【前編】「もはや卓球はマイナースポーツではない」映画『ミックス。』石川淳一監督の想い | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

卓球インタビュー 【前編】「もはや卓球はマイナースポーツではない」映画『ミックス。』石川淳一監督の想い

2017.10.24

取材・文:武田鼎(ラリーズ編集部)

男性と女性のペアで戦う卓球種目の一つ「混合ダブルス」を映画化したロマンチック・コメディ『ミックス。』が10月21日に公開された。主演を務めるのは新垣結衣と瑛太だ。

写真提供:©2017『ミックス。』製作委員会

かつて“天才卓球少女”として名を馳せた多満子(新垣結衣)は母の死後普通に青春を過ごし、普通に就職する日々を送っていた。だが、とある失恋をきっかけに田舎に戻り、経営危機に陥っている母が遺した卓球クラブを再興すべく再びラケットを手に取る。そこに妻と娘に見捨てられた“卓球素人”の萩原(瑛太)が部員として加入。まったく反りが合わず、ケンカばかりのちぐはぐなペアが全日本卓球選手権の男女混合(ミックス)への出場を目指す。

写真提供:©2017『ミックス。』製作委員会

本作で監督を務めるのがTVドラマ「リーガルハイ」シリーズや映画「エイプリルフールズ」などでも監督を務めた石川淳一さんだ。自ら「卓球は素人だった」という石川さんはいかにして迫力あるラリーシーンを描いたのか。映画の裏話を聞いた。

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——今作で卓球をテーマに扱っています。

石川淳一(以下石川):この作品の始まりから撮影の終わりの間で卓球を取り巻く環境がガラリと変わりました。企画が立ち上がったのが2015年、その後リオ五輪があって、実際の撮影は今年の2月から始まりました。その後、世界卓球でさらに卓球にスポットがあたった。始まった当初に比べて卓球の知名度は一気に上がった印象を受けています。以前はマイナースポーツというイメージがあったかと思いますが、僕はそういうイメージはまったくなかったですね。

撮影を通じて知らず知らずのうちに僕も卓球にハマっていって(笑)。撮影は今年の4月に終わったのですが、実はクランクアップの後から個人的に卓球を習い始めたんですよ。

——おお!ちなみに戦型は??

石川:戦型って言うほど上手じゃないですよ(笑)。でも今作で卓球面の指導に入ってもらっているコーチの川口陽陽さんに相談して「まずはシェークの裏裏からだろう」と。シェークの裏裏って卓球の基本みたいですね。

——そこから戦型を自分で決めてラケットも変えていく人が多いみたいですよ。映画の中には様々な選手が登場します。萩原(瑛太)はシェークドライブ型、弥生(広末涼子)はカットマンです。劇中で監督が好きなのは?

石川:シェークバック表の多満子(新垣)の前陣速攻ですね。特に熱さが出てる選手が好きです。主人公の新垣さんも瑛太さんも“熱い”選手です。やっぱりカッコイイですよね。瑛太さんの豪快なドライブもぜひ見て欲しいです。

写真提供:©2017『ミックス。』製作委員会

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——選手の試合シーンは迫力ありましたね

石川:今回、代役はワンカットも立てていないんです。CGもボールの動きを一部分で使っている程度です。ほかは全部実際に役者さんたちが演じています。最初はもちろんみんな卓球は遊びレベルでした。だから空き時間やスケジュールでカリキュラムを組んで、練習していたみたいです。中でも大変だったのは新垣さんや永野(芽郁)さんが演じた、卓球が上手い役柄です。どうしても素人だと「手打ち」になってしまう。そうならないようにフォームを真似するところからはじめました。ボールはCGなので、どちらかというとダンスを学ぶのに近いのかもしれません。

写真提供:©2017『ミックス。』製作委員会

——監督から見て最初から上手いなと思った役者さんはいますか?

石川:作中で登場する四川料理の中国人店員の楊さんを演じた蒼井優さんですかね。蒼井さんは別格だった。どうもこの映画を受けてくれたときからYouTubeで中国人プレーヤーの動画を大量に見て、練習していたみたいで。撮影に入ったときには完全に「仕上がって」ましたね。あとは鈴木福くん。どうやら学校で卓球を習っていたみたいで、動きに不自然さはなかったので驚きました。

写真提供:©2017『ミックス。』製作委員会

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写真:伊藤圭