新発田ジュニア、つばめジュニア、Quest新潟クラブなど、新潟県内には全国大会で活躍する卓球クラブチームが数多く存在する。
そんな新潟県で18年の歴史を持つクラブチームが「ブルースカイジュニア」だ。チームの代表を務める佐藤吉則さんは、ブルースカイジュニアとは別に学習塾を経営しながら、空いている時間で子どもたちに卓球を指導している。
佐藤さんに、チーム創設時のことについて話を聞いた。
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地域の卓球教室からクラブチーム設立
ある日、「お前は選手には向いてない。でも、伝え方や教え方は上手いから指導の方が向いているんじゃない?」と言われたんです(笑)。
ただ、その一言がきっかけで指導者になろうと決意して、そこから石川県内灘町のジュニアチームを手伝うようになったのが、指導者キャリアのスタートですね。
写真:ブルースカイジュニアの練習の様子/提供:ブルースカイジュニア
その時期、僕自身は内灘町のチームで3年ぐらい見習いという形でコーチをしていました。
ただ、実家の母が病気になったので地元の新潟に帰って、本業で塾の先生をしながら、今度は地元のクラブチームや中学校のコーチになったんです。
写真:ブルースカイジュニアの練習の様子/提供:ブルースカイジュニア
教室は終了となっても、「せっかくやっているんだから、週1回でもいいから続けてやりませんか?」と当時の生徒さんに提案したら、「やります」と言った子が4人いたので、その4人で始めたのがブルースカイジュニアです。
卓球をするために塾の先生に
15時ぐらいになると生徒が来はじめるのですが、午前中は基本的に空いてるから「夏休みとか冬休みだったら、午前中に卓球めっちゃできるじゃん!」って思って(笑)。
ただ、新潟に帰ってきてから塾に17年勤めた後、独立して自分の塾を立ち上げて今やっているんですが、その塾があるのはやっぱり卓球のおかげだなとすごく思いますね。
塾と卓球チームだと「何を教えるか」は違いますけど、「人を指導する」ということでは共通点もあるので、そういう意味ではいい経験をさせてもらってるなと思っています。
指導者は生徒や選手がいてくれるおかげで、受験や卓球に関わることができるので、生徒や選手達、そして通わせてくれている保護者の皆さんには感謝しかないです。
指導方針は「卓球して不幸になる子を出さない」
練習も全員一緒にやります。
写真:ブルースカイジュニアの練習の様子/提供:ブルースカイジュニア
卓球が強くなると、どうしても選手も親も天狗になることがあると思うんです。
けど、そうなるとその子は周りから応援されないし、その子の人生にもプラスにはならないと思ってます。
なので、「挨拶をちゃんとしよう」とか「整理整頓をちゃんとしよう」とか、そういう「人間的に成長する」ことをチームとしては大事にしていますね。
写真:ブルースカイジュニアの練習の様子/提供:ブルースカイジュニア
だから叱られることへの免疫がない子が多くて、内容がどうであれ「怒鳴られた」ことに意識がいって、必要以上に落ち込んだりしてしまうんです。
なので「ダメなものはダメ」と注意はするんですけど、子どもと同じ目線に立って伝えられるように言い方は工夫しています。
なので、「地区大会とか県大会が終わったら卓球は終了」ではなく、ちょっとでも「長く卓球を続けたい」と思ってもらいたいとは、常日頃から思っていますね。
写真:ブルースカイジュニアの練習の様子/提供:ブルースカイジュニア
ユニフォームの購入も強制じゃないので、クラブチームとしてはかなり自由にやってます。
そんな中、有志でRallys×Pandaniユニフォーム(R. Abe Edition・スカイブルー)を揃えてくれました
愛娘がいじめを乗り越えて北信越チャンピオンに
指導者に直接言ってくれるならまだいいんですけど、選手にだけ話を通して、その子がある日突然何も言わずに辞めちゃうみたいなこともあったんですよね。
娘も卓球をやっていたんですけど、それなりに強かったので部内でやっかまれて、いじめられてたみたいで。
そのときはクラブの選手が6人ぐらいまで減って、かつ娘も不登校になってしまって精神的に余裕がなくなって、「これ、チーム続けていけるのか?」って思っていました。
写真:現在龍谷大学卓球部で活躍中の佐藤杏香/撮影:ラリーズ編集部
そうして新潟にある「白根アトム」というクラブチームの梅津さんという方に、当時のクラブの事情を話して「一から指導を教えてほしい」という形で相談しに行ったんです。
そうしたら、「とりあえず練習に来い」と言ってくださって、指導者として自分に足りなかったことや、娘を含めどう子どもたちと向き合っていくべきかを教えていただきました。
そこから、10年ぐらいお付き合いさせていただいています。今のチームがあるのは本当に梅津さんのおかげですね。
写真:ブルースカイジュニアのメンバーたち/提供:ブルースカイジュニア
実はそのとき、妻が大会の3日前に入院してしまって、娘の試合に帯同することができなかったんです。
偶然にもそのときの開催地が以前いた石川県で、僕や娘のことも知ってくれてる人が大勢いたので、遊学館のOBや、僕の内灘町時代の教え子たちが娘の練習相手になってくれたんですよ。
写真:佐藤杏香(龍谷大)/撮影:ラリーズ編集部
試合当日は僕も妻も娘の状況がわからないので、会場に行ってもらった人に「次〇〇さんと試合だよ」などLINEで実況してもらっていました。
まさか僕らも娘がそこまで勝ち上がると思っていなかったので、驚きながらLINEを見ていたら「あと4点でチャンピオンだよ」とメッセージが届きました(笑)。
最終的に優勝できたので、そのときは嬉しかったですね。
写真:娘の杏香さんは現在龍谷大学卓球部に所属している/撮影:ラリーズ編集部
教え子に全国へ連れていってもらえたのは、指導者冥利に尽きる嬉しい経験でした。
写真:蟹田凌(上越総合技術高校)/撮影:ラリーズ編集部
卓球って「言葉」みたいなものだと思ってて、知らない人同士でもお互いに卓球をやっていれば、難しいことは考えずに共通の話題で話ができるじゃないですか。
そういう経験は、絶対に人生が豊かになりますし、自分の世界を広げることにも繋がると思うんです。
特に僕らの地域は田舎で、どうしてもコミュニティは限られてしまいます。
なので、このブルースカイジュニアというチームを通して、生徒たちにいろいろな世界を見せてあげたいと思っています。
写真:ブルースカイジュニア/提供:ブルースカイジュニア
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