戦型:右ペン表裏
卓球ライター若槻軸足がお届けする「頭で勝つ!卓球戦術」
今回はブロックについての技術解説だ。
前回の記事(ブロックの基本を習得するための3ステップ)では初心者の方向けにブロックを覚える為の基本的な内容をお伝えしたが、今回はより実践的に使える内容だ。
練習では問題なくブロックができるけど、試合になると上手くブロックができないという方は必見なので、ぜひ最後まで見ていただきたい。
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このページの目次
ブロック上達のためのポイント①体の横で捉え過ぎない
こちらはフォアブロックの際に特に多く見られるのだが、ブロックでボールを捉える位置が、体の横になり過ぎているというケースだ。
写真:フォアブロック/撮影:ラリーズ編集部
バックハンドの場合はブロックであろうとドライブであろうと、体の正面でボールをとらえるので、前後の位置取りはそれほど難しくないはずである。ただ、ことフォアハンドについては、ボールを捉える位置の自由度が高いというメリットがあるが、自由度が高いが故に毎回位置がズレやすいというデメリットもあるのだ。
毎日練習をしているのならまだしも、月に数回などの限られた時間のなかでの練習なら、フォアブロックの適切な打球位置がわからなくなることはしばしばある。
やり方は人それぞれだが、筆者がおすすめするのはなるべく体の前方でとらえることである。
フォアは体の真横でボールをとらえても返球できる点が強みだが、体の横で捉えるのをデフォルトとしてしまうとどうしてもブロックが安定しないので、なるべくバックと同じくらい体の前方でとらえることをオススメする。
目安としては、常に目に見える位置にラケットを置くことだ。ラケットが視界の外に出ないように意識して、フォアブロックの位置を定めよう。
そしてそのためには、ある程度台から距離を取っている必要がある。ブロックが上手い選手は、台に張り付いてボールを処理するイメージを持たれがちだが、実はブロックをしてるときも台からは一定の距離をとって構えていることが多い。
練習の際にワンコースで相手の攻撃をブロックするということなら、台のなるべく近くに張り付いていたほうがやりやすいのだが、試合でも同じように台に張り付いていると、全面に来るボールに対しての反応が間に合わないのだ。
台からは少し距離を取り、そしてなるべく視界の中にラケットを置いて、前方で捉える。これがひとつめのコツだ。
ブロック上達のためのポイント②適切な位置に足を動かす
ブロックが上手い選手への勘違いとして多いのが、「反射神経が優れている」ということだ。たしかにそれもあるかもしれないが、反射神経よりも大事なのは、ボールの予測能力である。自分が打ったボールの回転や性質・コースといった情報から、次に来るボールを予測できることこそが、上手くブロックをすることにつながるのだ。
そして予測をしたのならば、もちろん頭だけではなく足も動かさなければならない。
写真:バックブロック/撮影:ラリーズ編集部
たとえば相手のバックサイドを割るコースへ送球したのなら、次に返ってくるコースはおそらくバックだ。しかも、厳しいコースへ送ったのなら、厳しいコースに返ってくる可能性が高い。なのでそれを踏まえてよりバックサイドに動いて待ち構えていないといけない。
あるいは、あなたがバックからストレートを攻めて、相手のフォアサイドにボールを送ったときは、クロスであるこちらのフォアへ攻撃がくることが予想される。ここまでは頭では理解しているが、足が伴っていない場合が結構あるのだ。
自分がストレートを突いてフォア側へ送球したのなら、それと同時に足をフォアサイドへ動かして立ち位置をずらすことを、もう意識せずとも自然にできるように練習しておこう。頭ではフォア側へ攻撃が来るのが分かっていながらブロックできないというのは非常にもったいないので、日頃から意識付けて体が勝手に動くようになるまで練習しよう。
ブロック上達のためのポイント③練習と試合で立ち位置を合わせる
基礎打ちのシーンを思い浮かべて欲しい。バッククロスのラリーで相手がドライブ、あなたがブロック、という時間が必ずあるはずだ。そのときのあなたの立ち位置はどこだろうか。このとき、バックの対角線上にあなたの体の正面が来ていると要注意である。
よくバックサイドの厳しいコースに来たボールのブロックが苦手だという声を聞く。そういう選手は先程のイラストのような事態に陥っているケースが多い。この立ち位置だと、たしかに練習ではブロックはしやすい。だが実際の試合の場面で、ここまでバックサイドに寄った位置で構えていることが果たしてあるだろうか。
つまり練習のときは「バックに攻撃が来る」と分かっているから、あらかじめ取りやすい位置に立っていることになるわけである。実際の試合の「どこに来るか分からない」状況下では、フォアサイドもカバーするため、当然もう少しフォア寄りに立っていることが多いはずだ。
以上を踏まえて、練習のときから、バック側に来ると分かっている状態であってもフォアサイドもカバーできる位置に立つことをオススメしたい。
目安としては、卓球台のセンターのラインに右足がかかるくらいの位置だ。そうすると、厳しくない通常のボールでも自分の体よりも左側にラケットを置いて処理することになるので、本番で厳しいバックサイドへボールが来ても、適切なラケット角度が出せて自然とブロックができるようになる。
さらにはフォア寄りに立っている分、フォアサイドもカバーできる。普段の立ち位置を少し意識して工夫するだけで、守備範囲を格段に広げることができるのである。
まとめ
いかがだっただろうか。今回のブロックに限らず、練習ではできているが試合になると上手くできないということはよくある話である。
そういったときは必ずどこかしらに原因があるはずなので、それを究明することを怠らずにやることが大切だ。
練習のときと何が違うのか、どう変えれば改善するのか。ときには他者からの客観的な意見も聞きつつ、成長の糸口をつかもう。
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