戸上隼輔を下した33歳や"おじさん卓球"の最高峰を見せた40歳も 世界卓球2026現地取材で見た輝きを放ったベテラン5選【男子編】 | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:パトリック・フランチスカ(ドイツ)/提供:ITTF

大会報道 戸上隼輔を下した33歳や“おじさん卓球”の最高峰を見せた40歳も 世界卓球2026現地取材で見た輝きを放ったベテラン5選【男子編】

2026.05.26

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インタビューから報道記事、選手・用具紹介記事まで幅広く担当。2019年の全日本で見た出澤杏佳選手のプレーに衝撃を受けて以降、粒高バックハンドドライブの習得に心血を注いでいる。
戦型:右シェーク裏粒

<2026 ITTF世界卓球選手権ファイナルズ ロンドン大会(団体戦) 日程:4月28日~5月10日 場所:ロンドン(イギリス)>

10日に閉幕した世界卓球2026ロンドン大会。会場には世界のトップ選手たちをひと目見ようと、多くのファンや関係者が集まった。

その一方、熱狂の裏側では、これまで各国代表を支えてきたベテラン選手たちも随所で輝きを放っていた。

今回は、世界卓球を現地で取材した筆者が会場で見つけた各国のベテラン選手のなかから、特に印象的だった男子選手を5名紹介する。

パナギオティス・ギオニス(ギリシャ、46歳)


写真:パナギオティス・ギオニス(ギリシャ)/撮影:ラリーズ編集部

1人目は、ギリシャ代表の誇る大ベテランカットマン、パナギオティス・ギオニスだ。

今大会、ギオニスは過酷な団体戦の舞台でチームの大黒柱としてコートに立ち続け、個人で3勝3敗という成績を残した。40代半ばを超えても、かつカットマンという戦型でも、世界のトップ選手たちと互角以上に渡り合えることを、ギオニスは自らのプレーで証明してみせた。

特に、ステージ1B(グループリーグ)のプレーオフのモルドバ戦で、相手エースのヴラディスラフ・ウルスから掴み取った勝利は、今大会のギオニスのハイライトだ。2番で相手の2番手に敗れる苦しい展開のなかで、エースのウルスから勝利を収めたのは、まさにベテランの意地といえるだろう。

ロベルト・ガルドシュ(オーストリア、47歳)


写真:ロベルト・ガルドシュ(オーストリア)/撮影:ラリーズ編集部

2人目は、オーストリア代表の大黒柱、ロベルト・ガルドシュだ。

過去4度の五輪出場を誇り、長年ヨーロッパの第一線で活躍し続けてきたガルドシュ。今大会でもチームの要として全試合に出場し、3勝1敗の成績でチームのベスト16進出に大きく貢献した。

ガルドシュの最大の武器は、年齢を全く感じさせない強靭なフォアハンドの引き合いと、横回転を織り交ぜた独特な球質の両ハンドドライブだ。威力とスピードが重視される現代のプラスチックボール環境下においても、その高い技術力と戦術の引き出しの多さで、今大会でも有望な若手選手を次々と撃破してきた。

なかでも、ステージ2(決勝トーナメント)1回戦のインド戦で、直近のWTTで結果を残していたマヌシュ・シャーをフルゲームの末に下した試合は、ガルドシュらしさが遺憾なく発揮されていた。

年齢を考えればいつ引退してもおかしくはないのだが、今のところガルドシュが引退する姿を、私はまったくイメージできなかった。

パトリック・フランチスカ(ドイツ、33歳)


写真:パトリック・フランチスカ(ドイツ)/撮影:ラリーズ編集部

3人目は、パトリック・フランチスカ(ドイツ)だ。

ティモ・ボル、ドミトリ・オフチャロフとともに、ドイツの黄金期を長年支えてきたフランチスカ。気が付けば33歳となり、今大会のドイツ代表ではオフチャロフに次いで年長者に。今大会は3番手という難しいポジションでの起用がメインとなるも、3勝2敗という成績を残した。

ハイライトとなったのは、やはり準々決勝の日本戦だ。結果的にチームは敗れたものの、1番と2番を落としていたなかで3番で戸上隼輔(井村屋グループ)に勝利し、ドイツに流れを手繰り寄せた。

ドイツ代表は現在、邱党(チュウダン)とベネディクト・デューダら中堅が主力を務め、今大会メンバー入りを果たしていたアンドレ・ベルテルスマイヤーら若手も徐々に育ってきている。

だが、33歳になったとはいえ、フランチスカはまだまだ老け込む年齢ではない。そして、その事実を彼は自らの手で証明したのだ。

アンドレイ・ガチーナ(クロアチア、40歳)


写真:アンドレイ・ガチーナ(クロアチア)/撮影:ラリーズ編集部

4人目は、アンドレイ・ガチーナ(クロアチア)だ。

かつて世界ランキング18位まで登り詰め、2008年北京五輪から数々の五輪や世界選手権に出場してきたクロアチアの雄。不惑の節目を迎えて臨んだ今大会ではチーム最多となる5勝を挙げて、ベスト16進出に貢献した。

ガチーナの最大の武器は、186センチの恵まれた体躯から放たれる、重戦車さながらのダイナミックな両ハンドドライブだ。YGサービスからの鋭い展開や、中・後陣に下げられてもなお、強靭なフィジカルで相手コートへねじ込むヨーロッパらしい豪快な引き合いは今大会でも健在だった。

特に、決勝トーナメント1回戦のイタリア戦では、1番と5番で相手の1番手と2番手をそれぞれ下し、1回戦突破の立役者となった。続く2回戦のスウェーデン戦でも、敗れはしたものの世界ランキング2位(大会当時)のトルルス・モーレゴードを、フルゲームまで追いつめた。

ここ数年は、WTTでもなかなか結果が出ていなかったガチーナだが、4月のWTTコンテンダーチュニスでベスト8入りするなど、徐々にコンディションは上向いてきていた。今後もまだまだ、国際大会での活躍を期待できるだろう。

ユージン・ワン(カナダ、40歳)


写真:ユージン・ワン(カナダ)/撮影:ラリーズ編集部

5人目は、カナダ代表の絶対的エース、ユージン・ワンだ。

長年、北米大陸のトップに君臨し、五輪をはじめ数々の国際舞台で活躍してきたワン。ワンが得意とする変幻自在のブロックと、相手の隙を突く予測不能なコース取りは、まさに「“おじさん卓球”の最高峰」という言葉がぴったりだ。

今大会では、グループリーグで難敵・ベルギーと同組となるも、そのベルギーを下して1位通過。さらに、決勝トーナメント1回戦のデンマーク戦では、世界ランキング16位(大会当時)のアンダース・リンドに勝利して、欧州の強豪・デンマークをあと一歩のところまで追いつめた。

現在、カナダ代表は若手のエドワード・リーがメキメキと実力を伸ばしてきているが、それ以外の選手はまだまだ心もとないのも事実。WTTで見る機会は少ないが、世界卓球や五輪などの大舞台では、今後もしばらく世界レベルの“おじさん卓球”を楽しめることだろう。

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