卓球技術・コツ 卓球初心者が勝つために最初に習得すべき「たった2つの技」|頭で勝つ!卓球戦術
2023.09.04
戦型:右ペン表裏
あなたは、卓球はどういった人が勝てるか知っているだろうか?
誰よりも複雑なサーブを出せる人か。
リターンの必殺技「チキータ」を繰り出す人か。
目にも止まらぬ速さのパワーボールを打てる人か。
正解は、「相手よりも1球多く返せる人」である。
バスケットボールは、通常は1ゴールで2点、より遠くからゴールすれば3点が入る。
しかし卓球にスリーポイントシュートはない。どんなに壮絶な長いラリーを制してもスーパープレーが炸裂しても1点。相手のサーブミスでも、同じ1点なのだ。
また、野球のように“見逃し”なんてものもない。
「このボールは速すぎるから、勝負しないでおこう」などと悠長なことを言っている暇はない。返ってきたボールは問答無用で全て返さなければならない。
逆に言えば、返ってきたボールを全て返すことが出来れば、どんなにパワーがなくても、身体能力が低くても、勝つことが出来る。
これが卓球の面白いところでもあり、同時に難しいところでもある。
そして、相手より一本多く返す為に最低限必要な技術、とりわけ初心者の方にまず練習して欲しい技術が2つある。
「ツッツキ」と「ブロック」だ。
>>【初心者必見】卓球の「ツッツキ」とは?打ち方と練習法|卓球基本技術レッスン
このページの目次
卓球のボールの回転は、大きく分けると2種類しかない
卓球のボールは、常に回転している。
その最たるものがサーブだ。サーブから複雑な回転をかけて相手を惑わせ、ミスを誘う。その後は、強烈なドライブ回転をかけてラリーの応酬を繰り広げる。
と言いつつも、大きく分ければ、実は回転は2種類しかない。すなわち、「下回転系のゆっくりボール」と、「上回転系の速いボール」の2種類だ。
下回転のゆっくりボールは、全てツッツキで返すことが出来る
サーブ、レシーブといったラリーの序盤は、ほとんどが「下回転系のゆっくりボール」で始まることになる。
それらは、横回転やナックルの無回転、等色々あるが、なにはともあれ、角度を調整して「ツッツキ」で返球すれば、多少ボールが浮いても、相手コートに「入れる」ことは可能だ。このときに、相手のボールにそっと合わせるのではなく、しっかりと自ら下回転をかけるように意識すると、浮いたボールになってしまっても、相手の返球を難しくさせることが可能だ。
注:ツッツキとはラケットの面を上に向け、台上でボールの下をこすり、下回転で相手に返球する方法で、この動作がボールをラケットでつつくように見えるため、こう呼ばれている。
例えば、最も基本的な打ち方であるフォアロングを覚えたばかりの卓球の初心者が、経験者と試合をして勝てる確率は1%もない。
なぜなら、「下回転系のゆっくりボール」は、フォアロングでは返球出来ないからだ。
回転に負けて、ネットを越えることなく、自分側のコートに落ちて、ミス。
その後も永遠に下回転系のボールを出されて、永遠に返球出来ずに、負ける。
これはもはや地球から重力が無くなるくらいのことが無い限り変わらないだろう。
ツッツキはまず初心者が覚えるべき、最低限の技術である。
上回転系の速いボールは、ブロックで返すことが出来る
下回転系のゆっくりボールを返した後のラリーは、必ず「上回転系の速いボール」になる。
これを返球する際に必要な技術が、ブロックだ。
初心者の方は、とにかくまずはドライブやスマッシュといった、「攻める技術」を練習しがちだ。
しかし本来先に習得すべきなのは「強打されても安定的に返すことができる」ブロックからである。なぜなら、ブロックの方が簡単だからだ。
たとえば、初心者がドライブを覚える為にはハードルが多い。
ボールに反応し、ボールが来た位置に動き、自分のポイントに合わせて、体重移動をし、ボールをラケットに「食い込ませる」感覚を意識し、回転をかけて弧線を描く打ち方を覚え、しっかりとスイングをし、その後はすばやくニュートラルの姿勢に戻り相手の返球にしっかりと準備をする。
といった一連のフォームを身体に覚えこませなければならない。
これは非常に難しい。攻める技術は、身体を大きく使う分、覚えるのも大変なのだ。
(余談だが、卓球を15年やっているわたしも、フォアスマッシュのスイングが全く定まらない。)
さらに言えば、「攻める」技術は体力を消耗する。当たり前の話だが、ブロック対ドライブの練習で、疲れるのはドライブで攻める側である。
強い、速いボールを打とうとすれば、それだけエネルギーも消費するわけだ。
一方で、ブロックという技術は非常にシンプルだ。
ボールに反応し、ボールが来た位置にラケットを動かし、相手の上回転に負けないようにラケット面を被せてボールに当てさえすれば、返球が出来る。
返球が出来たとき、相手のボールが速いほど、自分のブロックのボールも速く返る。そのように相手のボールの威力を利用して速いボールで返球することが出来るのだ。なおかつ自分は疲れない。
それに対して相手は、速い攻めるボールを打ってエネルギーを消費した後に、態勢を整えて次のボールに対応しないといけないので、どうしても体力を消耗する。
初心者同士の試合でなら、攻撃をブロックされた後も何本も連打出来る選手は、めったにいない。必ず何本目かで体勢が崩れて、甘いボールが返ってくる。
対してブロックする側はブロックの練習をしておけば、必ず相手より先に有利な展開に持っていくことが出来るであろう。
2009年の世界選手権横浜大会の、松平健太vs馬琳の試合。卓球ファンの間では知らない人のいない伝説の試合。「これが卓球だ!」でおなじみのあれである。
誰しもが絶対的な実力者の馬琳が勝つだろうという空気のなか、手首をやわらかく使って逆をつくレシーブと、前陣での華麗なブロックで、馬琳を振り回す松平。あと一歩で勝利というところまで追い詰めた、今後も語り継がれるであろう名勝負だ。
バックハンドが苦手な馬琳はとにかくフォアハンドを使って食らいつくが、それをいともたやすくブロックする展開。馬琳は体力消耗による汗と、負けるかもしれないプレッシャーの冷や汗がだらだらである。
そしてこの大会の4年後の2013年、松平健太は世界選手権パリ大会で格上の馬琳と再戦。この時も前陣でのブロックが冴え、今度は見事に馬琳を破った。
このように、過去の実績が劣る選手であっても、しっかりとしたツッツキとブロック技術があれば格上とも互角以上に戦うことが出来るのである。
ブロックを確実に決める為には、ツッツキが重要
とは言うものの、どこに打ってくるか分からない相手の速いボールに対して、反応してしっかりと面を作ってブロックするというのは、そう簡単なことではない。
なので、その一つ前のボール、すなわち「ツッツキ」を厳しく送るのだ。
先ほども述べたように、なるべく下回転を多くかけて返球する、だけでなく、厳しいコースに送ったり、相手の逆を突くモーションで打ったり、タイミングを外したり、といった「ちょっとした工夫」は必要になってくる。
五輪王者である中国の馬龍も、レシーブでツッツキ等をする際、必ずといっていいほど、ほんの少し相手を惑わせるモーションが入っている。
初心者がいきなりそこまでやるのはやはり難しいので、まずはしっかりと回転をかけて相手コート深くにツッツキを出来るように練習すること。
そうすれば、相手の「攻めるボール」の威力が弱まり、こちらがブロックをしやすくなるので、「相手より1本多く返す」ことが可能になるのである。
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まとめ
このように、たとえ初心者であってもツッツキとブロックさえ出来れば、試合はなんとかなる。
むしろ、この2つが安定していれば、ボールを相手よりも1球多く返すことができ、逆に相手は、「何を打っても返される」というプレッシャーとも戦うはめになるので、非常に効果的だ。
ついつい攻める練習ばかりしがちな初心者は、まずしっかりとツッツキとブロックの2つ磨くことをオススメする。
また、なかなか安定して勝つことが出来ない中級者も、基本に立ち返り、ツッツキとブロックを極めよう。試合で勝つ為のしっかりとした土台作りには、この2つの技術の向上は必須である。