【卓球・Tリーグ】日本生命がプレーオフ進出決定 強さの秘訣はダブルスのサーブ力にあり | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:常 晨晨(左)/蒋 慧(日本生命レッドエルフ)/提供:Tリーグ

大会報道 【卓球・Tリーグ】日本生命がプレーオフ進出決定 強さの秘訣はダブルスのサーブ力にあり

2019.02.11

文:ラリーズ編集部

2月10日、ノジマTリーグ女子の日本生命レッドエルフ(2位、以下日本生命)がトップおとめピンポンズ名古屋(4位・以下名古屋)を3−1で下し、レギュラーシーズン2位以上が確定。3月17日に両国国技館で行われるプレーオフ(ファイナル)への出場権を得た。

日本生命の村上恭和監督は試合後「今日の3−1の勝利でレギュラーシーズンでの1位も狙えることになった」とコメント。首位を走る木下アビエル神奈川の背中を見据えた。また「2番の陳思羽がシングルス初勝利した、嬉しいです」と戦力の充実に目を細めた。3番で平野美宇が見事なカット打ちを見せて勝利。平野の連敗ストップも日本生命にとっては明るい材料となった。

注目したいのは日本生命躍進の原動力となっている毎試合1番に登場し、流れを作るダブルスの強さだ。日本生命は左利きの常晨晨と右利きの蒋慧という中国選手同士のペアを固定して起用。常がチャンスメイクし、蒋の攻撃力を引き出すコンビネーションの良さに加え、圧倒的なサーブ力の高さが光る。Tリーグ女子ダブルスのサービスエース数のランキングでも蒋34本、常19本と1位2位を独占している。ダブルスではサーブのコースが限定されることからレシーバー有利とも言われるが、日本生命ペアはこの常識を覆すサーブの強さを誇る。シンプルなカットサーブを中心としながらもその回転量の多さにレシーバーは戸惑う。また甘い返球をすると逃さず攻撃されるというプレッシャーも、相手のレシーブミスを誘う要因となっている。ライバルチームにとっては常/蒋ペアのサーブ対策が残りシーズンの勝ち点に大きく影響する鍵となる。

ホームゲームの名古屋は地元愛知出身の安藤みなみ(専修大4年)が4番で森を下し、日本生命に一矢報いた。学生王者の安藤はシングルス3連勝(通算4勝5敗)と好調を維持。緩急をつけて相手を揺さぶり、スマッシュで決める安藤の特長がTリーグの舞台で花開いている。

各マッチの解説は以下の通り。

1番:鈴木 李茄/安藤 みなみ 1-2 常 晨晨/蒋 慧

常/蒋ペアがダブルス通算10勝目(3敗)を挙げた。日本生命ペアの圧倒的な安定感の要因は両者のサーブの巧さにある。1ゲーム目、9-9で常がサーブの場面ではそれまで多用していた回転量の多いカットサーブから一転、2本連続で無回転のナックルサーブを選択。見事な戦術転換で安藤のストップレシーブのミスを誘い、大事な1ゲーム目を奪う。第2ゲームを落とし、第3ゲーム9-10とマッチポイントを握られた場面でも、常が相手が強打しにくい絶妙な長さのサーブでチャンスを作って10-10に追いつくと、マッチポイントを奪い返した11-10の場面では蒋の猛烈に切れた下回転サーブが鈴木のレシーブミスを誘い、勝利を決めた。

2番:呉 穎嵐 1-3 陳 思羽


写真:陳思羽(日本生命レッドエルフ)/提供:Tリーグ
チャイニーズ・タイペイ主力の陳が、Tリーグシングルス7戦目にして初勝利を挙げた。同時にこの勝利がチームのプレーオフ進出を決め、大きな1勝となった。男子選手並みの決定力あるフォアハンドドライブが特長の陳は、女子選手には珍しく台から下がってドライブで引き合う豪快なプレーを展開する。一時は呉のYGサーブに苦しめられるも、相手コート深くに返球してラリーに持ち込むレシーブ戦術を徹底し、初勝利を引き寄せた。

3番:ソ ヒョウォン 1-3 平野 美宇


写真:平野美宇(日本生命レッドエルフ)/提供:Tリーグ
平野美宇が丁寧なカット打ちを見せ、10月の開幕戦に続き、韓国チャンピオンのソヒョウォンを下した。荒っぽい豪快な両ハンド攻撃が魅力の平野だが、この試合では丁寧な繋ぎのドライブの旨さが光った。特に回転量の少ないドライブを浅めのコースに集めることで、ソがカットで変化をつけにくくした。また、チャンスボールに対してもスマッシュとドライブを使い分けることでソの的を絞らせず、完璧なカット打ちでストレート勝ちを果たした。平野はシーズン後半で石川佳純に2連敗中だったが、連敗を脱出。チームにとっても本人にとっても大きな1勝となった。

4番:安藤 みなみ 3-1 森 さくら

Tリーグでは3度目の対戦となった両者。過去の対戦成績は森の2勝0敗だったが、この試合では安藤が意地を見せた。安藤の特長であるバックの異質ラバーでのナックルボールを苦にしない森は、安藤のバックサイドを徹底的に攻め1ゲームを先取。対する安藤は、バックハンドに来たボールをカットブロックで返球する技術の幅を見せ、2ゲーム目を逆転で奪うと一気に流れをつかむ。4ゲーム目は1-7から7連続ポイントで逆転すると、9-9からの激しいラリーを連続スマッシュで制し、そのまま勝利を決めた。

スコア詳細:トップおとめピンポンズ名古屋 1-3 日本生命レッドエルフ

鈴木 李茄/安藤 みなみ 1-2 〇常 晨晨/蒋 慧
9-11/11-4/10-12

呉 穎嵐 1-3 〇陳 思羽
9-11/10-12/12-10/8-11

ソ ヒョウォン 1-3 〇平野 美宇
5-11/3-11/14-12/8-11

〇安藤 みなみ 3-1 森 さくら
7-11/12-10/11-6/11-9