卓球技術・コツ 【初心者必見】卓球 ・ダブルスの戦術や考え方(前編)|卓球基本技術レッスン
2019.09.26
戦型:右ペン表裏
卓球ライター若槻軸足がお届けする「頭で勝つ!卓球戦術」。
このシリーズでは初心者向けに卓球の基本的な技術についての説明や、そのやり方、対処法などについてお話していく。実際のプレイヤーはもちろん、テレビなどで観戦される方にとっても、頻繁に出てくる用語が登場するので、知っているとより卓球の面白さが分かるだろう。ぜひ参考にしていただきたい。
(特に記述がない限り、右利きのシェークハンドの選手を想定している)
今回は、前回の続きでダブルスに関するお話をしようと思う。前の記事ではダブルスの基本的な2人の動き方や、その練習方法についてお伝えした。今回はいよいよ、実際に試合で相手と対峙したときの、考え方や戦い方について、一緒に考えてみよう。
(基本的に右利き同士のペアリングを想定とする)
>>【初心者必見】卓球 ・ダブルスの戦術や考え方(後編)|卓球基本技術レッスン
>>【初心者必見】卓球・ダブルスの動き方と練習方法・メニュー 右利き編|卓球基本技術レッスン
>>【初心者必見】ダブルスの動き方と練習方法 右・左ペア編|卓球基本技術レッスン
このページの目次
ダブルスの戦術は「対相手」と「対パートナー」の2つの考え方が必要
戦術というと、「いかに相手を打ち負かすか」ということばかりを考えてしまいがちだ。しかしダブルスの場合は違う。「相手のミスを誘う考え方」と同時に、「こちらがミスをしない考え方」が非常に重要になってくるのだ。
シングルスでは、こちらが得意なことをする戦術より、相手の弱点を突く戦術を優先すべきだということを、以前に他の記事で述べた。しかし、ことダブルスとなると、実はシングルス以上にこちらが得意な戦術(=ミスをしない戦術)を使うことが大事になってくる。
なにせダブルスは、あの狭い卓球台に2人で、しかも1球ごとに交代して打たないといけないのだ。ただでさえ難しく、ミスをせずにラリーをするだけでも大変なのだ。つまり逆に言えば、こちらがミスをせずにラリーを続けることができれば、相手が先にミスをして得点になる可能性が高い、と言える。
なので私の考えとしては、ダブルスはまずこちらがミスをしないことが第一だ。その上で相手の弱点を突いてミスをさせるのが第二。そのような判断基準で、ペアと話合いをして作戦を立てていくことをオススメする。
こちらがミスをしない為の考え方
①パートナーが3球目攻撃をしやすいサーブを出す
ではより具体的に戦況のなかで考えていこう。まずはサーブだ。
ダブルスの試合で使われるサーブは、短い縦回転系が使われることが多い。その理由としては、ダブルスのサーブはフォアクロスにしか出せないことが挙げられる。シングルスのようにコースで大きく揺さぶることができないので、レシーブが待ちやすく、自由なレシーブができるのだ。そのためダブルスの場合はレシーブ側がやや有利と考えられる。
そんな状況で、順横回転、逆横回転と色々なサーブを出すと、ツッツキや流しやチキータと、逆に色々なレシーブが返ってきやすくなってしまう。さらに横回転が入ると、返ってくるボールに回転が残っていたり、回転を利用されたりするので、3球目を打つパートナーとしては非常にやりにくいのだ。
なので、ダブルスの場合はそういった不規則なレシーブが返ってこないように、短い下回転を中心とし、そこにたまにナックルを混ぜる、といったサーブの組み立てが主流となるのだ。
②ストレート攻撃を多めに使う
ダブルスではシングルス以上にストレート攻撃が重要となってくる。たとえば、こちら側にサーブ権があり、あなたが3球目を打つ順番だとしよう。パートナーは短い下回転サーブを出し、対戦相手はこちらのバックサイドへやや甘いツッツキ。
ここであなたは、チャンスと捉えてバックハンドドライブでクロスへ撃ち抜く。というのが、決まればよいのだが、決まらなかったときはこちらが苦しくなる。このとき、4球目を打つ相手選手は、ニュートラルの位置に構えているので、まともにクロスにブロックされることが考えられる。そうなると、今度はあなたのパートナーが打つ番だが、パートナーは先程サーブを出しているので、フォア側から戻ってくる途中だ。その状態で、あなたが速いボールを打てば打つほど、速いブロックが返ってくるので、パートナーとしては時間的に間に合わずかなり厳しい展開になってしまう。
図:ラリーズ編集部
もしあなたが、3球目攻撃をストレートに打っていれば、クロスにブロックされたとしても、パートナーはフォア側をカバーするのは比較的簡単になるので、5球目をさらに攻撃することができ、連打で攻め込める。
図:ラリーズ編集部
ダブルスで大事なのは、一発で自分が決めてしまおうと思わないことだ。常にパートナーに託す、くらいの気持ちでちょうどよい。十中八九決めきれるボールならばよいが、そうでないならば多少威力を落としてもいいので、ストレートを攻めて次球でパートナーに決めてもらう。その方が、2人ともの足が動いて調子も上がり、よいコンビネーションが生まれるようになるだろう。
③なるべくフォアハンドを使って打つ
前回の記事で、バックハンドを使って基本の動きを練習した際、フォアハンドを使うよりも難しいと述べた。その理由のひとつは、バックハンドの方が打球点が高いことだ。フォアハンドは基本的にはボールを「体の横」で捉えるのに対して、バックハンドはボールを「体の前」で捉える。よって、台にバウンドしてから打球するまでのタイミングが早くなる為、自分が打った後にパートナーへ返ってくるボールも早くなり、時間的な余裕がなくなる、というわけだ。バックを使うと、相手に早く返球できるが、こちらにも早く返って来てしまう、ということを頭に入れておこう。
そしてもうひとつの理由は、バックハンドを使うと体が邪魔をする、ということだ。パートナーが打球している際、あなたは後ろ側にいることが多い。パートナーがバックハンドで打球をしていると、あなたの視界に見えるのはパートナーの背中だけだ。ボールが見えないと、次に返ってくるボールの予測がしづらくなり、非常に苦しい。
図:ラリーズ編集部
さらに、そのパートナーの体が邪魔になって、次球であなたが台に入るのがどうしても遅れてしまうのだ。パートナーがフォアハンドで打ってくれていれば、腕があるだけなのでそれほど邪魔にならずスムーズに入り込む事ができる。
なので先ほどの3球目攻撃のケースであった、バックハンドでクロスを狙う、というのはなるべく避けた方がよい、ということになる。できるだけ回り込んでフォアハンド、さらにストレートを狙えれば、次球を打つパートナーにとっては最善となるのだ
<後編へ続く>