Tリーグの誕生により、卓球は“するスポーツ”だけでなく“観るスポーツ”として根付き始めていた。
そんな中、新型コロナウイルス感染拡大という未曽有の事態により、9月に控えるオールスターは無観客開催、11月開幕のTリーグ3rdシーズンは年内無観客の方針が発表され、生観戦の機会が失われた。
写真:Tリーグ2ndシーズン男子開幕戦/撮影:ラリーズ編集部
ただ、一足先に開幕を迎えたプロ野球およびJリーグは、7月10日より最大5000人の有観客試合開催にこぎつけている。状況次第ではあるが、卓球でもいずれ有観客での試合が行われるであろう。
再び現地観戦ができるようになったとき、今までよりもっと楽しむために。どの視点で卓球を見るのが良いのかを森薗政崇(BOBSON)とともに考える。
※2020年7月15日に行ったYouTube Liveでの配信『森薗政崇と考える「日本の卓球応援文化」|Rallys Online College#2』の内容を再編集して記事化しています
>>卓球界の新しい応援スタイルは?森薗政崇と議論する「無観客試合の盛り上げ方」
▼森薗選手をUnlimで応援しよう▼
このページの目次
プレーヤー視点でオススメ「自分に重ねて見よ」
――森薗選手が卓球を見る際はどういうポイントを見てるんでしょうか?
森薗政崇(以下、森薗):まず動画だと絶対ファンのみんなと一緒じゃないところがあります。
僕は選手なので、打つときに何歩で動いてるんだろう、次の動作をするときはどこの筋肉を使っているんだろうなどを見て、自分でちょっと動きながら「ここに力入れてるんだ」と選手目線で動画は見ていますね。
写真:様々な選手のプレーを取り入れる森薗政崇。伊藤美誠似の巻き込みサーブも試合で使用する/撮影:ラリーズ編集部
――プレーヤーならではの視点の見方ですね。
森薗:プレーヤーは自分に重ねて見る。自分が動くならこうするとか、どういう身体の使い方なんだろうとかを見ているから、ファンの人たちとは差があるところですね。
ファン目線でのオススメ「人柄や表情を見よ」
――ファン目線の見方だとどうですか?会場での観戦など。
森薗:たまにたくさん卓球を見すぎて疲れちゃったときは、動画でスーパープレイ集を見るんですけど、視点はファンのみんなと一緒ですかね。単純に「卓球すげーな!」と楽しんでます(笑)。
写真:森薗政崇(BOBSON)/撮影:伊藤圭
会場での見方は共感してもらえるかなと思います。プレーを見るよりも選手の表情や間合い、息遣い、仕草などに注目してますね。
わざわざ卓球観戦に行って、「森薗のチキータは足を3歩使って入ってる」まで見てる人絶対いないですよね、だって楽しくない(笑)。
この選手はどういう人柄で、どんな思いを持って卓球をやっていて、という方に重きを置いて卓球を見た方が面白いですよ。
写真:試合中の表情が豊かな森薗政崇/撮影:ラリーズ編集部
――やっぱり試合中の表情に人柄や思いが出るもんなんですね。
森薗:めちゃくちゃ出ますよ!
コアな卓球ファンだったら、このゲームがどれだけ大事とかわかりますよね。そういうときの普段との違いが面白いと思います。緊張してるなとか気合入ってるなとか。
写真:Tリーグ2ndシーズン開幕戦、気合十分の森薗政崇/撮影:ラリーズ編集部
――リモートマッチでの中継映像でもわかりますかね?
森薗:表情がしっかりピックアップされないと難しそうです。
卓球の中継は、結構上からのアングルが多いじゃないですか。表情が見やすいのは下からのベンチ目線。僕はどちらかというとベンチ目線でのアングルが好きです。
森薗のオススメ観戦アングル2選
――ちょうどファンの方からも「どの角度、どの座席から試合を観ますか?森薗選手のおすすめの観戦場所を教えて下さい」という質問が来ていました。
森薗:「現地に行ってどこに座ったらいいの?」はいろんな人に聞かれます。
僕的には2つあります。
1つ目は選手を真後ろから見られるベンチ裏。技術面を見たいのであれば、なるべく目線を低くした方がよい。なおかつベンチ裏の最前列など卓球台の後ろから見るのが一番技術は見やすいです。
写真:後ろからの目線は選手の技術が見やすい/撮影:ラリーズ編集部
2つ目は卓球台を横から見るアングル。技術は見づらいけれど、息遣いや表情はより見やすいです。
写真:横からの目線は表情など選手自身を見やすい/撮影:ラリーズ編集部
近くで見るのであれば「横は選手自身を見る」「後ろは技術を見る」で使い分けてほしいなと。これは僕がドイツでいろんな試合を観てきて思ったことですね。
図:卓球観戦、横から見るか?後ろから見るか?/作成:ラリーズ編集部
でも実は僕が一番好きなのは2階席なんですよ。
――結構上で見づらいのでは?
森薗:Tリーグは、選手を見るのも面白いんですけど、ファンのみんなを見るのも面白いんです(笑)。
例えば、岡山リベッツの応援団はどういう熱量で応援してるんだろうか、最前列に座ってる人はどういう応援してるんだろうか、と人を見るのが面白い。二階席の一番後ろに座って会場全体を見るのがお気に入りです。
写真:森薗は2階席から遠くの人を観察するのが好きと語る(写真はチームWC女子決勝)/撮影:ラリーズ編集部
――人間観察してるんですね(笑)。
森薗:いろんな人がいるなあと見るのが大好きですね。
でもやっぱり卓球観戦するときに、卓球を楽しみたいというファンは、その選手の人柄や背景を知っておくのがすごく重要だと思います。
写真:試合中様々な表情を見せる森薗政崇/撮影:ラリーズ編集部
例えば「この選手にはどれだけの出場機会があって、今回勝たなければおそらく今後チャンスがもらえない」などの裏の背景が選手には必ずあるので、推察しつつ見ると良いです。
「森薗政崇はネチネチした真面目気質だから緊張してるんだろうな」までわかるとめっちゃ面白いですよね(笑)。
写真:世界選手権最終選考会では勝利の瞬間両手をあげ、万感の思いを表した/撮影:ラリーズ編集部
――推察しながら卓球を横から見るのが、個人的には一番楽しめそうです(笑)。
森薗:そのためにファンのみんなが選手の人柄を知るためのツールの1つがSNSだと思います。
選手それぞれSNSに対する考え方はあると思うんですけど、なるべく僕は自分ことを知ってほしいから発信していきたい。今後もぜひ見ていってください!
――「横は選手自身を見る」「後ろは技術を見る」。森薗政崇流“卓球の見方”で現地観戦の面白さがより広がりそうです。ありがとうございました!
>>森薗政崇流“高校卓球恩返しプロジェクト”始動 「居ても立ってもいられなかった」
森薗選手をUnlimで応援しよう
森薗:インターハイがなくなった中、高校生に何かできないかと考え、Unlimというギフティングサービスを使って、予算を集めて高校生のために強化合宿を行うというプロジェクトを立ち上げました。状況次第なのですが、9月の連休に卓球合宿施設で強化合宿を行おうと思っています。
僕は高校時代、高体連の合宿がありがたかった。同じ年代の選手が集まって、とにかく試合して順位付けする。思い出としても大きな経験としても残ってる。実戦経験を積む場がもっと欲しいと高校生のときから思ってたので、インターハイがなくなった今、多くの学校を集めてたくさん試合をしてもらおうと考えてます。
写真:森薗政崇/撮影:伊藤圭
多くのファンの方々にUnlimでいただいたご支援は、合宿施設費用などに使わせてもらう予定です。みなさんありがとうございます。
強化の場を一回で終わらせるでなく、定期的にやっていきたいと思っているので、みなさんご支援のほど引き続きよろしくお願いします。高校卓球界には本当にお世話になったんで、少しでも僕にできることであれば恩返しできればと思ってます!
Unlimについて
※スポーツギフティングサービス「Unlim」とは…①競技活動資金に充て新たな挑戦をしたい、②自身の活動だけではなくスポーツや競技そのものを盛り上げていきたい、③スポーツを通じて社会に貢献したい、といったさまざまな思いを持つアスリートやチームに対して、金銭的に支援するサービスです。