文:ラリーズ編集部
<卓球・チャイナスマッシュ2026 日時:10月1日~11日 場所:北京(中国)>
10月5日に発表される卓球男子世界ランキングで、松島輝空(個人)が自身初の1位となる。日本人選手の世界ランキング1位は、1980年の小野誠治さん以来46年ぶり。まさに歴史的な快挙だ。
ただし、1日に開幕したチャイナスマッシュ2026の結果次第では、その翌週の世界ランキングで1位が入れ替わる可能性がある。
王楚欽とF・ルブランが大量失効
写真:王楚欽(ワンチューチン・中国)/提供:WTT
9月28日発表の第40週世界ランキングでは、王楚欽(ワンチューチン・中国)が8157ポイントで1位、フェリックス・ルブラン(フランス)が7479ポイントで2位。松島は6930ポイントで3位、張本智和(トヨタ自動車)は6363ポイントで4位につけている。
しかし、10月5日には王楚欽がチャイナスマッシュ2025で獲得した2000ポイントが失効し、6157ポイントに。ルブランも同大会の1400ポイントが失効し、WTTチャンピオンズ横浜2026の300ポイントが代替で加算されるため、6379ポイントとなる。
そして、松島には失効ポイントがないため、両者を上回って世界ランキング1位に立つことになる。
チャイナスマッシュ次第で翌週は入れ替わりも
写真:松島輝空(個人)/提供:WTT
もっとも、この1位が長く続く保証はない。10月5日時点で松島が持つ6930ポイントに対し、2位につけるルブランは6379ポイント、3位の張本は6363ポイント。その差はおよそ550ポイントにとどまる。
そして、現在行われているチャイナスマッシュ2026はグランドスマッシュ。優勝すれば大幅にポイントが加算される大会で、550ポイント差を覆すには十分。
ここで、松島の世界ランク1位が入れ替わる可能性を解説する。
グランドスマッシュのポイント配分
まず前提となるのが、チャイナスマッシュのポイント配分だ。グランドスマッシュのシングルスで与えられる世界ランキングポイントは以下の通り。
優勝:2000
準優勝:1400
ベスト4:900
ベスト8:580
ベスト16:380
ベスト32:100
そして世界ランキングは、有効なポイントのうち上位8大会分を合計して決まる。つまり大会で獲得したポイントは、その選手が持つ8つのポイントのうち最低のものと入れ替わる形で加算される。実際の上積みは「獲得ポイント-最低ポイント」となる。
写真:松島輝空(個人)/提供:WTT
松島が現在持つ最低ポイントは、シンガポールスマッシュ2026の380ポイント。グランドスマッシュのベスト16がちょうど380ポイントであるため、松島はベスト16以下で敗退すると上積みが発生しない。
成績ごとの松島の総合ポイントは以下の通りだ。
ベスト16以下:6930
ベスト8:7130
ベスト4:7450
準優勝:7950
優勝:8550
逆転の可能性があるのは3選手
続いて、現時点で松島の世界ランキングを逆転する可能性のある選手を紹介する。
前述の通り、世界ランキングポイントの加算は「獲得ポイント-最低ポイント」となるため、10月5日の世界ランキングポイントから、この条件を満たす出場選手は3人だけだ。
写真:世界1位を狙う3選手の獲得ポイント一覧/制作:ラリーズ編集部
張本智和(6363/最低ポイント450)
ベスト16:6363 ベスト8:6493 ベスト4:6813 準優勝:7313 優勝:7913
フェリックス・ルブラン(6379/最低ポイント300)
ベスト16:6459 ベスト8:6659 ベスト4:6979 準優勝:7479 優勝:8079
トルルス・モーレゴード(5805/最低ポイント205)
ベスト16:5980 ベスト8:6180 ベスト4:6500 準優勝:7000 優勝:7600
張本はWTTチャンピオンズマカオ2026で準決勝に進出して450ポイントを獲得しており、現在の最低ポイントは450。ベスト16の380ポイントが最低ポイントの450を下回るため、張本もベスト16では上積みが発生しない。
一方のルブランは300、モーレゴードは205と最低ポイントが低い。低いほど1つ勝ち上がるごとの上積みが大きくなるため、この差が条件を分けることになる、
ここで重要になるのが、チャイナスマッシュ2026の本戦の組み合わせだ。
写真:男子シングルス組み合わせ(1/4)/制作:ラリーズ編集部
写真:男子シングルス組み合わせ(2/4)/制作:ラリーズ編集部
写真:男子シングルス組み合わせ(3/4)/制作:ラリーズ編集部
写真:男子シングルス組み合わせ(4/4)/制作:ラリーズ編集部
第2シードの松島と第3シードの張本は同じ山に入っており、ともに勝ち上がれば準決勝で対戦する。第1シードのルブランと第4シードのモーレゴードとは反対の山だ。
つまり、松島と張本が決勝で顔を合わせることはない。どちらか一方が決勝に進めば、もう一方は準決勝敗退となる。
ルブランが優勝すれば無条件で1位に
唯一他の選手の結果に左右されないのが、ルブランだ。ルブランが優勝した場合の総合ポイントは8079。このときルブランと反対の山にいる松島が到達できるのは、決勝で敗れた場合の準優勝が最高で、7950ポイントにとどまる。
つまりルブランは、優勝しさえすれば無条件で世界ランキング1位になる。決勝で松島を破って優勝すれば、タイトルと1位の座を同時に手にすることになる。
逆に、それ以外のパターンの場合は、松島がどこまで勝ち上がるかによって条件が変わる。
写真:松島の世界ランキング1位を逆転する条件/制作:ラリーズ編集部
松島がベスト16以下で敗退(6930)した場合、ルブランはベスト4以上、張本は決勝進出以上、モーレゴードは決勝進出以上で上回る。ルブランはベスト4の6979で49ポイント、モーレゴードは準優勝の7000で70ポイント上回る計算だ。
松島がベスト8で敗退(7130)すると、ルブランと張本は決勝進出以上、モーレゴードは優勝すれば松島を上回る。
松島がベスト4まで進出(7450)すると、ルブランは決勝進出以上で足りるが、張本とモーレゴードは優勝が必要になる。ルブランの準優勝7479は、松島のベスト4をわずか29ポイント上回る数字だ。
松島が決勝に進出(7950)した場合、上回れるのはルブランが優勝したときのみ。張本が優勝しても7913、モーレゴードが優勝しても7600で、いずれも届かない。
松島自身が優勝すれば8550ポイントとなり、3選手は誰も届かなくなる。
張本が1位になるには優勝が必須
ここで、松島と張本が同じ山にいることが効いてくる。張本が決勝に進出するということは、準決勝で松島を破ったか、松島がそれ以前に敗退しているかのいずれかだ。
張本が準決勝で松島を破った場合、松島は7450ポイント。このとき張本が準優勝に終わると、7313ポイントで松島に届かない。優勝して7913ポイントに到達して、ようやく松島を上回れる。
一方、松島がベスト8以下で敗退していた場合は、張本は決勝進出(7313)の時点で上回る。
整理すると、張本が1位に立つ条件は次の2つだ。
・準決勝で松島を破り、決勝も制して優勝する
・松島がベスト8以下で敗退し、自身は決勝に進出する
写真:フェリックス・ルブラン(フランス)/提供:WTT
なお、ここまでは「松島を上回るかどうか」を基準に整理してきたが、実際に1位になるのはポイントが最も多い選手だ。
例えば、松島が準決勝で張本に敗れ、張本が優勝、ルブランが準優勝という結果になった場合。ルブランの7479は松島の7450を上回るが、張本は7913でさらに上を行く。この場合に1位となるのは張本だ。
逆に、ルブランが準優勝で、決勝の相手が張本でも松島でもモーレゴードでもない選手だった場合は、ルブランが1位となる。
6位以下は優勝しても届かない
なお、6位の林昀儒(リンユンジュ・チャイニーズタイペイ)は4335ポイント、7位のウーゴ・カルデラノ(ブラジル)は4240ポイント。優勝して2000ポイントを獲得しても、最低ポイントとの入れ替えを考えれば6930ポイントには届かない。
また、今回1位から陥落する王楚欽(10月5日時点で6157ポイント)と、アジア競技大会を制した林詩棟は、ともにケガで今大会を欠場している。両者とも松島を射程に捉える位置にいるが、今大会でポイントを上積みする機会そのものがない。
歴史的な1位到達と、その座を懸けた戦いが同時に進行している。松島の北京での戦いから目が離せない。








