卓球ニュース 伊藤美誠が強豪中国人選手2人を倒し優勝<ライオン卓球ジャパンOP荻村杯・女子6/10(日)結果>
2018.06.10
文:ラリーズ編集部
<LION卓球ジャパン・オープン荻村杯 北九州大会、2018年6月6日〜10日、北九州市立総合体育館>
6月10日、大会最終日となったLION卓球ジャパン・オープン荻村杯の女子シングルスに伊藤美誠(6月度世界ランキング6位・スターツSC)が残り、準決勝に登場した。
伊藤は準決勝で陳幸同(同10位・中国)と対戦し、ゲームカウント4-3で勝利して決勝の舞台に駒を進めた。迎えた決勝では連敗中の宿敵・王曼ユ(同3位・中国)をゲームカウント4-2で破り、見事2017年8月のチェコオープン以来のワールドツアーシングルス優勝を飾った。
女子ダブルス決勝は、劉詩ブンの怪我の影響により劉詩ブン/王曼ユ(中国)が棄権し、顧玉テイ/木子(中国)が優勝した。
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卓球ジャパンオープン(6/10)女子シングルス決勝トーナメント準決勝
準決勝第1試合は、劉詩ブン(同5位・中国) と王曼ユ(同3位・中国)による中国選手対決となった。しなやかなプレーで相手をかわす劉詩ブンと、中国選手の中でも攻撃力に定評のある王曼ユは、いわば「柔」と「剛」。そんな二人の対戦は、想像を遥かに超える打撃戦の末に、「剛」の王曼ユに軍配が上がった。
第2試合には伊藤が登場し、前日に石川佳純(同4位・全農)を破っている中国の陳幸同と対戦した。伊藤は、序盤から相手のバックハンドでの粘りに対してミスを重ねてしまう。伊藤はラリーで広角に打ち分け応戦するも、陳の安定感の前にゲームカウント0-3と追い込まれた。
しかしここで終わらないのが伊藤だ。アップ系の巻き込みサーブを多用して、陳の甘いレシーブを誘い、3球目でスマッシュ。長いラリーに持ち込ませず、3ゲームを連取し、勝負はファイナルゲームへ。
伊藤はファイナルゲーム序盤からレシーブで主導権を握り、陳の打ち手を次々と潰していく。得意の“みまパンチ”も要所で炸裂し、陳は為す術がなくなり、伊藤が大逆転勝利を飾った。
試合後、伊藤は勝因を「第4ゲームで負けてもいいから思い切り行こうと思ったこと」と語った。
卓球ジャパンオープン(6/10)女子シングルス決勝トーナメント決勝
迎えた決勝戦は、伊藤と「剛」の王曼ユが対戦となった。伊藤は2017年ジャパンオープンの準々決勝で王曼ユに敗れているが、さらに前々週の香港オープン、前週の中国オープンでも立て続けに王曼ユにシャットアウトされたばかり。今大会ではなんとしても雪辱を晴らしたいところだ。
序盤から一進一退の攻防が続く中で、伊藤は鋭いスマッシュなどを活かしてリードを奪うと、持ち味のバックハンド、変則レシーブも有効に使い、大事な第1ゲームを先取した。続く第2ゲームも接戦となり、伊藤は9-10と先にゲームポイントを奪われた。伊藤はこの場面で起きた会場からの一際大きな声援に応えるかのように、見事12-10で逆転に成功する。これでゲームカウント2-0とリードを広げた。
第3ゲームもお互い一歩も譲らない展開で6-6までカウントが進む。伊藤がバックハンドで粘り、王曼ユを焦らせミスを誘い、7-6となったところで王曼ユのタイムアウトに。その後、落ち着いた王曼ユに2点連取された7-8の場面を勝負どころと見たか、伊藤もタイムアウトを宣言する。しかし伊藤はこのタイムアウト明けに得点できず、そのまま王曼ユにゲームを奪い返された。
第4ゲームになり、伊藤のブロック・カウンターが決まり始めるとリードを奪うことに成功する。要所でレシーブエースも決めた伊藤がリードを守りきり、ゲームカウント3-1と優勝に王手をかけた。ここで決めたい伊藤であったが、王曼ユの強気なプレーとアンラッキーな失点にリズムを崩され、第5ゲームは奪われてしまった。
続く第6ゲーム、シーソーゲームの展開に会場の空気も緊張感に包まれた。伊藤はサービスエースで得点を進めるが、それ以上に王曼ユの回転量のある「剛」のボールに対する失点が重なり、8-10とピンチになるも、会場の割れんばかりの声援に後押しされ、4本連取しゲームを締めくくった。
この最終ゲームについて、伊藤は試合後「先月の香港オープンで王曼ユ選手に負けた時、ゲームカウント3-1とリードしていたところから追い上げられた。同じ展開には絶対にするものかと苦しかったが踏ん張ったし、苦しかった時に日本の皆様の声援がとても力になった。」とコメントしていた。
17歳の伊藤が、地元日本開催のジャパンオープン決勝という最高の舞台で、宿敵・王曼ユにリベンジを果たし、嬉しいツアー優勝を飾った。
優勝後のコメント
伊藤美誠「ジュニアの頃からずっと戦い続けて来た同年代の選手である王曼ユ選手に勝てて本当に嬉しい。王曼ユ選手のことはずっと雲の上の存在だと思っていた。これからも同年代のライバルとして、切磋琢磨していきたい。そして、叶うなら東京オリンピックの決勝で王曼ユ選手と対戦したい。」
王曼ユ「小さい頃から戦って来た伊藤選手なので、まずは『おめでとう』と言いたい。私自身も東京五輪に出るためにまずは中国の中で勝ち抜かなければならないと思っている。その上で、東京五輪の決勝戦で伊藤選手と当たれるかどうかは伊藤選手の努力次第だと思う」
二人の記者会見では試合の時とは一転して、笑顔が絶えない会見であった。小さい頃から競い合って来た好敵手同士として、国を越えて素直にお互いをリスペクトしているからだろう。
東京五輪で再び同年代のライバルが相見えることを願ってやまない。
卓球ジャパンオープン(6/9)女子結果
シングルス
<準決勝>
劉詩ブン(中国) 2-4 王曼ユ(中国)
7-11/11-7/10-12/11-9/6-11/6-11
伊藤美誠(スターツSC) 4-3 陳幸同(中国)
8-11/9-11/6-11/11-9/11-9/11-7/11-7
<決勝>
伊藤美誠(スターツSC) 4-2 王曼ユ(中国)
11-7/12-10/8-11/11-7/6-11/12-10
ダブルス
<決勝>
顧玉テイ/木子(中国) 不戦勝 劉詩ブン/王曼ユ(中国)
※相手棄権のため