卓球日本男子、2大会連続のメダル獲得 「最高の後輩たちに恵まれた」水谷隼、有終の美 | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:日本男子の張本智和、倉嶋洋介監督、丹羽孝希、水谷隼/提供:森田直樹/アフロスポーツ

大会報道 卓球日本男子、2大会連続のメダル獲得 「最高の後輩たちに恵まれた」水谷隼、有終の美

2021.08.06

文:ラリーズ編集部

<東京五輪卓球競技 7月24日~8月6日 場所:東京体育館>

6日、東京五輪の卓球競技で男子団体3位決定戦が行われた。男子日本代表は韓国代表相手に3-1で勝利し、2大会連続のメダル獲得となった。

左利きペア ラリーで韓国ペアを圧倒


写真:水谷隼(写真左)・丹羽孝希/提供:AFP/アフロ

トップは水谷隼(木下グループ)・丹羽孝希(スヴェンソン)の左利きペアで登場。李尚洙(イサンス)/鄭栄植(チョンヨンシク・韓国)ペア相手に序盤から大きくリードするも、韓国ペアが追い上げを見せる。日本ペアが逃げ切り第1ゲームを取った。

第2ゲームでは韓国ペアがラリーで優位に立つ。日本ペアも台上やカウンターで点を取るが、韓国ペアが11-8で第2ゲームを取り1-1へ。


写真:鄭栄植・李尚洙(写真右・韓国)/提供:ITTF

第3ゲームでは互いに譲らない攻防がデュースまで続く大接戦となった。日本ペアが先に抜け出し、丹羽の緩急をつけた攻撃で第3ゲームを制した。

勝利まであと1ゲームとなった第4ゲームは、日本ペアが早めの展開で得点を重ね、10-5でマッチポイントを握る。最後は中陣から丹羽のフォアハンドが決まり、3-1で勝利。水谷と丹羽が互いに勝利をたたえた。


写真:水谷隼・丹羽孝希/提供:AP/アフロ

エース・張本 相手の猛攻にも怯まず勝利


写真:張本智和(木下グループ)/提供:ITTF

良い流れで回ってきた2番にはエース・張本智和(木下グループ)が登場。張禹珍(チャンウジン・韓国)との試合では、序盤から張本の両ハンドが炸裂し、第1ゲームを奪う。

第2ゲームでは張禹珍が安定したつなぎで張本のミスを誘い、一点を争う展開に。そこから張禹珍が抜け出し、11-8で張禹珍が第2ゲームを取った。


写真:張禹珍(チャンウジン・韓国)/提供:ITTF

第3ゲームでは張本が積極的にチキータを使用するも張禹珍がラリーでリードする。それでも張本のチキータが得点源となり10-8へ。しかし張禹珍もラリーで粘りを見せデュースにもつれ込む。張本がこのデュースを制し、2-1で勝利に王手をかけた。

第4ゲームも張本がストレートを多用した戦術でリードを広げる。張禹珍が威力のあるドライブで食らいつくも張本がマッチポイントを握る。最後は張禹珍の攻撃を張本がブロックして勝利をつかみ取った。日本の勝利まであと1本となった。

丹羽 本来のプレーができず敗戦


写真:丹羽孝希(スヴェンソン)/提供:ロイター/アフロ

3番手で登場した丹羽は鄭栄植に序盤からラリーで圧倒され、第1ゲームを11-3で鄭栄植が制する。第ゲームでは、サービスと3球目攻撃で丹羽が、ラリーでは鄭栄植が得点につなげ、一進一退の攻防が続く。


写真:鄭栄植(韓国)/提供:ITTF

中盤で丹羽のカウンターが決まるも、鄭栄植のラリーの安定感が勝り第2ゲームを取る。丹羽は0-2で後がなくなった。第3ゲームでも丹羽のカウンターが得点につながる場面が多くなる。

鄭栄植が前陣での安定したラリーで丹羽に本来のプレーをさせず、3-0のストレートで勝利した。

大黒柱・水谷、未勝利の相手に集大成を見せつけた


写真:水谷隼(木下グループ)/提供:ITTF

4番手の水谷は、エース起用の張禹珍と対戦。序盤は張禹珍の猛攻に対して、水谷は下がって対応しミスを重ねる。しかし中盤で水谷の前陣でのカウンターが決まりだし、デュースにもつれ込む。ストップ技術でリードを取り、カウンターが得点につながって水谷が先制する。


写真:張禹珍(チャンウジン・韓国)/提供:ITTF

第2ゲームでは水谷が豊富な技術力でリードを広げる。張禹珍のバックサイドへのカウンターが決まりだすと、次はストップで水谷が得点に。張禹珍も持ち前のフットワークの強さでラリーに食らいつくが、水谷が逃げ切り、日本の勝利まであと1ゲームとなった。


写真:水谷隼(木下グループ)/提供:AFP/アフロ

第3ゲームでは水谷のサービスが効き、ラリーでも優位に立つ。リードを広げ、水谷が流れを自分に引き寄せた。そして10-4でマッチポイントを握る。張禹珍が追い上げを見せるも、最後は水谷が張禹珍のミドルにドライブを決め、拳を高くつき上げた。

男子日本代表はリオ五輪に続く2大会連続のメダル獲得となった。

試合後のコメント

水谷さん、大一番、勝負強さ際立ってました

水谷:本当に今でも信じられないというか、そんなにプレーは良くなかったんですけど、気持ちで最後勝てたんじゃないかと思います。

卓球界では難しいとされた左・左ペアの勝利が、メダル獲得を後押ししました

丹羽:僕はどんなにミスしても、水谷さんが強気で攻めていけ攻めていけって言ってくれたので、僕も調子が出てきたと思います。

水谷さん、左・左ペア、試合を追うごとに成熟度は増してきましたか

水谷:今までの練習してきた中でも、今日の試合が一番良かったんじゃないかと思いますし、左・左ダブルスの可能性を皆さんに示せたんじゃないかと思います。

張本さん、試合が終わった後、すぐに水谷さんに抱きつきに行きました。どんな思いだったんですか

張本:やっぱり、水谷さんがいての、この日本男子チームなので、最後決めてくれると信じてました。リオからの5年間、感謝しかないです。

張本選手にとっては、初めてのメダルですね

張本:そうですね、世界卓球もオリンピックも初めてのメダルなので、やっと世界のスタートラインに立てた気がします。

水谷さん、東京五輪の男子団体、どんなチームだったでしょうか

水谷:僕は、最高の後輩たちに恵まれて、素晴らしい結果を残すことができたので、今度のパリでは、ぜひ金メダルを目指して後輩たちに頑張ってほしいと思います。

男子3位決定戦 結果

日本 3-1 韓国

〇丹羽孝希/水谷隼 3-1 李尚洙/鄭栄植
11-9/8-11/15-13/11-5

〇張本智和 3-1 張禹珍
11-7/8-11/12-10/11-7

丹羽孝希 0-3 〇鄭栄植
3-11/8-11/7-11

〇水谷隼 3-0 張禹珍
14-12/11-9/11-8

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写真:張本智和(木下グループ)/提供:長田洋平/アフロスポーツ

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