文:ラリーズ編集部
現在の卓球には非常に多くの技術があり、選手たちはそれらを組み合わせて戦っています。中には「チキータ」に「カットブロック」、「YGサーブ」といった、まるで必殺技のような名前が付けられているものも存在します。今回はこうした変わった名前を持つ技術についてまとめてご紹介します。
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大流行の台上技術「チキータ」
写真:チキータの名手・張継科/提供:ittfworld
まず紹介するのは現代卓球の象徴とも呼ぶべき「チキータ」です。台上で行うバックハンド技術で、ボールの外を捉え、横回転をかけて返球します。バナナの品種である「チキータバナナ」のようにボールが曲がることから名付けられたと言われています。レシーブから先手を取って攻めることができる技術であり、スピード重視で打ち抜きに行ったり、回転をかけてしっかり入れにいったりと、打てるボールの幅が広いのも特徴です。
チェコのピーター・コルベルが生み出したチキータは、2010年代から使用者が急増しました。2011年の世界選手権で張継科(中国)がチキータを多用して優勝したことが流行のきっかけと言われています。現在ではプロアマ問わず非常に多くの選手が身に付けており、ツッツキやフリックなどと並ぶ標準的なレシーブ技術となっています。
意表を突く「逆チキータ」
写真:「ミユータ」の由来となった加藤美優/提供:ittfworld
「逆チキータ」という技術も存在します。その名の通り、バックハンドでボールの内側を捉えることで、チキータとは逆の回転をかけて返球します。打球の直前までチキータと同じフォームにすることで、相手の意表をつくことができます。
チキータに比べ試合で見かける機会は少ないですが、こちらも近年流行しつつある技術です。トップ選手では加藤美優(日本ペイントマレッツ)や早田ひな(日本生命)、伊藤美誠(スターツ)が使い手として知られています。特に、加藤美優が世界でもいち早く使い始めたことから、「ミユータ」と呼ばれることもあります。
強烈な変化を生む「カットブロック」
写真:カットブロックの使い手・丹羽孝希/提供:ittfworld
続いては「カットブロック」です。通常のブロックはラケットをボールに厚く当てるようにして相手の強打を抑えますが、カットブロックは逆に薄く捉えて回転をかけて返球します。早い打点でボールを捉え、相手のボールの威力を利用することで、ボールに強烈な変化を与えることができます。繊細なボールタッチが求められ、難度が高いですが、守りを攻めに変えることができるハイリターンな技術です。
丹羽孝希(スヴェンソン)の得意技として知られており、トップ選手ですらその変化には手を焼きます。
粘りの技術「フィッシュ」
写真:トップレベルのフィッシュを使う水谷隼/提供:ittfworld
お次は「フィッシュ」です。相手の強打をやや台から離れて繋ぐ、粘りの技術です。相手の攻撃をしのぎ反撃のチャンスを伺うという、重要な役割を持った技術です。似たような技術として「ロビング」がありますが、フィッシュの方が弾道が低く、早く相手のコートへと返っていきます。水谷隼(木下グループ)がトップクラスの使い手として有名です。
手首を使う「YGサーブ」
写真:YGサーブを得意とするティモ・ボル/提供:ittfworld
続いては「YGサーブ」です。「YG」は「ヤングジェネレーション(=若い世代)」のことで、1990年代にヨーロッパの若い世代の選手が使っていたことが由来とされています。現在では使用者も増え、トップ選手ではティモ・ボル(ドイツ)や平野友樹(協和キリン)らが使い手として知られています。
手首を一度内側に入れ、戻す勢いで逆横回転をかけるサーブです。同じ逆横回転系のサーブである巻き込みサーブと比べると、手首が使える分強烈な回転がかけやすいのが特徴です。
強烈な回転の「王子サーブ」
写真:かつて王子サーブを使用していた福原愛さん/提供:ittfworld
最後は「王子サーブ」です。しゃがみ込みサーブの一種で、大阪の王子町にある王子卓球センターの作馬六郎氏が考案したことから命名されました。福原愛さんがかつて使用していたことで有名です。
2〜3mほどのハイトスから、しゃがみ込みながらラケットを振り下ろすようにして、バック面で回転をかけます。ボールの落下速度を利用することができるので、強い回転をかけることができます。習得難易度の高いサーブですが、使いこなすことができれば脅威になること間違いなしです。