文:ラリーズ編集部
ノジマTリーグ・2ndシーズンは、開幕戦からの戦いが一段落し、10月まで小休止という状態になった。最初の連戦を終え、男子はT.T彩たまが初の首位に立つなど、昨シーズンとは出だしの様相が変わっている。
そこで今回注目したいのは、昨季2位の岡山リベッツが現在1勝5敗の4位となっていることだ。その原因とも言えるのが、昨季岡山のストロングポイントであったダブルスの不調だ。
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ベストペア賞・森薗/上田への厳しいマーク
写真:森薗政崇(左)と上田仁(岡山)/撮影:ラリーズ編集部
昨シーズン勝率83%の15勝3敗という結果を残し、ベストペア賞を受賞した上田/森薗が今季はすでに2敗(2勝)と、チームに流れをもたらせていない。
今季の上田/森薗について、岡山リベッツ・白神宏佑監督は「上田が昨季良かったので研究されている。上田の台上技術に対して明らかに対策されているのがわかる」といまいち波に乗り切れない要因を語る。
では、実際にその対策とはどういうものだろうか。
上田/森薗に今季2つの黒星を付けたT.T彩たまペアの戦術から対策を解き明かしていこう。
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対策:レシーブはチキータ中心 台上での小さな展開に持ち込まない
写真:T.T彩たまペアの戦術/図:ラリーズ編集部
上田/森薗ペアは、T.T彩たまのペアに2敗を喫している。8月31日の対戦で黄鎮廷(ウォンチュンティン)/神巧也ペア、9月5日の対戦で黄鎮廷/松平健太ペアに敗れている。
この2つのペアが取った戦術が「岡山ペアのサーブをチキータで狙う」というものだった。
実際に8月31日の試合、T.T彩たまの黄鎮廷/神ペアは、サーブミスを除いた17本の岡山サーブのうち、約70%である12本をチキータで攻めていた。
最たる例が9月5日の試合だ。その試合で岡山ペアが出したサーブは22本。うちサーブミスやロングサーブを除いた18本中18本全てを彩たまペアはチキータで攻めていた。
写真:黄鎮廷(左)/神巧也ペア(彩たま)。黄が積極的にチキータで仕掛けた/撮影:ラリーズ編集部
この戦術は、チキータからラリーの展開に持ち込むことで、上田得意の台上技術や森薗の3球目チキータを防ぐ狙いがある。
上田/森薗は台上の小さな展開から先手を取ることが上手いペアだが、T.T彩たまペアはその力を発揮する場を与えない戦術を取ったと言える。
さらにチキータを多用することで、T.T彩たまペアは上田/森薗よりも早く先手を取ることにも成功。ラリーでの大きな展開に持ち込み、得点を奪う場面が多く見られた。
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ダブルスの名手コンビ、次戦はどのような戦いぶりを見せるのか
写真:岡山リベッツの森薗政崇(写真左)・上田仁(写真右)/撮影:ラリーズ編集部
昨季15勝3敗と圧倒的な成績を残した上田/森薗ペアだが、2ndシーズンは一筋縄ではいかないようだ。
もちろん上田自身も「(セカンドシーズンでは)対策されるのはわかっている」と他チームからのマークが厳しくなることは想定済。そこはダブルスの名手として知られる上田と森薗、次戦ではまた違った戦いぶりを披露してくれることだろう。
岡山リベッツの次の試合は10月19日琉球アスティーダ戦。上田/森薗ペアがどのような戦いを見せるのか注目だ。