写真:フラビアン・コトン(フランス)/撮影:ラリーズ編集部
大会報道 世界ランク1位を追いつめた18歳や中国越えの21歳も 世界卓球2026現地取材で見つけたスターの原石7選【男子編】
2026.05.18
戦型:右シェーク裏粒
<2026 ITTF世界卓球選手権ファイナルズ ロンドン大会(団体戦) 日程:4月28日~5月10日 場所:ロンドン(イギリス)>
10日に閉幕した2026 ITTF世界卓球選手権ファイナルズ ロンドン大会(団体戦)。会場には世界のトップ選手たちをひと目見ようと、多くのファンや関係者が集まった。
その一方、熱狂の裏側では、まだ広く知られていない“未来のスター候補”たちも静かに輝きを放っていた。
今回は、世界卓球を現地で取材した筆者が会場で見つけた各国の若手選手のなかから、特に印象的だった男子選手を7名紹介する。
チャバ・アンドラス(ハンガリー、23歳)
写真:チャバ・アンドラス(ハンガリー)/撮影:ラリーズ編集部
1人目はチャバ・アンドラス(ハンガリー)だ。世界ランキングはハンガリーでトップだが、そのランクは80位と決して高い順位ではなかった。
しかし、ドイツ・ブンデスリーガ1部で1年を通じて主力として活躍し、今シーズンのWTTフィーダーで2勝を挙げた実力は本物。グループステージでは4戦3勝の活躍でハンガリーの2位通過に貢献しブラジル戦では世界ランキング5位のウーゴ・カルデラノ(ブラジル)に敗れたものの、ゲームカウント1-3と善戦した。
両ハンドのラリー主体の戦型はオーソドックスなヨーロッパスタイルながらも、豊富な運動量で圧せるところが魅力。今季の活躍次第では、一気に世界ランキングトップ30に食い込んでくるだろう。
ダニーロ・ファーゾ(イタリア、15歳)
写真:ダニーロ・ファーゾ(イタリア)/撮影:ラリーズ編集部
2人目はダニーロ・ファーゾ(イタリア)だ。大会時点での世界ランキングは321位だったが、昨年の世界ユース団体で日本と中国から2勝ずつを挙げて、イタリアの銀メダル獲得に貢献した実績を持っており、密かに注目していた選手でもあった。
そして今大会では、グループステージプレーオフのアルゼンチン戦の3番で見事勝利を収め、イタリアのノックアウトステージ進出に貢献。さらに1回戦のクロアチア戦でも3番でチーム唯一となる白星を挙げるなど、その才能の片りんを見せつけた。
15歳ながら既にシニア選手と同じ体格で、ドライブのスピードや回転量も引けを取らない。まだまだプレーに粗削りな部分はあるが、間違いなく今大会で確かな爪痕を残した選手の一人だ。
郭冠宏(クオガンホン、チャイニーズタイペイ、17歳)
写真:郭冠宏(クオガンホン・チャイニーズタイペイ)/撮影:ラリーズ編集部
3人目は、郭冠宏(クオガンホン・チャイニーズタイペイ)だ。今大会はグループステージとノックアウトステージで日本と対戦したため、今大会をきっかけに彼の存在を認知した方も多いだろう。
そんな郭冠宏は2008年生まれの17歳で、世界ランキングはチーム内で3番手。大会前からも世界ユースやWTTコンテンダーなどの大会で結果を残していたが、世界レベルで見ればまだ「無名の若手」の一人だった。
しかし、今大会はグループステージのドイツ戦でパトリック・フランチスカから勝利をもぎ取ると、ノックアウトステージ準々決勝のスウェーデン戦ではアントン・ケルベリを撃破。男子日本代表の岸川監督も「今後かなり強くなるだろう選手」と評するほど、その名を世界に知らしめた。
一つ一つのプレー判断には粗さも見られるが、上下回転のわかりづらいサービスや思い切りのいいチキータなど、明確なストロングポイントを持っている。今後はラリー戦で粘れる力を伸ばせれば、一気にブレイクするだろう。
エドゥアルド・イオネスク(ルーマニア、21歳)
写真:エドゥアルド・イオネスク(ルーマニア)/撮影:ラリーズ編集部
4人目は、エドゥアルド・イオネスク(ルーマニア)だ。今シーズンはドイツ・ブンデスリーガ1部のザールブリュッケンに所属し、WTTや世界ユースなどでも活躍していたが、大会前は「ヨーロッパの有望な若手選手の一人」程度の認識だった。
しかし、ノックアウトステージ2回戦の中国戦で、その評価は一変した。1番で梁靖崑(リャンジンクン・中国)と対戦すると、粘り強い両ハンドや質の高いサービスレシーブで梁靖崑をストレートで撃破。後陣からの激しい引き合いや、ノータッチのチキータなど派手なプレーこそなかったものの、「確実に台に入れる」卓球で中国から1点をもぎ取った。
まだ21歳ということもあり、今後10数年に渡ってルーマニアを引っ張る選手になることは間違いない。
アラン・クルマンガリエフ(カザフスタン、19歳)
写真:アラン・クルマンガリエフ(カザフスタン)/撮影:ラリーズ編集部
5人目は、アラン・クルマンガリエフ(カザフスタン)だ。今大会はエースのキリル・ゲラシメンコに次ぐ2番手として全試合に出場し、3勝3敗の成績を残した。
今大会のハイライトとなったのは、ノックアウトステージ1回戦のスペイン戦。クルマンガリエフは1番で相手エースのアルバーロ・ロブレスをゲームカウント3-1で破る活躍を見せ、チームの勝利に大きく貢献した。
プレーはオーソドックスな両ハンドの攻撃マンだが、19歳らしいガッツのあるプレーは魅力。来年の世界選手権ではゲラシメンコとともに、地元開催に華を添える活躍を期待したい。
コナー・グリーン(イングランド、19歳)
写真:コナー・グリーン(イングランド)/撮影:ラリーズ編集部
6人目は、コナー・グリーン(イングランド)だ。世界ランキングではエースのトム・ジャービス(イングランド)に次ぐ2番手だが、ジャービスに比べれば国際舞台での経験は少なく、世界選手権も今回が初出場。正直なところ、大会前はまったく注目していなかった。
しかし、開幕戦となった中国戦で梁靖崑をフルゲームまで追いつめるセンセーショナルな世界選手権デビューを飾ると、ノックアウトステージ1回戦のモルドバ戦では3番で待望の初勝利。大会中にどんどんプレーに磨きがかかっていったのが印象的だった。
もちろん結果だけ見れば、今大会のグリーンは1勝5敗で、「活躍した」とはお世辞にも言い難い。しかしながら、初の世界選手権が自国開催というプレッシャーのなかで、あそこまで堂々としたプレーを披露したことのだから、ポテンシャルの高さに疑いの余地はないだろう。
フラビアン・コトン(フランス、18歳)
写真:フラビアン・コトン(フランス)/撮影:ラリーズ編集部
最後に紹介するのは、フラビアン・コトン(フランス)だ。大会前は「ルブラン兄弟とシモン・ゴジに次ぐ選手」という立ち位置で、チボー・ポレとともに「主力を休ませるための起用」がメインになると考えていた。実際に、グループステージの第1戦、第2戦では出番がなく、1位通過がほぼ決まっていた第3戦の日本戦でようやく初出場を果たした。
だが、その日本戦でコトンは爆発。世界ランキングで格上の戸上隼輔(井村屋グループ)にフルゲームの末に勝利を収めたのだ。
そして、続くノックアウトステージ1回戦のアメリカ戦では2点起用され、相手エースのカナック・ジャーを撃破。2回戦のポルトガル戦でも勝ち星を挙げて完全にレギュラーに定着すると、準々決勝のブラジル戦では再び2点起用。1番でカルデラノにストレート勝利を収め、世界に衝撃を与えた。
極めつけは準決勝の中国戦。1番で世界ランキング1位の王楚欽(ワンチューチン)に敗れるも、フルゲームまで追いつめてフランスに勢いをもたらした。
両ハンドのラリーは安定感抜群で、決め球の威力も世界トップクラス。そして何よりも、格上相手にも臆することなくプレーできるメンタリティーは、まさに「勝てる選手」のそれだ。大会前からWTTで活躍していたため、個人的には「チャンスがあれば注目されるかも」とは思っていたが、ここまでブレイクするとは完全に予想外だった。
私が言うまでもなく、コトンは今大会でもっともブレイクした選手であり、そう遠くない未来に世界ランキングトップ10入りを果たすことは間違いない。






