文:ラリーズ編集部
<卓球 ヨーロッパ五輪予選 4/21~4/25>
新型コロナウイルスの影響で開催延期となった東京五輪、その本戦に向けて世界の各地域で予選が行われている。今回は、4月21日から行われるヨーロッパ五輪予選について見どころを紹介する。
ヨーロッパ五輪予選
写真:ポール・ドリンクホール(イングランド)/提供:ittfworld
開催地がロシアのモスクワからポルトガルのリスボンへと変更され、日程も2021年2月10日から14日で行われる予定が延期となって4月21日から25日で行われることになったヨーロッパ五輪予選では、男子シングルスと女子シングルスの本選出場者を決定する。
試合は全て7ゲームマッチで行われ、男子シングルスは5つ、女子シングルスは4つの東京五輪出場枠が存在し、各国の代表者が出場権獲得を目指して争う。
東京五輪シングルスのヨーロッパ代表には、2019年7月に開催されたヨーロッパ競技大会での男女上位3選手ずつが既に内定している。
男子は、ティモ・ボル(ドイツ)、ジョナサン・グロート(デンマーク)、トミスラブ・プツァル(クロアチア)、女子はユ・フ(ポルトガル)、ハン・イン(ドイツ)、57歳の倪夏蓮(ニーシャーリエン・ルクセンブルク)の3選手ずつである。
男子シングルス見どころ
男子シングルスの注目選手は、出場者の中で最も世界ランキングが高いダニエル・ハベソーン(オーストリア)だ。
右シェーク裏裏の攻撃型で、両ハンドを駆使した力強いプレーが特徴的である。彼のプレーで最も有名なものの一つに、中国選手とダブルスを戦った際に繰り出した背面打ちがあり、とっさの判断や反応にも優れていると言える。現在の世界ランキングは44位だ。
2017年の世界卓球男子シングルス1回戦では、日本の松平健太にフルゲームの熱戦の末に勝利しており、その他にもドミトリ・オフチャロフ(ドイツ)やマルコス・フレイタス(ポルトガル)といったトップ選手相手に勝利したこともあり、経験も豊富だ。
写真:ダニエル・ハベソーン(オーストリア)/提供:ittfworld
世界ランキングで次点につけるのは、現在49位のパナギオティス・ジオニス(ギリシャ)だ。右シェーク裏粒のカットマンで、粘り強いカットと強烈なカウンターを兼ね備えた攻守ともに隙のない選手である。
ジオニスは41歳とベテランの域に達してなお衰えを知らない選手だ。Tリーグのビクトリーマッチでは日本の張本智和を倒したり、林昀儒(リンインジュ・チャイニーズタイペイ)にも勝利した経験があるなど、勢いに乗る若手選手に対しても自分の強みを最大限に引き出したプレーをすることができる選手である。
写真:パナギオティス・ジオニス(ギリシア)/提供:ittfworld
また、上述したハベソーンに対しては、3勝2敗と勝ち越している。本戦出場枠獲得に十分見合った実力を備えているジオニスが並み居る強豪を相手に枠をつかむことができるのかに注目だ。
女子シングルス見どころ
女子の注目選手はハナ・マテロバ(チェコ共和国)だ。右シェーク裏裏の攻撃型で、両ハンドともに十分な威力のドライブを持っており、中陣からも強力なバックドライブをしかけることができるパワフルな選手である。
ダブルスでは後述するバラボラ・バラージョバ(スロヴァキア)選手と組むことが多く、2021年WTTスターコンテンダードーハ大会において、日本の木原美悠、早田ひなペアと熱戦を繰り広げるなど、本選出場に値する実力を備えた選手の一人である。
写真:ハナ・マテロバ(チェコ共和国)/提供:ittfworld
世界ランキングで54位と、51位のハナ・マテロバに次いで出場者の中で2番手に位置するバラージョバにも注目だ。左シェーク裏裏の攻撃型で、強力なYGサービスやチキータが特徴的である。
2019年の中国オープンの予選では日本の加藤美優とフルゲームを戦うなど、十分に本選出場を狙える位置にいる。男子よりも参加人数が多いが枠は1つ少ないという厳しい条件の中で出場枠を勝ち取ることはできるのだろうか。
写真:バーボラ・バラジョーバ(スロヴァキア)/提供:ittfworld
まとめ
男女ともにヨーロッパのトップ選手がたくさん参加している。
数少ない出場枠をかけて激戦が繰り広げられること間違いない。世界ランキング上位の選手が安定したプレーで勝ち上がるのか、それとも上位の選手に対して思い切りよく戦う選手が下剋上を遂げるのか、どちらにせよ目が離せない試合になるだろう。