女子最年長38歳・荻原直子「卓球は運動神経が悪くても、おばさんでもできる」「卓球と仕事は共通する部分があって面白い」<全日本卓球2024> | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:荻原直子(北海道アスティーダ)/撮影:ラリーズ編集部

大会報道 女子最年長38歳・荻原直子「卓球は運動神経が悪くても、おばさんでもできる」「卓球と仕事は共通する部分があって面白い」<全日本卓球2024>

2024.01.23

この記事を書いた人
Rallys編集長。学生卓球を愛し、主にYouTubeでの企画を担当。京都大学卓球部OB。戦型:右シェーク裏裏

<天皇杯・皇后杯 2024年全日本卓球選手権大会(一般・ジュニアの部) 日程:2024年1月22~28日 場所:東京体育館(東京)>

2024年全日本卓球選手権大会2日目、荻原直子(おぎはらなおこ・北海道アスティーダ)が女子シングルス1回戦に臨んだ。今大会一般女子シングルス最年長の38歳で、過去にはマスターズ優勝、全日本にも16回出場し20勝をあげている。

2023年インターハイベスト8の実力者・坂崎愛華(正智深谷高)に挑むも、ゲームカウント1-3で敗れた。

女子シングルス1回戦結果

荻原直子(北海道アスティーダ) 1-3 坂崎愛華(正智深谷高)〇
5-11/4-11/16-14/9-11

「すごい楽しかったです」


写真:荻原直子(北海道アスティーダ)/撮影:ラリーズ編集部

自身の半分ほどの年齢の高校生・坂崎が繰り出すわかりづらい巻き込みサービスに荻原は大苦戦。5点、4点でいきなり2ゲームを連取されてしまう。


写真:坂崎愛華(正智深谷高)/撮影:ラリーズ編集部

「サービスがびっくりするくらいわからなくて(笑)」と序盤を振り返ったが、百戦錬磨の荻原は「レシーブのときに思い切り下がって待ちました。どうせ(早い打点で)取れないから下がろうみたいな感じで」と3ゲーム目からレシーブの展開をガラリと変え、ラリーに持ち込み流れを引き戻す。


写真:荻原直子(北海道アスティーダ)/撮影:ラリーズ編集部

3ゲーム目の長いデュースを粘り切り16-14で奪うと、4ゲーム目も接戦に。最後は地力で上回る坂崎に9-11で逃げ切られたが、巧みな試合運びで互角の展開に持ち込んだ。


写真:荻原直子(北海道アスティーダ)/撮影:ラリーズ編集部

「強い高校生と聞いていましたし、向こうは真剣に取り組んできている中、こんなおばさんと当たってごめんね、って感じでした(笑)。でもすごい楽しかったです。全日本は毎回楽しくて、この空気の中にいるだけで『すごいなあ、卓球やってて良かったなあ』みたいな感じです(笑)」と冗談を交えながら笑顔で17回目の全日本を振り返った。


写真:ベンチに入った札幌大学・藤倉健太監督と試合後はやり切った笑顔でグータッチ/撮影:ラリーズ編集部

運動神経が悪い分、勝つためにどうすればいいかを考え抜いた


写真:荻原直子(北海道アスティーダ)/撮影:ラリーズ編集部

38歳で全日本に出場し若手選手に肉薄するなど、まだまだ高い実力を備えている荻原だが、実は“運動音痴”で卓球以外はからっきしだと語る。

「私、本当に運動ができないんですけど、卓球をやってたおかげでいろんなところに行けたりいろんな人に出会えたりしました。『卓球は運動神経が悪くても、おばさんでもできるんだよ。そういう面白いスポーツなんだよ』というのを指導してる子にも伝えていけたらなと思ってます」。


写真:荻原直子(北海道アスティーダ)/撮影:ラリーズ編集部

運動能力が高くない中で“どうすれば勝てるのか”を考え抜いてきたことが、今の荻原の礎となっている。

「強い人のかっこいいプレーを見ると憧れるんですけど、自分に当てはめるとそれはできない。なので、“勝つこと”を目標にしてそのために必要なことを逆算してずっとやっていました。、技術がない分、昔から頭を使って必要な戦術やパターンをどんどん練習に落とし込んでやってましたね」。

昨年夏から札幌大学卓球部のコーチにも就任


写真:荻原直子(北海道アスティーダ)/撮影:ラリーズ編集部

勝つための卓球を貫き、考え抜いたからこそ培われた戦術、技術、経験が組み合わさった荻原のプレーは、若手選手が見習うべき点も多い。

その経験を買われ、昨年夏ごろからは札幌大学卓球部のコーチも務めるようになり、休日は指導にあたっている。


写真:ベンチに入った札幌大学・藤倉健太監督と荻原直子(北海道アスティーダ)/撮影:ラリーズ編集部

「今の若い子とまともにやりあったら勝てないどころか点数がそもそも取れない。その中で工夫を凝らして戦う。そういうところを大学生に見てもらえれば戦い方の幅も広がるんじゃないかなと思って、自分が勉強してプレーで試して、良かったことを皆に伝えていければなと思います」。

全国トップクラスの選手に対峙した今回の全日本の経験も、指導を通して還元していくつもりだ。

常に仕事と卓球を両立してきたからこそ見えたもの

荻原は現在、製版系の会社で営業として働いている。実業団のJR北海道に所属していた時から、昼はOLとして働き、夜に卓球の練習を行うという生活を続けてきた。

仕事に関して水を向けると「卓球と似ていて面白いのでずっと続けています」と笑う。


写真:荻原直子(北海道アスティーダ)/撮影:ラリーズ編集部

「卓球と仕事は共通する部分があって、それは『目標に対して戦術を立てて挑戦してダメだったらまた反省してを繰り返す』ところ。私は仕事も卓球もどちらも同時に経験できたことがありがたかった。『卓球だけじゃなくて色んな選択肢も生き方としてあるよ』というのを若い人に伝える立場にもなれたので」。

卓球のコーチとしてだけでなく、1人の社会人としても学生たちに向き合っていくつもりだ。


写真:荻原直子(北海道アスティーダ)/撮影:ラリーズ編集部

「今、指導させてもらっている札幌大学をインカレでベスト8以上に入れるようなチームに今後はできたらというのが目標です。『北海道の大学だから』『北海道のチームだから』って諦めるんじゃなくて、本州の強いチームの人でも同じ人間。ましてや卓球だったらなんとかなるというのを伝えていきたいです」。


写真:ベンチに入った札幌大学・藤倉監督と荻原直子(北海道アスティーダ)/撮影:ラリーズ編集部

試合後の囲み取材を終え、ミックスゾーンを去る際、「次、39歳なのでサ30代最後にマスターズに出るか迷ってるんですよね(笑)」とポロリ。現役選手としてもまだまだ北海道卓球界を盛り上げてくれそうだ。

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