文:石丸眼鏡
2019年3月17日、両国国技館。満員の観客の祝福を背に、高々と優勝シャーレを掲げたのは木下マイスター東京だった。
水谷隼、張本智和、松平健太、大島祐哉、錚々たる顔ぶれを揃えた木下は、前評判通りTリーグ初代チャンピオンに輝いた。木下は続く2019-2020シーズンもリーグ戦を制し、初代王者にして初の2連覇チームとなった。
来たる2020-2021シーズン、木下は3連覇という偉業を成し遂げるのだろうか。
>>2連覇中の“絶対王者”を追走せよ 「木下キラー」は誰だ|データでみるTリーグ
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打倒木下を果たすのは前年最下位の岡山リベッツ!?
木下が強いことに疑いの余地はない。だが、他の3チームもそうやすやすと木下の独走を許す気はない。各チームがシーズン開幕に向けて、着々と補強を重ねている。
木下の優勝を阻むチームがあるとすれば、どのチームだろうか。勿論、全てのチームに可能性があるが、特に注目すべきは岡山リベッツだ。
写真:ファンへの感謝を伝える岡山リベッツ/提供:©T.LEAGUE
2019-2020シーズンの成績は6勝15敗、最下位に終わったチームである。だが、来期の岡山は、王者木下を飲み込む可能性を秘めた存在といえる。その理由を探っていこう。
理由①大規模な補強に成功
岡山はこのオフ、積極的な補強に乗り出している。
まずは木下から丹羽孝希、田添響を獲得。
特に、五輪代表にも内定している丹羽は大きな戦力として期待できる。昨シーズンリーグ戦で挙げた勝ち星はシングルス・ダブルス計11勝、これは侯英超(ホウエイチョウ)、田添健汰と並んでチームトップの数字だ。この戦力が木下から抜ける影響も少なくない。
写真:李尚洙(イサンス・韓国)/提供:ittfworld
加えて、2018-2019シーズンに所属していた李尚洙(イサンス)と2年ぶりに契約を結んだ。2018-2019シーズンの成績は5勝7敗とインパクトを残せなかったものの、現在の世界ランキングは22位とその実力は折り紙付きだ。2度目の参戦で結果を残せるか注目が集まる。
写真:サイチヤン・グナナセカラン(インド)/提供:ittfworld
さらに、インド代表のサイチヤン・グナナセカランも獲得。現在の世界ランキングは32位、昨秋のITTF-ATTUアジア卓球選手権大会では団体戦で張本にストレート勝ちを収めるなどセンセーショナルな活躍を見せた。
代表クラスの選手が複数加入し、昨シーズンまでの主力選手も概ね残留を決めている。選手層の厚みが増したのは明白だ。
理由②趙大成との契約更新
昨シーズンからチームに所属する趙大成(チョデソン・韓国)との契約更新も、非常にポジティブなニュースといえる。
写真:趙大成/提供:©T.LEAGUE
趙大成の昨シーズンのシングルス成績は6勝1敗。シーズン途中の加入ながら、Tリーグへの高い適応能力を示した。今シーズンは彼がシーズン開幕から在籍する。どれほどの出場試合数を確保できるかは未知数だが、岡山にとって大きな戦力となることは間違いない。
理由③上田仁の復帰
岡山のキャプテン、上田仁は、チームを引っ張る存在として活躍を見せてきた。しかし、昨シーズンは長期休養を挟んだこともありリーグ戦の出場はシングルス、ダブルス合わせて9試合に留まった。
写真:上田仁(岡山)/撮影:ラリーズ編集部
2018-2019シーズンの上田は、シングルスとダブルスで計30試合に出場している。中でも、森薗政崇とのダブルスでは15勝3敗という驚異的な成績を残し、チームをプレーオフ進出へと導いた。
一方、上田を欠いた岡山の昨シーズンのダブルス成績は9勝13敗、得点源としてきたダブルスで大きく負け越し、チームは一気に最下位へと転落した。
写真:岡山リベッツの森薗政崇(写真左)・上田仁(写真右)/撮影:ラリーズ編集部
上田は既に休養から復帰、元気な姿を見せている。森薗とのダブルスペアが復活すれば、チームを勢いづける存在になり得るだろう。キャプテンとしても、チームを勝利に導く働きをしてくれるはずだ。
体制万全の岡山、木下にも劣らぬ力あり
昨シーズン最下位からの逆襲に燃える岡山、打倒木下の準備は整った。
新戦力と既存のメンバーが上手く噛み合えば、悲願のリーグ制覇も夢ではない。来春、表彰台の中央でシャーレを掲げるのは果たしてどのチームなのだろうか。