「Tリーグ合流は2021年以降に検討」日本リーグ佐藤真二氏が語る「松下とは仲良いよ!」 | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

卓球インタビュー 「Tリーグ合流は2021年以降に検討」日本リーグ佐藤真二氏が語る「松下とは仲良いよ!」

2017.12.05

来秋にスタート予定のTリーグ。一方で実業団による日本リーグとの連携は模索中の段階だ。Rallysは今までTリーグの責任者である松下浩二氏の話を聞いてきたが日本リーグとして何を思うのか。何かと松下氏と対立軸として語られる日本リーグの専務理事で協和発酵キリンの監督でもある佐藤真二氏にJTTL選抜・全国チャンピオン大会の会場で話を聞いた。

Q:そもそもJTTL選抜卓球大会の意義はどこにあるのでしょうか?

佐藤真二(以下佐藤):一般の実業団チームが参加できる試合には「全日本実業団」と今回開催された「JTTL選抜」と2つありますが、前者は日本卓球協会と日本卓球リーグの共催、後者は日本卓球リーグが主催しています。主催が違いますね。日本卓球リーグの目的は卓球界の発展に寄与することにあります。「強化」だけではなく卓球界全体の「活性化」です。下から盛り上げていくのも役目ですね。みんな強化ばかり考えますが、それは間違いです。裾野を広げることをやる。それにこの大会でいい成績を残せば(日本リーグにスポット参戦して)うち(協和発酵キリン)の上田仁と打ちあえるかもしれない。

何がいいたいかと言うと、日本のスポーツは企業が支えてきたということ。これは忘れちゃいけない。僕自身が、卓球が上手になって、指導者として生きていけるのも協和発酵キリンという企業がサポートしてくれてこそです。

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Q:来年はTリーグというプロ・アマ混成のリーグができる予定です。本日の開会式のご挨拶でも触れられていましたね。

佐藤:これについては日本リーグの参加は2021年以降に正式に検討すると明言しています。やはり、問題視しているのは透明性や計画面。いろんなことを見た時にまだまだ一緒にできる組織ではないんじゃないか。ガバナンスがしっかりしていないとも思うし、中期計画、長期計画やロードマップも不透明。そういうところと一緒にやるにあたって40年続いた日本リーグとしていいのか、悪いのか。また2018年・2019年の事業が決まっていることから、その判断はしかねる状況です。

やっぱり(日本リーグの)理事会メンバーは半分くらいは各企業の部長だったりする。そういう人たちから見ると 40年続いた会社とできたばかりのベンチャー企業と組むのは難しいことがたくさんある。結果的には「急ぐことはないだろう」と判断しました。

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Q:日本リーグ加盟チームがTリーグに行くことを妨げるものではない?

佐藤:妨げません。ですが、実際にそうなった時に選手は日程的にとても大変でしょう。そもそも現在のTリーグの要件・基準を全て満たしているのは日本リーグだと協和発酵キリン、他ではミキハウスくらい。日本生命さんがTリーグへの参戦を希望されているということですが、選手のことを考えた時にどうなのかな、と。日本リーグもやってTリーグもやるのか、どちらかひとつにするのか。それはもう企業の判断。日本生命の事例は一つのモデルケースになるでしょう。

当初1年目だと4チームでホームアンドアウェーでやるということなので全部で21試合あるということになる。敵は3だから3✕7で21試合。それを3人での団体戦。毎回同じ顔合わせになる。それって嫌でしょ。同じメンバーで試合しても見ている人はどう思うか?その点は懸念している。

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Q:なるほど、日本にTリーグのような世界レベルのトップリーグは必要だと思いますか?

佐藤:難しい質問だね…(笑)。基本的にはノーコメント。僕の決断とか発言で全部変わっちゃう。現在実業団を持つ企業には250人くらいの監督・コーチがいる。彼らを終身雇用するとなると生涯年収3億円✕250人、750億円分の雇用を預かることになる。そう簡単には言えないよ。

でも、日本リーグとしては絶対協力しないとか、反対してるということでは断じて無い。何かと松下(松下浩二、Tリーグ理事)と対立軸で語られるけど、松下とは仲いいよ(笑)。それに2018年について言わせてもらうと日本リーグとTリーグの試合はぶつけていない。ぶつけないように調整した。だから18年度スタート時には柔軟な対応が出来る日程ではある。それに2018年にはTリーグは当初の予定通りスタートしますよ。その4チームの中にはもしかしたら「え、聞いたこと無いな」という企業がスポンサーしているチームもあるかもしれない。選手も知らない。もしかしたら日本リーグのチームの方が強いかも、ということもありうるだろう。

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Q:さらに今後卓球の裾野を広げていくにあたっての取り組みなどは行っていますか。

佐藤:協和発酵キリンとしてはジュニア向けのスクールも開いている。もちろんジュニア期からの育成が大切、ということもあるが、一方で選手の引退後の多様なキャリアパスを確保することにもなる。それが卓球界の活性化に繋がると信じている。

「松下とは仲いい」と笑顔で語った佐藤氏。松下氏も佐藤氏も「卓球業界の盛り上がりを期待したい」という思いも共通している。日本リーグとTリーグの関係はどうなるのか。Tリーグのスタート、そして東京五輪はもうすぐそこだ。