なカウンタースマッシュだ。パワーでは、日本の石川佳純や中国選手が上回っている中で、なぜあそこまで気持ちよく伊藤のスマッシュが決まったのだろうか。

その秘密は、伊藤の独特な“無回転”のボールにある。現代の卓球では、表面がツルツルしてる「裏ソフトラバー」を使用し、ボールに上回転(トップスピン)をかける「ドライブ打法」が主流であるが、伊藤のスマッシュはボールを叩くようにして打つため、回転がほとんどかかっていない無回転のボールになるのだ。

現代卓球であまり使用されることのない無回転のスマッシュは、普段中国選手にとっても受けることのない球質であるため、その場で対応することができなかった、ということだ。

決勝を振り返ってみると、朱雨玲はバックハンド対バックハンドで戦うも、伊藤の表ソフトラバー(表面にツブツブがあるラバー。無回転のボールが出やすい。)から繰り出される独特の無回転のボールに苦しみ、思い切った攻撃ができない。そこでフォアにコース変更をした瞬間、伊藤の「みまパンチ」を食らってしまう展開が多かった。

つまり、どこにボールを打っても、普段あまり受けることのない“変化”があるボールが返ってくるのだ。バックハンドの緩急あるボール。そして、フォアハンドではかなり早い打点で厳しいコースにスマッシュ。これでは為す術がない。

中国選手はドライブ対ドライブの撃ち合いでは滅法強いものの、伊藤のような圧倒的な変化を持っている選手にはまだ対応できていないのかもしれない。

このように、伊藤は今までの卓球選手になかった独特な“変化”を使いこなせる数少ない選手であることが分かる。今後も伊藤の唯一無二の“変化”は打倒中国の大きな要になるのではなかろうか。

文:ラリーズ編集部

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