文:ラリーズ編集部
今回は、女子卓球界のトップを走り続ける若手実力派で中国の主力選手の一人である、陳夢(チェンムン・中国)を紹介します。プロフィール、使用用具、プレースタイルなどの基本的な情報から、国際大会での戦績についても触れていきます。
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陳夢とは?
陳夢は、2017年から2019年にかけてグランドファイナル3連覇という輝かしい実績を持つ選手で、丁寧(ディンニン・中国)、劉詩雯(リュウスーウェン・中国)らとともに中国を代表する選手の一人です。シングルスでは国際大会でタイトルを次々と獲得するほか、朱雨玲(ジュユリン・中国)や王曼昱(ワンマンユ・中国)らと組んだダブルスでも何度も優勝経験を持ち、誰と組んでも優勝できるダブルスの巧手でもあります。
強豪中国の主力選手の一角として活躍する陳夢のプロフィールを見ていきましょう。
プロフィール
陳夢は、1994年1月15日生まれの27歳(2021年4月時点)です。中国の山東省にある青島市出身で、卓球選手だった母親のもと幼いころから卓球に親しみ、カデットの時代から国際大会で優勝経験を積んできました。大人になるにつれてその実力は上がっていき、今では中国代表として数々の国際大会でタイトルを獲得してきています。
写真:陳夢(中国)/提供:ittfworld
現在では、2017年から2019年までワールドツアーグランドファイナルで3年連続優勝するなどの実績を残し、世界でも最強クラスの選手となっています。また、2021年には東京五輪シングルスの中国代表に選ばれました。
プレースタイル
陳夢の戦型は右シェーク裏裏の攻撃型で、かつてアテネ五輪と北京五輪で2連覇を達成した元トップ選手の張怡寧を彷彿とさせる両ハンドドライブの安定感と威力が特徴です。ラリー戦ではその強みがさらに発揮され、相手が打球する前からコースや軌道が見えているかのように反応します。
写真:陳夢/撮影:ラリーズ編集部
女子卓球において予測や反応は試合を進めるうえでとても重要な役割を果たします。中陣や後陣でも戦える男子卓球と異なり基本的に前陣から中陣にかけて戦うことの多い女子選手は自分から早いタイミングで攻撃を仕掛けることができる分、相手の返球も早くなります。それを前陣で対応するにはそれ相応の反応と予測の力が必要になってきます。
陳夢はこの反応の速さと予測能力の高さで相手の打球を読んで常に好機をうかがっています。近年では、中陣より後ろに下がってもラリーで相手を圧倒することもあり、ほとんど弱点のない選手へと成長してきています。
使用用具
陳夢はSTIGAの契約選手で、ラケットがSTIGAの「カーボネード45」、ラバーは両面に紅双喜の「キョウヒョウ3 国チーム用」を使用しているそうです。ただし、フォア面のラバーは特注品でブルースポンジを搭載しています。
STIGAのラケットを愛用するトップ選手は多く、同じ中国代表では男子で世界ランクトップの許昕(シュシン・中国)や樊振東(ファンジェンドン・中国)らが使用していることでも知られています。
STIGAのラケットに使用されている木材はスウェーデンの物が多く、その木材は薄く硬いためラケットにすると硬さで弾む一方で木材特有の打球感を感じることができるため、カーボンより木材を好む選手からは特に人気が高いと言われています。
世界ランキング
陳夢の世界ランキングは1位(2021年4月時点)です。2017年から常に世界ランクトップ5を維持し続けています。その他、カデット、ジュニア、U21の世界ランク最高位も1位と幼いころからその抜きんでた実力を評価されてきました。
陳夢は、2019年6月から現在(2021年4月時点)まで、約2年間に渡り、世界ランキング1位をキープしています。
直近の国際大会での主な成績
2017年 | カタールオープン | 女子シングルス優勝、女子ダブルス優勝(朱雨玲と) |
オーストラリアオープン | 女子シングルス優勝、女子ダブルス優勝(朱雨玲と) | |
ドイツオープン | 女子シングルス優勝 | |
グランドファイナル | 女子シングルス優勝、女子ダブルス優勝(朱雨玲と) | |
2018年 | 韓国オープン | 女子ダブルス優勝(丁寧と) |
世界選手権 | 女子団体優勝 | |
オーストリアオープン | 女子シングルス優勝 | |
グランドファイナル | 女子シングルス優勝 | |
2019年 | ハンガリーオープン | 女子シングルス優勝、女子ダブルス準優勝(孫穎莎と) |
中国オープン | 女子シングルス優勝 | |
ジャパンオープン | 女子ダブルス優勝(劉詩雯と) | |
韓国オープン | 女子シングルス優勝、女子ダブルス優勝(王曼昱と) | |
オーストラリアオープン | 女子ダブルス優勝(王曼昱と) | |
スウェーデンオープン | 女子シングルス優勝、女子ダブルス優勝(丁寧と) | |
チームワールドカップ | 女子団体優勝 | |
アジア選手権 | 女子ダブルス準優勝(王曼昱と) | |
グランドファイナル | 女子シングルス優勝 | |
2020年 | ドイツオープン | 女子シングルス優勝、女子ダブルス優勝(王曼昱と) |
まとめ
世界トップに君臨する実力派が国際大会の舞台で再びタイトルを獲得するのか。東京五輪のシングルス代表にも選ばれた彼女の活躍に期待が高まります。