青森県八戸市にある八戸工業高校卓球部は、公立高校ながらも2024年のインターハイ女子学校対抗に初出場し、ベスト8入りを果たした勢いのあるチームだ。
この快進撃の裏側には、チームをまとめる大山幸雄総監督の苦労やさまざまな試行錯誤、工夫があった。
このページの目次 [表示]
卓球部の手伝いから始まり、監督へ


その2年後に全日制の勤務になって、本格的に監督として活動することになりました。
写真:八戸工業高校卓球部の練習風景/撮影:ラリーズ編集部


しかし、選手たちと一緒に練習をする中で、地区予選を突破できる選手が1人、2人と増えてきて、次第に県大会でも1回戦、2回戦と勝てるようになっていきました。
そして監督として4年目の時に、学校対抗の団体戦で青森県ベスト4に入ることができました。
6年目には、ようやく東北大会に出ることができ、そこから青森県の上位に定着できたという感じのチームです。
指導で大事にしている人間力と自主性


卓球の技術だけではなく、人間力や自主性の育成をサポートすることで、社会に出ても通用する力を身につけさせてあげたいですね。


そこでは選手が主体となって、各自の課題を洗い出して振り返り、次の週の練習をどうしていくかを決めます。
私はミーティングに参加はしているのですが、見守っているだけで、基本的には生徒たちに任せています。
3年計画で掴み取ったインターハイ


試合前から「この学校はきついな」「うまくいかない試合もあるだろうな」と想定していましたが、予想以上に苦戦しました。
特に県予選の準決勝では、何回も相手にマッチポイントを握られて、あと1点で負けるという展開が続きました。なんとか勝ち抜けましたが、1戦1戦が本当に厳しい青森県予選でした。


2023年も決勝戦でギリギリ負けていて、2024年にようやく全国へたどり着けたというところで、安心した感じがしました。
写真:八戸工業高校女子卓球部のレギュラーメンバー/撮影:ラリーズ編集部

3年目の夏のインターハイ出場を目標に、逆算して設定した目標を全てクリア。奇跡のようなストーリーを紡いで、大成功で終えられました。


そんな中、三國、小鹿らが高校を選ぶ際、「八戸工業高校でインターハイに行きたい」と言って進学してきてくれました。
その心意気に応えたいと思い、1年目、2年目、3年目と細かく大会の目標を設定。そのためのサポートを全力で行い、彼女たちもそれに応えて、目標を全て達成してくれました。


市長から「次の目標は?」と聞かれた際、選手たちは「インターハイベスト8です」と目標を掲げたんです。
そこで3年計画のその先の新たな目標設定がされて、選手たちがそこに向かって進んでいった結果だと思います。
“チーム八戸工業”で成し遂げた初出場ランク入り


また、相手校のデータがほとんどないなか、なんとか情報を集めて分析して、当日の試合を迎えました。
選手たちは初戦ということもあり、動きが固かったのですが、なんとか切り抜けて勝ってくれました。
そこからの試合は、場の雰囲気にも慣れたのかしっかりと準備ができ、3年間見てきた中でも1番強いんじゃないかと思うくらいのプレーをしてくれました。




例えば、フィジカルはスポーツトレーナー、メンタルはメンタルトレーニングコーチに指導を依頼するといった形です。
また、卓球部は男女に分かれているので、それぞれに1人ずつ監督を任命し、私が総監督という立場で全体を統括する立場になりました。結果的に“チーム八戸工業”で戦えたことが最大の要因です。
写真:八戸工業高校卓球部の練習風景/撮影:ラリーズ編集部


しかし、周囲のサポートもあり、重圧を乗り越えて目標を達成、インターハイでランク入りできました。
インターハイが終わった直後は、彼女たちの成し遂げたことの大きさを実感できていなかったのですが、落ち着いて振り返ってみると、とんでもないことをしたんだなと改めて感じました。
「本当によく頑張りました」と伝えてあげたいです。


では次のチームはどうしていくのかと考えたときに、日々卓球は進化していきますし、選手たちも変わっていくと思います。
なので、枠にはめることなく、私自身もいろいろなアンテナを張りながら、その時代のニーズに応えられるように、常に新しい八戸工業を意識してチーム作りをしていきたいと思っています。