文:ラリーズ編集部
<第91回全国高等学校卓球選手権大会 日程:7月29日~8月8日 場所:宇和島市総合体育館(愛媛県)>
第91回全国高等学校卓球選手権大会(以下、インターハイ)は大会3日目が終了し、男子ダブルス決勝で鈴木颯/萩原啓至(愛工大名電)ペアが優勝を飾った。
後輩から先輩へのメッセージ
愛知県予選を1位で通過した3年生の鈴木と2年生の萩原の“先輩・後輩”ペアは、第1シードとして決勝まで順当に勝ち上がってきた。
写真:徳田幹太と木方圭介(野田学園)/撮影:ラリーズ編集部
決勝の相手は、準決勝で同じ愛工大名電の吉山僚一/中村煌和ペアをストレートで下して勝ち上がってきた、徳田幹太/木方圭介(野田学園)ペア。「本当に強いと思っていた」と鈴木/萩原ペアが語ったように、試合は徳田/木方ペアが2ゲームを先取し、第3ゲームも鈴木/萩原ペアは2-5までリードを許す苦しい展開となる。
しかし、そこでタイムアウトを取った鈴木/萩原ペアは、試合後に鈴木が「どうせ負けるなら思い切ってやろうと思った」と話した通り、積極的なプレーで徐々に差を縮めていく。そして、最終第5ゲームまで粘り、鈴木/萩原ペアが見事大逆転優勝を果たした。
写真:鈴木颯と萩原啓至(愛工大名電)/撮影:ラリーズ編集部
試合後のインタビューで鈴木は、前日の夜に萩原が「明日優勝しましょう」というメッセージとサービスについて書かれたメモを送ってきてくれたことを明かし、「そういう念が伝わって勝てたと思う」と語った。
一方の萩原は「個人の初タイトルなんで、もう嬉しすぎて…。このダブルス優勝のためにやってきたので、よかったです」と喜びを爆発させた。
試合後コメント
優勝した率直な気持ちは
鈴木:優勝しようと思ってたんですけど、出だしの1ゲーム目からやられるばっかりで、優勝できると思ってなかったです。(ゲームカウント)0-2の2-5でタイムアウト取ったときに、「どうせ負けるならツッツキとかストップじゃなくて、チキータとかフリック使って思い切って負けよう」って考えました。
そうしたら、そこから流れが変わったんで、それが勝因だと思います。
萩原:正直、2-5でタイムアウト取ったときには自分の中では負ける覚悟をしていました。もうやることもなくて自信もなくてっていう状態でのタイムアウトで。なので、そこからはあまり覚えてないです(笑)今でも実感がなくて。なんで勝てたのかと。
でも、先輩後輩関係なく自分から声をかけてきたので、そこが勝因になったと思います。
負けを覚悟していただけに優勝は嬉しかったのでは
萩原:もう本当にその通りで。負ける覚悟をしていたからこそ、「何で勝ったんだろう?」って(笑)自分にとっては、ダブルスですけど個人の初タイトルなんで、もう嬉しすぎて…。親に恩返しできたなって。このダブルス優勝のためにやってきたので、よかったです。
鈴木:啓至とは今年初めて組むダブルスだったんですけど、予選も1位で通過できてたので、インターハイ優勝を目標にずっとやってきました。啓至が「インターハイではサービスとレシーブの工夫が大事だ」って言ってくれて、携帯のメモにいろんな種類のサーブのメモを取ってたんですよ。
で、昨日の夜「明日優勝しましょう」って言ってそれを送ってきてくれて。そういう念が今日伝わって、勝てたと思います。
準決勝で同じ愛工大名電の吉山/中村ペアが負けていたことはプレッシャーになったか
鈴木:吉山/中村ペアも本当に強くて。そのペアが0-3(負け)ってことは相当強いんだろうなと感じていました。準決勝後に話を聞いたときに「本当に強い」と聞いて。僕自身、吉山を信頼しているんで、吉山が言うんだったら本当に強いんだろうなと。
なので、覚悟して決勝に臨んで、結果的に優勝できたんでよかったと思います。
萩原:もうひとつのペアがストレート負けして、同じく「強い」と聞いていて。「あのペアがストレート負けしてるなら自分は思い切ってやろう」っていうだけだったんですが、それが上手くいかなくて。
けど、改めて「思い切ってできなかったら何も意味がない」って考えました。
男子ダブルス決勝
〇鈴木颯/萩原啓至(愛工大名電)3-2 徳田幹太/木方圭介(野田学園)
5-11/9-11/11-8/11-6/11-6