文:ラリーズ編集部
2020年1月6日、日本卓球協会より、東京五輪の卓球競技に日本代表として出場する候補選手6名が発表された。男子は張本智和(木下グループ)、丹羽孝希(スヴェンソン)、水谷隼(木下グループ)、女子選手は伊藤美誠(スターツ)、石川佳純(全農)、平野美宇(日本生命)が選出された。
この6選手の過去の五輪での成績(初出場の選手はリオ五輪以降の活躍)を振り返ろう。今回は水谷隼。
熾烈な五輪代表選考レースの末、4大会連続での五輪男子シングルス出場はならなかったものの、団体戦の3番手として選出された水谷。五輪3大会連続出場の経験を生かして、日本チームを引っ張ってくれることが期待される。
五輪代表活躍プレイバック・石川佳純編 伊藤美誠編 平野美宇編
このページの目次
五輪デビュー戦・北京五輪
写真:北京五輪での水谷隼/提供:YUTAKA/アフロスポーツ
個人戦
男子シングルス2回戦ではダミアン・エロワ(フランス)と対戦。ゲームカウント2-3と追い詰められるも、至近距離でスマッシュをブロックするといった好プレーも飛び出し、フルゲームの末勝利した。
続く3回戦では豪快な両ハンドドライブが持ち味のカリニコス・クレアンガ(ギリシャ)に敗れ、19歳で臨んだ初めての五輪シングルスはベスト32に終わった。
2回戦:○水谷 4-3 ダミアン・エロワ(フランス)
3回戦:水谷 1-4 ○カリニコス・クレアンガ(ギリシャ)
団体戦 日本選手:韓陽・水谷隼・岸川聖也
グループリーグではシングルス・ダブルスでポイントゲッターとして活躍し、日本のグループリーグ1位通過に貢献した。ドイツとの準決勝では当時世界ランキング6位のティモ・ボルに惜しくも敗れている。
その後、銅メダル決定トーナメント2回戦のオーストリア戦ではベテランの陳衛星(チェンウェイシン)とシングルス・ダブルスの両方で対戦。カットと攻撃を織り交ぜた変幻自在なプレーに敗れてしまった。
グループリーグ 1位通過
第1試合:○日本 3-0 ナイジェリア
○水谷 3-1 セグン・トリオラ
○水谷/岸川 3-0 ノシル/メロトフン
第2試合:〇日本 3-0 ロシア
○水谷 3-1 ドミトリ・マズノフ
○水谷/岸川 3-0 アレクセイ・スミルノフ/マズノフ
第3試合:〇日本 3-0 中国香港
○水谷 3-1 張鈺(チェンユック)
○水谷/岸川 3-2 李静(リチン)/高禮澤(コウライチャク)
準決勝:日本2-3 ○ドイツ
水谷 1-3 ○ティモ・ボル
○水谷/岸川 3-1 クリスティアン・ズース/ドミトリ・オフチャロフ
銅メダル決定トーナメント2回戦:日本 1-3 ○オーストリア
水谷 1-3 ○陳衛星(チェンウェイシン)
水谷/岸川 2-3 ○ガルドシュ/陳衛星
メダル獲得の高い壁・ロンドン五輪
写真:ロンドン五輪での水谷隼/提供:Enrico Calderoni/アフロスポーツ
個人戦
当時世界ランキング7位でメダル獲得の期待もかかる中、4回戦にてマイケル・メイス(デンマーク)と対戦。直近のワールドツアーでの対戦では4-0で水谷が勝利していたが、五輪の舞台を味方につけたメイスの積極的なプレーに押され、まさかの敗戦を喫した。2度目の五輪はベスト16に終わった。
3回戦:○水谷 4-1 エル=サイード・ラシン(エジプト)
4回戦:水谷 0-4 ○マイケル・メイス(デンマーク)
団体戦 日本選手:水谷隼・岸川聖也・丹羽孝希
メダル獲得を掛けた準々決勝の中国香港戦では2点を挙げる活躍を見せたものの、最終的には2-3で敗れ、準々決勝敗退となった。水谷個人としては団体戦3勝0敗と、安定した成績を残したものの、メダル獲得は果たせなかった。
1回戦:○日本 3-0 カナダ
○水谷 3-0 ホー
準々決勝:日本 2-3 ○中国香港
○水谷 3-1 江天一(ジャンティンウェイ)
○水谷 3-1 梁柱恩(レンチュアン)
悲願のメダル獲得・リオ五輪
写真:リオ五輪での水谷隼/提供:ittfworld
個人戦
3度目の五輪男子シングルスではこれまでの集大成を見せるようなプレーで、パナギオティス・ジオニス(ギリシャ)やヒューゴ・カルデラノ(ブラジル)、マルコス・フレイタス(ポルトガル)といった強敵を連破し、準決勝に進出した。
準決勝では当時世界ランキング1位の馬龍(マロン・中国)と対戦。ゲームカウント0-3から2-3に追いつく戦いぶりを見せ、迎えた第6ゲームでは、会場中がスタンディングオベーションで拍手を送るほどの壮絶なラリーを繰り広げたものの、惜しくも敗戦した。
その後行われた3位決定戦ではブラディミル・サムソノフ(ベラルーシ)と対戦。4-1で勝利し、ガッツポーズしながら倒れこみ、喜びを現した姿を覚えている読者の方もいるかもしれない。この勝利により、水谷は見事日本男子史上初の五輪男子シングルスの銅メダルを獲得した。
写真:リオ五輪で銅メダルを獲得した水谷隼/撮影:青木紘二/アフロスポーツ
3回戦:〇水谷 4-1 パナギオティス・ジオニス(ギリシャ)
4回戦:〇水谷 4-2 ヒューゴ・カルデラノ(ブラジル)
準々決勝:〇水谷 4-2 マルコス・フレイタス(ポルトガル)
準決勝:水谷 2-4 〇馬龍(マロン・中国)
3位決定戦:〇水谷 4-1 ブラディミル・サムソノフ(ベラルーシ)
写真:団体での決勝進出に貢献した水谷隼/提供:ittfworld
団体戦 日本選手:水谷隼・吉村真晴・丹羽孝希
シングルスでメダル獲得を果たし、迎えた団体戦でも水谷の勢いは止まらない。準々決勝では黄鎮廷(ウォンチュンティン)にフルゲームの末勝利し、日本男子史上初の団体戦でのメダル獲得に貢献している。その後迎えたドイツとの準決勝でもティモ・ボルを破り、迎えた第4試合、ストレートでバスティアン・シュテガーを破り、日本男子の銀メダル以上を確定させた。
中国との決勝戦では許昕(シュシン)と対戦。過去国際大会にて12戦全敗の相手に対して最終ゲーム7-10と追い詰められたところから、11-10と逆転。最後は許のフォアフリックがオーバーし、13回目の対戦にして見事白星を挙げた。
水谷自身は団体戦において6勝0敗と大車輪の活躍であり、水谷の活躍なくして日本の銀メダル獲得は成しえなかっただろう。
1回戦:〇日本 3-2 ポーランド
〇水谷 3-1 ヤクブ・ディアス
〇水谷 3-1 ダニエル・グラク
準々決勝:〇日本 3-1 中国香港
〇水谷 3-2 黄鎮廷(ウォンチュンティン)
準決勝:〇日本 3-1 ドイツ
〇水谷 3-0 ティモ・ボル
〇水谷 3-0 バスティアン・シュテガー
決勝:日本 1-3 〇中国
〇水谷 3-2 許昕(シュシン)
戦績
北京五輪
個人戦:1勝1敗
団体戦:7勝3敗(うちダブルス4勝1敗)
ロンドン五輪
個人戦:1勝1敗
団体戦:3勝0敗
リオ五輪
個人戦:4勝1敗
団体戦:6勝0敗
3大会合計
個人戦:5勝3敗
団体戦:16勝3敗
写真:混合ダブルス出場予定の水谷隼・伊藤美誠/提供:ittfworld
前回大会では3回目の五輪出場にして悲願のメダル獲得を果たした水谷。4大会連続の男子シングルス出場はならなかったものの、ロンドン、リオ五輪を通じて団体戦において無敗と、無類の強さを誇る水谷の存在は日本男子にとっても心強いと思われる。張本・丹羽とともに2大会連続のメダル獲得に期待がかかる。
また今大会では混合ダブルスが新設されており、伊藤美誠とのペアで出場予定である。先日行われたワールドツアー・グランドファイナルでは日本選手で初めて銀メダルを獲得しており、団体と混合ダブルス、両方でのメダル獲得も夢ではない。
東京オリンピックの代表に選出されました🏓㊗️ 自分を選んだこと後悔させません✊
ロンドン、リオと団体戦無敗なのでそのまま東京でも全勝して自ら引退の花道を飾ります💐
こんな自分ですがもう少しだけお付き合いくださいm(__)m pic.twitter.com/cLK7LQ5wpm— 水谷隼 (@Mizutani__Jun) January 6, 2020
キャリアの集大成として挑む東京五輪においてどのような活躍を見せてくれるのか。自身のTwitterでは「東京でも全勝して自ら引退の花道を飾ります」と強い決意を表明している水谷だが、見事メダル獲得となるか。活躍に期待がかかる。